ラファウ・ブレハッチさんがワルシャワ・フィルとショパンの2曲のピアノ協奏曲を弾くコンサートを聴きに行きました。
【日本ポーランド国交樹立100周年記念】
【ポーランド芸術祭 2019 in JAPAN 参加公演】
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
(東京芸術劇場コンサートホール)
指揮:アンドレイ・ボレイコ
ピアノ:ラファウ・ブレハッチ
モニューシュコ/歌劇「パリア」序曲
ショパン/ピアノ協奏曲第2番へ短調
ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調
まずはモニューシュコのパリア。弦楽による悲痛な短調の第1主題、クラリネットによる温かみのある長調の第2主題が交互に出てきて印象的。とても素敵な序曲、ワルシャワ・フィルの音色も堪能できました。
この曲は一昨年2月にアントニ・ヴィット/新日フィルでも聴きましたが、クラリネットが印象的で、やはり今週チェコ・フィルでも聴いたスメタナの交響詩「シャールカ」を思い出します。「ポーランド国民歌劇の父」とも言われるスタニスワフ・モニューシュコ(1819-1872)は、クララ・シューマンやハノンと同じく1819年生まれ。今年は生誕200周年です。
続いてピアノ協奏曲第2番。ラファウ・ブレハッチさんのピアノは、リサイタルは何度か聴いていますが、コンチェルトは初めてです。繊細なピアノの語り口に魅了される第1楽章。夢見心地の第2楽章。瑞々しさに溢れた第3楽章。
ほとんどショパン自身が弾いているとしか思えない、ブレハッチさんの、いい意味で線の細い繊細なピアノ、大いに魅了されました!
後半はピアノ協奏曲第1番。ここも雰囲気タップリな第1楽章が素晴らしい!第2主題の聴きどころの場面は、鎮まっていってピンポイントでこれしかない!という絶妙な音!心の底からの感動!
夢幻の広がりを見る第2楽章。リズミカルなクラコヴィアクの音楽が心地よい第3楽章。1番も素晴らしいピアノ、大いに堪能しました!
私はショパン/ピアノ協奏曲は2曲とも、クリスチャン・ツィメルマンさんがポーランド祝祭管弦楽団を弾き振りしたCDが、大好きな演奏ですが、その演奏はどちらかと言うと、オケも含めて濃厚な語り口の演奏。
今日のブレハッチさんのピアノ協奏曲は、触れたら壊れてしまうのではないか?と思えるような繊細さや儚さを感じ、ライバルのリストとは対照的にサロンでの演奏を得意としたと言う、ショパンその人が弾いているとしか思えません。この演奏をピアニストの方が聴いたら、二度とショパンの協奏曲を弾こうとは思わないのではないか?というくらい、この曲における究極の演奏に思いました!
会場からは大きな拍手!今日はブレハッチさんとあってか、素敵な雰囲気の女性ファンが非常に多くて、芸劇は満席でした。アンコールのマズルカのリズムの揺らし具合は、おそらくポーランド人でしかできないと思われる絶妙なもの。正に日本ポーランド国交樹立100周年を記念する、特別なコンサートでした!