(夏の旅行記の続き) 旅行10日目。大いに楽しんで来た今回の旅行も最終日を迎えました。この日はまずモーツァルトの住居に行きました。
(なお、調整した訳では全くないですが、前の記事のラストは奇しくもモーツァルト・トルテ(笑)。この記事に続くのは何だかいい流れ。)
モーツァルトの住居はほとんど毎年のように行っています。ザルツブルクにはモーツァルトの生家もありますが、こちらのモーツァルトの住居は、モーツァルトの生涯を俯瞰するような展示だったり、展示内容が毎年変化したり、毎年行っても楽しめるところです。
(写真)レオポルト・モーツァルトの企画展のフラッグとモーツァルトの住居
と思ったら、今年は展示内容がガラッと変わっていました!モーツァルトでなく、父親のレオポルト・モーツァルトを特集する展示になっていました。その理由は、実は今年が、
レオポルト・モーツァルト生誕300周年!!!
なんです!いや~、企画展のフラッグを見るまで、全くノーマークでした!レオポルト・モーツァルトは1719年生まれなので、今年が生誕300周年。なので、モーツァルトの住居でも企画展をやっているんですね。フランツ得意の、犬も歩けば棒に当たる(笑)。特に印象に残った展示は以下の通りです。
◯レオポルトが作曲した曲の展示。オラトリオ(マリア様のための曲からキリエ)、オルガン曲などの楽譜がありました。私はザルツブルクのホーエンザルツブルク城での野外コンサートで、レオポルト・モーツァルトの曲を聴いたことがあります。この子にして、この親!という感じで、とても素敵な曲でした。
◯レオポルトのヴァイオリンの教本。これは非常に有名なものです。
◯レオポルトの旅に関する解説。レオポルトはトラベル・ツアー・マネージャーとして極めて優秀。18世紀当時は、旅はメジャー・ロジスティカル・チャレンジで、旅で必要とされるのは、オーガナイゼーション・タレント、グッド・イティネラリー、ブロード・ネットワーク・コンタクト、ナリッジ・オブ・フォーリン・ラングウィッジ&マナー、フォーリン・カレンシー・チェインジ、ウェル・ストックド・トラベルキット、と説明がありました。
みなさまご存じの通り、モーツァルトは人生の1/3が旅でした。レオポルト自身も、こんな旅は誰もできない、と言っていたそうです。今でこそ海外旅行は非常に快適な旅ができ、むしろトラブルに見舞われたことを喜々としてブログに書いている人たちすらいるくらいですが(笑)、当時は困難やリスクが沢山あって、本当に大変だったんだと思います。
自身が優れたヴァイオリニストで著名な教本も書いているくらいのレオポルトですが、旅人としても超優秀だったんですね。いや、音楽に秀でているからこそ、旅のスキルも優れている、ということなのかも知れません。いずれにしても、ほとんど聖クリストフォロスと同じくらいに、旅人のレジェンドだと思いました。
◯Johann Nepomukによるモーツァルト一家4人の絵(1780/81)。有名なモーツァルトとナンネルが連弾している絵です。立派なレオポルト、母親アンナ・マリアはパリで亡くなったので、肖像画です。4手のピアノは当時では珍しく、モーツァルトとナンネルが指をクロスしているのは画家のイマジネーションという解説でした。モーツァルトは4手のためのピアノ・ソナタは2曲作曲しているそうです。
◯アントン・ウォルター(ウィーン)のモーツァルトのオリジナルのフォルテピアノの展示。
◯ナンネルのミュージック・ブック(ピアノの作曲)。ナンネルも優れたピアニストとして有名ですが、作曲もしていたんですね!先日ピアノ協奏曲などを聴いたクララ・シューマンの先輩ですね。
(参考)2019.10.10 ジョルト・ナジ/伊藤恵/東京藝大so.のクラーラ・ヴィーク/ピアノ協奏曲
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12534507179.html
レオポルト・モーツァルトの企画展、とても楽しめました!私はドイツのアウクスブルクを訪れた際に、レオポルト・モーツァルトの生家モーツァルトハウスで展示を見ましたが、今回のザルツブルクのレオポルトに関する展示も、とてもよく出来ていたと思いました。レオポルトなしにはアマデウスは生まれなかった、このことがよ~く分りました。
(写真)アウクスブルクのレオポルト・モーツァルトの生家モーツァルトハウス。今から300年前、ここでレオポルト・モーツァルトは生まれました。
特に、レオポルトが旅行のスペシャリストだった、という展示には非常に唸りました!私自身も海外旅行を大切な趣味としていて、海外旅行の難しさを十分体験し(楽になったとは言え、国内旅行とはレベルが全然違う)、いかに旅をマネジメントするか、どうやって楽しむか、どこが大切なポイントか、何がOKで何がダメかなど、旅を重ねながらノウハウやスキルを蓄えてきました。偉大なる大先輩の片鱗に触れることができ、レオポルト・モーツァルトがますます好きになりました。
さて、モーツァルト一家の雰囲気に十分浸れました。そろそろ観劇へと参りましょう。もはやほとんどお約束ですが(笑)、行き先はモーツァルテウム。珠玉のモーツァルト・マチネを聴きに行きましょう!(続く)