クララ・シューマンのピアノ協奏曲が聴ける、非常に楽しみなコンサートに行きました。ヴァイオリニストとして有名なヨーゼフ・ヨアヒムの曲も楽しみです!

 

 

クラーラ・シューマン生誕200年に寄せて

東京藝大シンフォニーオーケストラ演奏会

「神童クラーラのピアノ協奏曲」

(東京藝術大学奏楽堂)

 

指揮:ジョルト・ナジ

ピアノ:伊藤 恵

 

ヨーゼフ・ヨーアヒム/ハムレット序曲

クラーラ・ヴィーク/ピアノ協奏曲イ短調

ヨハネス・ブラームス/交響曲第1番ハ短調 

 

 

 

今年はクララ・シューマンの生誕200周年。その誕生日である9月13日には、ブラームス/間奏曲イ長調op.118-2を弾いて、クララを讃えました。7月下旬に思い付いて急ぎ始めた試みでしたが、懸命にピアノを練習して、自分でもよくやり切った!とかなり手応えを感じた企画でした。

 

(参考)2019.9.13 クララ・シューマン生誕200周年(クララの誕生日&ブラームス間奏曲)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12524640564.html

 

 

クララの凄いところはピアノの演奏だけでなく、作曲もしていたところです。そのことは、シューマンの生誕地ツヴィッカウのシューマンハウスを訪れた際、展示されていたクララの数多くの演奏会のプログラムに、自作の作品がいろいろ並んでいて大いに実感しました。今日はその片鱗に触れられる、とても貴重な機会です。

 

(参考)2018.1.5 ツヴィッカウ観光(ロベルト・シューマンハウス&夢見るシューマン像)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12355033774.html

 

 

 

まずはヨーゼフ・ヨーアヒム。ご存じシューマン夫妻やブラームスと親しかった、ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の初演のヴァイオリニスト、あのヨアヒムです!ヨアヒムの曲を聴くのは初めてですが、これがロマンティシズムに溢れた素晴らしい曲!シューマンやブラームスを思わせる弦楽の響き、リストを思わせる金管の咆哮。長調に転じてオーボエとチェロが素敵な旋律!山あり谷ありの劇的でロマンティックな曲、素晴らしかったです!

 

 

続いてクラーラ・ヴィーク/ピアノ協奏曲イ短調。「ヴィーク」とあるように、クララがまだシューマンと結婚する前、何と13歳で作曲を始めて、16歳の時にメンデルスゾーン指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で初演された曲です!

 

第1楽章。ピアノ協奏曲としてはユニークな旋律の短調の主題。途中の音楽には、ショパン/ピアノ協奏曲第2番を思わせるものを感じます。ピアノのソロパートは、旋律こそ時に単調さを感じることもありますが、和声の揺らめき感が素晴らしい!クララ、もう天才ですね!

 

第2楽章はピアノのソロ、そしてチェロとの二重奏がほとんどというユニークなもの。チェロ・ソナタはピアノの伴奏でチェロが旋律を奏でますが、ここではあくまでもピアノが主体でチェロは伴奏というのがユニークな音楽。ロマンティックな音楽に魅了されました。

 

第3楽章は短調で入りますが、長調に転じるシーンが素晴らしい!この楽章は途中、ショパン/ピアノ協奏曲第1番第3楽章に似た響きを何度か感じたり(笑)。複雑な展開をして、かなりの力作、音楽の端々にクララの才能を感じます。最後は意外にも短調で終わりました!

 

 

いや~、クララのピアノ協奏曲、大いに楽しみました!開演前の小澤和子藝大教授のお話によると、このピアノ協奏曲は謎が多く、クララの書いた楽譜はほとんど残っていなくて、あるのはシューマンによるオーケストレーションの楽譜のみ。ハッキリしているのは、第3楽章はシューマンがオーケストレーションを書いたことだけだが、ピアノの独奏はクララが書いたのではないか、というお話でした。

 

どこまでをクララが書いたのか、謎の残る曲ということでしたが、プログラムに載っていたシューマン演奏の第一人者、今日のピアノ独奏の伊藤恵さんのお話は、この曲をクララの書いた作品として、しっかり捉えられていました。私も特にピアノのパートに、才能のほとばしりと若気の至り(笑)を大いに感じました。

 

 

 

後半はブラームス。速めのテンポ、若い学生さんたちの気持ちの良い演奏です。今日はクララを記念したコンサート、ということで、特に注目するのは第4楽章のホルンの旋律。有名な逸話で、ブラームスがスイスからクララの誕生日に送った手紙に書かれていた旋律です。学生さんの素晴らしいホルン、心の底からの感動!

 

この曲はブラームスが20年かけて書いた曲ですが、ブラームスはベートーベンの交響曲を意識して、なかなか完成出来なかったと言われています。しかし、今日の流れで聴いてみると、ブラームスはベートーベンでなく、クララに立派な交響曲を書きたい、そのことを意識して20年もかかったのではないか?そんな印象すら持ちました。

 

 

 

クララ生誕200周年をお祝いする好企画のコンサート、素晴らしかったです!藝大は昨年のバーンスタイン特集も素晴らしかったですが、本当にいい企画を立てますね。お話によると、1年がかりで準備した企画ということ。プログラムにはクララに関する多くの情報が載っていました。ゆっくり読んでみるのが楽しみです!

 

 

 

 

(写真)このコンサートのチラシに描かれていたクララの肖像。雰囲気があって、とてもいい!