この日の夜の観劇は、バーデン市立劇場のゾマーアレーナでの2つ目の演目、レハール/ジプシーの恋です!

 

 

Sommerarena Bühne Baden

Franz Lehár

Zigeunerliebe

Sommerarena

 

Musikalische Leitung: Michael Zehetner

Inszenierung: Isabella Fritdum

Ausstattung: Susanne Thomasberger

Choreografie: Guido Markowitz

 

Peter Dragotin: Christoph Wagner-Trenkwitz

Zorika, seine Tochter: Cornelia Horak

Jonel Bolescu: Iurie Ciobanu

Jolán, Dragotins Nichte: Elisabeth Schwarz

Kajetán Dimetreanu, sohn des Bürgermeisters: Dominik Am Zehnhoff-Söns

Jószi, der Spielmann, ein Zigeuner: Vincent Schirrmacher

Ilona von Köröshaza, Gutsbesitzerin: Miriam Portmann

Moschu, Kammerdiener Dragotins: Niklas-Sven Kerck

Julcsa, Zorikas Vertraute: Kerstin Grotrian

 

Orchester der Bühne Baden

Ballett der Bühne Baden

Chor der Bühne Baden

 

 

 

 

(写真)開演前のゾマーアレーナと夏の公演のポスター。左は旅行の初日(8月9日)に観たカール・ツェラー/小鳥売り。

 

 

 

(写真)本公演のプログラム

 

 

 

レハールのオペレッタはどれも素晴らしい作品ですが、よく公演にかかるのは、まずはメリー・ウィドウ、続いて微笑みの国、後はルクセンブルク伯爵、ロシアの皇太子、パガニーニ辺りとなるでしょう。なので、ジプシーの恋はどちらかと言うと珍しい作品、実演を観ることができるのは貴重な機会です。さらにバート・イシュルのレハールヴィラでは、入ってすぐにジプシーの恋のスコアが迎えてくれます。‘フランツ’・レハール好きとして、とても意義のある公演です。

 

 

 

あらすじをごく簡単に。大地主ドラゴティンの娘ゾリカには、誠実な婚約者ヨーネルがいますが、父親と未亡人イロナの再婚も絡んでマリッジブルー。そんな中、ジプシーのヴァイオリン弾きヨッシィと出逢い、その自由な生き方に惹かれます。ジプシーに仲間入りして、ヨッシィのために盗みまで働くゾリカですが、ヨッシィには冷たくされます…。ゾリカはこの先、一体どうなるのでしょうか?

 

 

 

第1幕。序曲では水の精たちの素晴らしいバレエが入ります。ゾリカの歌に続くオケの旋律に早くも涙…。レハールの音楽の人の心を掴む力って本当に凄い!ゾリカとヨッシィの出逢いのシーンの二重唱も聴かせました。

 

婚礼の場面で占いが出て来て、盛り上がる歌が素敵。ヨッシィが「初めてキスをするのは月明かりでなければいけない」、の歌もとても印象的でした。

 

その後、ゾリカとの川辺の場面で、ヨッシィのアリアはたっぷり伸ばして大いに喝采を浴びていました!水の精の魅惑的なバレエも引き続きとてもいい感じ。ゾリカが橋のたもとで眠って第1幕を終わりました。

 

 

第2幕。ジプシーの集会。ジプシーは白・赤・緑のハンガリーの民族衣装のみなさんです。ここでも素晴らしい踊りに大いに魅了されます!バーデン市立劇場の公演は歌も素敵ですが、特に踊りに力を入れているようです。それぞれの劇場が工夫して個性を持ち、それを堪能できるのは本当にいいものです。

 

ヨッシィに惹かれてジプシーの仲間に入る決意をしたゾリカ。ジプシーになじもうとして必死にアピールしますが、ジプシーたちに嘲笑われます。ゾリカのいとこのヨーラン夫妻は、船に乗ったコミカルなワルツの歌が楽しい!イロナもヨッシィとワルツの歌で盛り上げます。

 

ヨーネルの「ゾリカ」の名を連呼する歌。ゾリカに冷たくされても、めげないで一途にゾリカを思うヨーネルには本当に心洗われます。真っ直ぐな素晴らしい歌!一方、そんなヨーネルの価値に気付かないゾリカはヨッシィとの結婚式を希望するも、当のヨッシィにみんなの前で嘲笑われてしまい…、ゾリカは悲しく橋のたもとで眠りに付きました。

 

 

第3幕。ここはこれまでの旋律のメドレーの音楽。水の精の踊りが抜群にいい!さらにイロナがチャールダーシュを歌って盛り上げました!

 

ヨッシィは去っていき、イロナとゾリカの父親もまとまりました。最後はヨーネルが橋のたもとで眠っていたゾリカを迎えに来ます。これまでのことは何と、全てゾリカが橋のたもとで眠ってしまった時に見た夢だったのです!

 

ヨーネルに起こされたゾリカは、夢の中の出来事から、ヨーネルの大切さを思い知り、朝日の光の中でヨーネルとキスをします。遂にゾリカとヨーネルが結ばれて幕。素晴らしいオペレッタ!

 

 

 

マリッジブルーになって、一時はアウトサイダーのヨッシーに惹かれても、結局は周囲を含め価値感の合わないもの同士。そのことを夢の中で体感して、身近な存在のヨーネルのまっすぐな良さを再確認することができ、ゾリカは幸せになりました。

 

このオペレッタは何か大切なことを象徴している。真っ直ぐな恋って本当にいいものだ。結婚したり、付き合ったり、いろいろ逡巡する気持ちはあるとは思いますが、誠実な気持ちは最後には必ず伝わる。

 

私は男性なので、同性の日本の若い男性諸君には、恋人を作ったり、結婚に向かう場面では、ブレずにまっすぐに頑張ってほしいと思っています。(真面目な話、おっさんになってしまったら、もう女性には相手にされませんぞ!) 

 

そして女性のみなさんには、そういう身近なところにいる(もしかして刺激にはいささか欠けるかも知れませんが)、真摯な男性の気持ちを十分に考えて上げてほしいです!

 

 

 

(参考)レハール/ジプシーの恋(ダイジェスト)。これが正に私が観た公演です!ちなみに革ジャンでヴァイオリンを持っているのがヨッシィ。ジプシーやアウトサイダーの雰囲気がよく出ていました。

https://www.youtube.com/watch?v=MIfZyViltFs (3分)

Bühne Badenの公式動画より

 

 

 

(写真)この日もウィーンに帰ってきたのが遅かったので、夕食はなし。ビールだけ飲んでクールダウンしました。でも、素晴らしいオペレッタの後はこれで十分!