クリスチャン・ツィメルマンさんが若手のアーティストたちと、ブラームス/ピアノ四重奏曲を演奏するコンサートを聴きに行きました。

 

 

クリスチャン・ツィメルマン ブラームスを弾く

― 室内楽プロジェクト ―

(サントリーホール)

 

ピアノ:クリスチャン・ツィメルマン

ヴァイオリン:マリシャ・ノヴァク

ヴィオラ:カタジナ・ブゥドニク

チェロ:岡本 侑也

 

ブラームス/ピアノ四重奏曲第3番ハ短調

ブラームス/ピアノ四重奏曲第2番イ長調

 

 

 

クリスチャン・ツィメルマンさんはもう大好きなピアニスト!今年の2・3月のショパン/スケルツォ全曲を中心としたリサイタルは、東京と横浜で3回聴きに行き、大いに堪能しました。何より3回とも印象が異なるツィメルマンさんの絶妙なピアノが凄い!今回はブラームスのピアノ四重奏曲、こちらも非常に楽しみです。

 

(参考)2019.2.28 クリスチャン・ツィメルマンさんのピアノ・リサイタル

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12443512178.html

 

(参考)2019.3.5 クリスチャン・ツィメルマンさんのピアノ・リサイタル(2回目)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12444693044.html

 

(参考)2019.3.16 クリスチャン・ツィメルマンさんのピアノ・リサイタル(3回目)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12447466482.html

 

 

前半はブラームス/ピアノ四重奏曲第3番。冒頭の運命的なピアノ、その後のまるで嗚咽のような弦楽から大いに引き込まれた第1楽章、リズミカルなピアノと弦楽の展開に魅了された第2楽章、美しい旋律、憧れに満ちた旋律に心の底からの感動を覚えた第3楽章、ダイナミックな第4楽章。壮絶、それでいてとても美しい演奏でした!

 

後半はブラームス/ピアノ四重奏曲第2番。ロマンティックな長調で始まるも、それだけでは終わらない第1楽章、男性が女性に親密に囁いているような音楽に始まり、悲劇的な短調が印象的な第2楽章、リズミカルな短調が続いた先、最後に長調に転じる瞬間が堪らない第3楽章、フィナーレらしく長調で始まるも、複雑な展開を見せ、最後に飛翔する第4楽章。こちらも大いに魅了された演奏でした!

 

 

ツィメルマンさんは今日は若手のアーティストたちに譲ってベースを務めるも、出るところは出て、激情のフォルテを入れたり、繊細で美しいピアノを入れたり、いつもながらのニュアンスに溢れる素晴らしいピアノ!弦では特にヴァイオリンのマリシャ・ノヴァクさんが大いに抑揚を付けて引っ張っていましたが、ヴィオラのカタジナ・ブゥドニクさん、チェロの岡本侑也、みな存在感のある素敵な演奏でした!

 

 

面白かったのが、プログラムのツィメルマンさんの紹介。記載の多くに、バーンスタインとのことが書かれていたからです。例えば、以下のような内容です。

 

◯ツィメルマンはバーンスタインの100歳の誕生日に共演する約束をしていた。

◯そこで2018年、ツィメルマンはこの記念年を祝うため、バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」を、ロンドン響ほかと東京と大阪を含む世界の主要な公演地で共演。

◯これは作曲家にして指揮者であるこの偉大な芸術家、バーンスタインと多くの舞台を共にしたアーティストによる、最も壮大なオマージュともいえる。

 

(参考)2018.9.24 サー・サイモン・ラトル/クリスチャン・ツィメルマン/ロンドン交響楽団のバーンスタイン/不安の時代

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12408007757.html

 

私はこれを読んでピピン!ときたのは、ツィメルマンさんがかつてレニーから教えや影響を受けたことを、今日のリサイタルのように若手のアーティストに伝えていく。そのツィメルマンさんの心意気、今日のリサイタルの趣旨を、レニーとの逸話を記すことを通じて、さりげなく伝えているように思ったことです。

 

レニーの大ファンの私としては、そのレニーとの約束のコンサートを昨年心の底から堪能したこともあり、この記載は本当嬉しかったです。と同時に思ったのは、私自身も、ツィメルマンさんから比べればとても小さな存在ではありますが、一人のプレイヤーとして仕事を存分にしてきた自負はあるので、そのノウハウや心構えなどを、しっかり後輩たちに伝えて行かなければいけないな、ということでした。

 

 

クリスチャン・ツィメルマンさんと若手のアーティストのリサイタル、久しぶりにブラームスのピアノ四重奏曲を堪能したとともに(聴くのは実に20年ぶりくらい、笑)、大いにインスパイアされたリサイタルでした!

 

 

私は普段、ピアノ以外の室内楽を聴きに行くことがなく、曲自体もほとんど入っていませんが、ブラームスのピアノ四重奏曲は第1番がパトリス・ルコント監督の映画「仕立て屋の恋」で使われていたことから、とても馴染みがあります。シェーンベルクが評価したことでも有名ですね。クラシック音楽は本当にいろいろな楽しみ方があります。

 

 

 

 

 

(写真)本日はツィメルマンさんと若手アーティストの素晴らしいブラームスの余韻のもと、私の最愛のウイスキー、山崎12年を堪能しながら記事を書いておりまする。山崎12年は山崎蒸溜所でも手に入らないくらい、極めてレアなウイスキーですが、幸運なことに入手することに成功しました!このことは本当に強調したいですが、何事もポジティヴに生きていれば、自ずと幸運が舞い降ります。

 

本当は昨日10月16日に小泉和裕さんの70歳のバースデイ・コンサート、都響とのワーグナーとブルックナーを堪能して、その流れで飲みたかったのですが、本日大きな仕事があったので、そこはグッと我慢。そして、ミッション・コンプリート!その開放感、そして素晴らしいブラームスの余韻とともにいただきました。この山崎12年のブレンドの妙は、昨日の小泉さんと都響の極上の音色を思わせます。コクがあるのに完璧なバランス。言葉ではなかなか形容できない世界です。

 

小泉さんと都響のブルックナー → ツィメルマンさんたちのブラームス → 山崎12年。さきほど仕事のことを書きましたが、プライベートの楽しみ方も、後輩たちや若手のクラシック・ファンにしっかり伝えたい、そんな気持ちでいます。コンサートはアフターも含めて楽しんだもの勝ちです。今日はとてもいい一日でした!