シャーフベルク山と登山鉄道を楽しんだ後は、バスでバート・イシュルに移動しました。今年のバート・イシュル・レハール音楽祭の3つ目の演目、オッフェンバック/パリの生活です!

 

 

Lehár Festival Bad Ischl

Jacques Offenbach

Pariser Leben

 

Musikalische Leitung: Marius Burkert

Regie: Markus Kupferblum

Ausstattung: Toto

Lichtgestaltung: Sabine Wiesenbauer

Choreografie: Indeed Unique

Choreinstudierung: Gerald Krammer

Resieassistenz: Evamaria Mayer

Inspizienz: Susanne Marik

Korrepetition: Juliano Gaudiano

 

Baronin Ebba von Gondremark: Alexandra Reinprecht

Baron von Gondremark (deren Ehemann): Gerd Vogel

Raoul de Gardefeu: Daniel Jenz

Peter Stangelmeier (ein Österreicher), Jean Frick (ein Schuster) und Pompa (ein Brasilianer): Matthias Störmer

Gabrielle (Handschuhmacherin): Verena Barth-Jurca

Metella (ein leichtes Mädchen): Christiane Marie Riedl

Bobinet Chicard: Ivan Orešcanin

Pauline (Zimmermädchen): Julia Sturzlbaum

Urbain (Kellner): Nikola Basta

Prosper (Diener): Philipp Kappl

Joséph (Reiseführer): Stefan Jovanovic

Gontran: Claudiu Sola

Clochard: Daniel Valero

Madame Quimper-Quaradec: Dorothea Buchinger

Léonie: Stephanie Fritz

Louise: Elisabeth Zeiler

Clara: Julia Wiszniewski

 

Franz Lehár-Orchester

Chor des Lehár Festival Bad Ischl

 

 

 

(写真)バート・イシュル・レハール音楽祭の2019年のプログラム。パリの生活(右下)と白馬亭にて(左上)がモチーフです。

 

 

 

(写真)会場のクーアハウスの入口と登り旗

 

 

(写真)開演まで時間があったので、トラウン川沿いのプロムナードでしばし休憩。ここは綺麗な川、風景も素晴らしく、心地良い風が吹いていて、大好きなところです。

 

 

(写真)そしてフランツ御用達の(笑)カフェ・ツァウナーのブルーベリーのケーキで腹ごしらえ

 

 

 

今年はジャック・オッフェンバック(1819-1880)の生誕200周年。しかし、残念ながら東京ではオッフェンバックの公演は、11月の天国と地獄(日生劇場)の1公演のみに留まります。「シャンゼリゼのモーツァルト」と称されるオッフェンバックの記念イヤーにしては寂しい限り…。

 

そもそも東京でオッフェンバックは、ホフマン物語が新国立劇場でたまに上演されるに留まっていること自体がとても不思議。昨年1月にハンブルクで美しきエレーヌのめちゃめちゃ楽しい舞台を観たこともあり、オッフェンバックの真の実力はオペラではなく、オペレッタにあると確信しています。なので、このバート・イシュル・レハール音楽祭の公演はとても楽しみにしていました。

 

(参考)2018.1.3 オッフェンバック/美しきエレーヌ(ハンブルク国立歌劇場)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12353662280.html

 

 

 

このオペレッタのあらすじをごく簡単に。舞台はパリ。ギャルドゥフーとボビネの仲良しの2人は高級娼婦のメテラに恋をしていますが、メテラはお金持ちしか相手にしません。スウェーデンからゴルトマルク男爵夫妻がパリに観光に訪れることを知り、ギャルドゥフーとボビネは男爵を騙して一儲けを企みます。

 

自分の屋敷をホテルと偽ったり、偽の晩餐会を開いたり、ゴルトマルク男爵をあの手、この手で楽しませてお金を儲けようとする2人。果たして、上手く男爵を騙して、メテラの心を惹くことができるのでしょうか?

 

 

 

舞台は大きな赤いハートマークにエッフェル塔、踊り子が手を差し伸べるポーズ。舞台脇ではスカート姿の踊り子がひっくり返るポーズなど楽しい舞台です。オッフェンバックの肖像もありました。ハートマークはクロ・クロ、白馬亭にて、を含め3公演全てにあったので、きっと音楽祭の共通のテーマなんですね。

 

序曲。駅で愛しのメテラを待つギャルドゥフーとボビネの2人にさまざまな人物が絡みます。黄色のベストの人たちが出てきて雇用を要求し、”Empore Euch !”のプラカードまで出ました!さらには東洋人やイスラムの方はパスポートが利かず、引っ立てられる演技まで付いていました!フランスの現代の諸相をそれとなく提起する演出ですが、それを発展させて深刻にはならないのが、軽やかなオペレッタのいいところ。

 

第1幕。駅に到着したメテラに振られて、2人の男性の吹っ切れた歌がいい!スウェーデンからゴルトマルク男爵一行が登場。ゴルトマルク男爵はまたしても、クロ・クロの市長、白馬亭にてのヒンツェルマン教授と、面白い役柄を好演したGerd Vogelさん!(笑) 見事なつるっ禿げ、もといスキンヘッド。この方が出てくるだけで楽しい!

 

そのゴルトマルク男爵のパリへの憧れと期待の歌もとてもいい感じ。一人長く歌って、ラストは有名なメロディ「私達は世界中からやってきた!」が追随します。物語への期待を高める素晴らしい第1幕!”Attention !”から始まる駅の構内放送を上手く使って、とても楽しい舞台です。

 

 

第2幕。ゴルトマルク男爵がアバンチュールを期待する歌、メテラの歌と楽しい歌が続きます。見せかけの伯爵は鎧かぶと姿。その他の登場人物はザルツカンマーグート地方の民族衣装!(笑) 音楽も賑やかに盛り上がります。この幕はなんだかんだのドタバタで終わりました。

 

 

第3幕。ボビネと召使いたちのコミカルなやりとり(みんなが変装すると召使いがいなくなってしまう)と合唱が素晴らしい!誰にでも変身願望があることを示しているのかな?と思いました。ゴルトマルク男爵に偽の貴族が絡むシーン。オーストリアの貴族に扮した人物がバレエダンサーのような足遣いの動きで男爵に絡んで、もう可笑しいのなんの。

 

ゴルトマルク男爵と召使いのポリーヌの二重唱「恋は長い梯子」も楽しい。ポリーヌはこうもりのアデーレのような感じで、歌って踊って、男の人のあしらい方が上手くて(笑)最高でした。

 

偽の貴族が沢山出てきて、召使いのポリーヌが口から出まかせで名前を言って紹介していくのがめっちゃ受ける!モエ・エ・シャンドン、ポメリー、コッコ・オー・ヴァン、キッシュ・ロレーヌ、マカロンなどなど。キッシュ・ロレーヌは、こうもりにもよく出てきて、こういうシーンでの定番のフランス語ですね。

 

ボビネが変装している提督のズボンのお尻が破けると、白地のパンツに赤字で”Enjoy Love”と(笑)。ゴルトマルク男爵もさすがに、この人たちは何かがおかしい?と気付き始めますが、みんなと歌って踊って、何となく誤魔化されます(笑)。

 

ゴルトマルク男爵にガンガンとシャンパンを飲ませるシーン。シャンパンが大勢の人により手渡しで次々渡され、ゴルトマルク男爵がどんどん飲んでいくシーンは見応えあり。最後は賑やかな音楽でバレエダンサーもフラフラの踊り、楽しい幕でした!

 

 

第4幕。メテラはシャンソニエのような衣装で登場して、雰囲気のある歌。舞台の脇に浮浪者が出てきて、このオペレッタの中で一番まともな哲学を語るのも風刺が利いています。ゴルトマルク男爵がメテラに言い寄りますが、もっと若い男にしたいの、と断られます。

 

それではと、メテラから紹介されたのが、変装したゴルトマルク男爵の奥さん(笑)。青のドレスで黄色の扇子だから、スウェーデンの女性とすぐ分かるのに、分からないで自分の奥さんなのに口説き始めるのが男のアホなところ(笑)。

 

最後は、ゴルトマルク男爵はみんなにさんざん騙されていたことを理解しますが、それでも実は十分にパリを楽しんだことを悟り、奥さんの許しも得てメデタシメデタシ。メテラとギャルドゥフーなど計4組のカップルでまとまりました。

 

 

この辺りは物語のつじつまうんぬんよりは、勢いの良い音楽で何の疑問もなくスッと進みます。いいんですよ、そんなの。とにかく楽しみましょう!ラストは音楽のギアが上がって、賑やかに音楽と踊りで盛り上がって終わりました! 

 

カーテンコールでは、ポリーヌがフレンチカンカンのダンサーに混じって踊ります。これだけ踊れて、しかも歌も上手いとは!Julia Sturzlbaumさん凄い才能です!

 

 

 

オッフェンバック/パリの生活、めっちゃ楽しい舞台でした!ドタバタの連続で現実にはとてもありそうもないストーリー、何か最後の賑やかな歌と踊りで誤魔化された感が満載ですが(笑)、この皮肉の利いた馬鹿馬鹿しさがいいんです!ウィンナ・オペレッタとは異なり、風刺が利いてナンセンスな物語と勢いの良い音楽。「シャンゼリゼのモーツァルト」と称されるオッフェンバックの音楽、大いに堪能しました!(続く)

 

(参考)オッフェンバック/パリの生活(ダイジェスト)。冒頭の勢いの良い音楽が全編に渡って出てきます。楽しい!

https://www.youtube.com/watch?v=dEmxhG3qFkU (3分)

Bühne Badenの公式動画より

 

 

 

(写真)終演後はザンクト・ヴォルフガングに戻って夕ご飯でもいいのですが、戻ってすぐにイベントがあるので、バート・イシュルで軽く済ませました。前々から気になっていた、クーアパークそばのハンバーガーのお店。ハンバーガー、めちゃ美味でした!ビールはザルツブルクのシュティーグル。パンのおこぼれ狙いでスズメが寄ってきました(笑)。