今週水曜・木曜のパーヴォ・ヤルヴィさんとN響のアグレッシブなシベリウス7番が未だに頭の中をぐるぐる回っていますが(笑)、今週もう一つ楽しみにしていたコンサートに行きました。ライナー・ホーネックさんと紀尾井ホール室内管弦楽団のコンサートです!

 

 

紀尾井ホール室内管弦楽団第118回定期演奏会

(紀尾井ホール)

 

指揮・ヴァイオリン:ライナー・ホーネック

語り:西村 まさ彦

 

J.S.バッハ/ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調

メンデルスゾーン/弦楽のための交響曲第10番ロ短調

ベートーベン/バレエ音楽「プロメテウスの創造物」(全曲・語り付き)

 

 

 

 

まずはバッハ。第1楽章はエレガントな弦楽にうっとり!ライナー・ホーネックさんはキレキレのバッハ、というよりはとても艶やかなヴァイオリン。ソロの場面はもって回った、芝居っ気すら感じる素敵なヴァイオリンです。さすがはウィーン・フィルのコンマス!

 

第2楽章は、しっとりと悲しく。ホーネックさんは弱音を利かせたヴァイオリンで魅せました。第3楽章は壮麗なバッハ。お天気の土曜の午後に聴くバッハ。とても幸せな気持ちになりました!

 

 

続いてはメンデルスゾーン。ロ短調の曲、ということもあり、第1主題は悪魔的な雰囲気。そして、第2主題は対する正義の展開を思わせ、これは後半のベートーベンによくつながります。10分くらいの曲ですが、とても聴き応えのある曲。

 

最後の方にはシューベルト/ロザムンデ序曲の旋律が一瞬出てきたような?ラストは意表を突いて短調で疾走!後半に続く、よく考えられた選曲に思いました。

 

 

 

後半はベートーベン。プロメテウスの創造物は、なかなか全曲を聴く機会がないので、今回はとても貴重な機会です。始めに何と、西村まさ彦さんが、パペットを持って登場!ベートーベンと、ベートーベンに音楽を依頼した天才舞踊家・振付師のサルヴァトーレ・ヴィガーノの2人をパペットで演じます。

 

ヴィガーノはハイドン/天地創造を引き合いに出して、アダムとイヴの物語である天地創造を超える傑作をベートーベンに書いてほしい。自らが犠牲になって人間に火をもたらしたプロメテウスの物語にヒントを得て、泥人形にプロメテウスが火を与え、それが命の源となり男女が生まれ育つ物語に音楽を付けてほしい、と頼みます。ベートーベンは「素晴らしい!」と叫び(小泉元首相のように、笑)、作曲を引き受けます。

 

序曲から紀尾井ホール室内管弦楽団の活き活きとした素敵な演奏!続く、嵐の音楽は、交響曲第6番「田園」の第4楽章の音楽のまるで原風景のよう。土くれから生まれた人間はアポロンから知恵と芸術を授かったり、音楽を聴いて感情を持ったり、だんだんと人間らしくなっていきます。ホーネックさんの指揮のもと、紀尾井ホール室内管弦楽団の活き活きとした見事な演奏に魅了されます。

 

最後の大団円となるフィナーレはご存じ交響曲第3番「英雄」の第4楽章の音楽。英雄の第4楽章で聴いても感動的ですが、このプロメテウスの創造物の物語の流れの中でラストで聴くとより感動的ですね~!ただの動物ではなく、人間としてあるためには何が大切なのか、改めて教えてくれる非常に象徴的な物語。ホーネック/紀尾井ホール室内管弦楽団の味わい深い演奏もあって、大変な好企画でした!

 

 

ライナー・ホーネックさんと紀尾井ホール室内管弦楽団のコンサート、今回も鉄板に素晴らしかったです!土曜日の午後にお堀の風景も楽しみながら珠玉の紀尾井ホールを訪れ、エレガントな音楽に浸る。今回もずっと幸せの時間でした。

 

 

 

(写真)紀尾井ホールの対面、ホテルニューオータニのスーパーモンブラン。紀尾井ホールの案内に紹介があったので、試してみました。この和栗のモンブランの凝縮感のある甘さは本当にやばい!パリのサロン・ド・テ・アンジェリーナの有名な大きなモンブランを超えるほどの充実感!私の消費税上げ前の駆け込み需要はこのモンブランでした(笑)。