ザンクト・ヴォルフガングでイム・ヴァイセン・レッスルやまちを楽しんだ後は、バスでバート・イシュルに移動、バート・イシュル・レハール音楽祭のオペレッタを観に行きました。
演目はラルフ・ベナツキー/白馬亭にて。ホテル・イム・ヴァイセン・レッスル(白馬亭)が舞台の珠玉のオペレッタです!
Lehár Festival Bad Ischl
Ralph Benatzky
Im Weißen Rössl
Musikalische Leitung: Oliver Ostermann
Regie: Thomas Enzinger
Ausstattung: Toto
Choreografie: Ramesh Nair
Lichtgestaltung: Sabine Wiesenbauer
Choreinstudierung: Gerald Krammer
Regieassistenz: Helena Sturm
Abendspielleitung: Antonia Mathie
Inspizienz: Susanne Marik
Korrepetition: Vasilis Tsiatsianis
Josepha Vogelhuber (die Wirtin): Susanna Hirschler
Leopold Brandmeyer (Zahlkellner): Roman Martin
Sigismund Sülzheimer: Ramesh Nair
Kathi, Jodlerin u.a.: Helga Papouschek
Kaiser Franz Joseph I.: Kurt Schreibmayer
Dr. Otto Siedler (ein Rechtsanwalt): Ricardo Frenzel Baudisch
Piccolo: Kaj-Louis Lucke
Wilhelm Giesecke (ein Berliner Fabrikant): Frank Voß
Ottilie (seine Tochter): Franziska Krötenheerdt
Prof. Dr. Hinzelmann (ein Urlauber): Gerd Vogel
Klärchen (seine Tochter): Nina Weiß
Bergführer: Giuseppe Preims
Franz Lehár-Orchester
Chor des Lehár Festival Bad Ischl
(写真)バート・イシュルのクーアハウス。いつ行っても花が綺麗に咲いています。
オーストリアやドイツでは非常に有名なオペレッタですが、あらすじをごく簡単に。ザンクト・ヴォルフガングのホテル白馬亭の給仕長レオポルトは、白馬亭の女主人ヨゼファに恋をしています。しかし、ヨゼファは毎年夏に泊まりに来る弁護士ジードラーに想いを寄せていて、レオポルトには命令してばかり…。
白馬亭にはジードラーの他に、弁護士としてジードラーが係争中のベルリンの工場主ギーゼケとその娘オッテリー、ギーゼケの係争相手の息子ジーギスムント、ヒンツェルマン教授とその娘クレールヒェンがやってきます。レオポルトと弟子のピッコロはサービスにてんてこ舞い。さまざまな人間模様が展開される中、レオポルトのヨゼファへの恋はどうなるのでしょうか?
先ほど見たばかりのホテルの飾りが見られる楽しい舞台。右にザンクト・ヴォルフガング、左にバート・イシュルの市の紋章が仲良く並びます。クロ・クロにも出てきた赤い大きなハートも見えます。牛の白黒のブチを描く演技も付きました。
最初にヨーデルの入った寸劇があざやかな出だし。有名なレオポルトの出だしは速めの歌。“Aber meine Herrschaften”、ああ!また大好きなオペレッタが観れる!大いなる喜び!
“Das ist der Zauber der Saison”の歌では、トランクを使った踊りが入ってリズミカルな展開が楽しい!そしてこのオペレッタのハイライトの歌“Im Weißen Rössl am Wolfgangsee”、ジードラーとヨゼファの2重唱から始まり、みんなが出て来て盛り上がるレビューの流れはいつ観ても最高!
(参考)ベナツキー/白馬亭にて(ダイジェスト)。“Im Weißen Rössl am Wolfgangsee”は途中からですが0:00~0:34。その他のシーンの音楽もふんだんに出てきて、白馬亭にての入門としてお勧めの動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=n0vw5myu--I (5分)
※Oper Leipzigの公式動画より
ジードラーとオッテリーが距離を縮めるシーン“Die ganze Welt ist himmelblau”では、レオポルトとピッコロがシャンパンを出したり、踊りながらテーブルを片付けたり、いい味を出します。バックではキューピッドが弓を引く踊りが楽しい!後の二人のワルツの踊りのシーンでは新体操のリボンを使った踊りが入りました。いろいろな工夫がありますね。
そして何と!レオポルトはサックスまでを披露しました!これが見事なサックス!Roman Martinさんは歌って踊って、それだけでも凄いのに、サックスまで吹けるとは!さらにその流れで、レハール/微笑みの国の「君こそわが心のすべて」もサックスで演奏!そしてちょっと際どいパオーン!のギャグまで(笑)。
ピッコロがスーツケースを沢山抱えて、降りたり上がったりする演技が可笑しい(笑)。ギーゼケから「英語でなくドイツ語のメニューを」と所望されるシーンは、ピッコロがメニューを逆さまにしただけなのに、なぜかドイツ語のメニューになってギーゼケが納得するお約束のギャグも楽しい!(笑)
ザルツカンマーグート名物の雨を歌うシーンは、かなりゆっくりのテンポで入って、急激にアッチェレランドをかけるのがとてもいい!ダンサーが赤と白の傘を持って踊り、タップダンスまでも入ります。最後はダンサーが並んで傘でオーストリアの国旗を作って締めました!
これ、日本の国旗でも行けますね!こんなところにもオーストリアと日本の縁を感じます。祝!日・オーストリア交流150周年!盛り上がって前半が終わりました。
後半はジーギスムントが登場。オペレッタでは主役の男女2人がシリアス、脇役の男女2人がコミカルなパターンが多いですが、この白馬亭にて、でコミカルを担うのはジーギスムントとクレールヒェンです。ジーギスムントはニューヨークの歌手でモデルという設定。胸を震わせると出迎えた女性陣がキャーキャー言うのが楽しい!
クレールヒェンの父親ヒンツェルマン教授は…あれ!?クロ・クロで面白かった市長役の方だ!Gerd Vogelさん。白馬亭にてでもいい味出していました。ジーギスムントとクレールヒェンの踊りの場面では、昨年のハワイの花に引き続き、Nina Weißさんのクレールヒェンのキレキレのタップダンスきた~!歌って踊って、本当に凄い才能です。
冒頭で少しヨーデルを披露した役柄不明の女性の方が場面転換で登場しますが、ジャズっぽい音楽に乗った不思議な間の演技がもう可笑しいのなんの!きっとオーストリアで有名なパントマイマー系のコメディアンの方なんでしょう。
民族衣装になって、すっかりザルツカンマーグートののんびりに馴染んだギーゼケとそのヨーデルの人の山頂でのこだまを口まねするユーモラスなやりとりも楽しい(笑)。「ヤッホー!(自分で声を小さくして)ヤッホー、ヤッホ、ヤッホ…」
皇帝陛下がザンクト・ヴォルフガングに来られることになり、宿泊場所がイム・ヴァイセン・レッスルになりました!ヨゼファとレオポルトは立場が逆転。レオポルトなしでは、皇帝陛下のおもてなしができないからです。ジードラーに嫉妬して一度首を言い渡されたレオポルトが、逆にヨゼファにあれこれ命令するシーンが可笑しい。
そしてレオポルトが皇帝陛下を迎える歌を観客に歌わせる訓練の展開に!(笑) 観客の内、まず女性陣が歌って、その後に男性陣が歌いますが、男性陣が途中の歌い出しにパッと反応できないので、レオポルトがダメだこりゃのポーズ(笑)。こういうのは本当に楽しい。そして皇帝陛下の入りでは観客全員立って、歌を唱和しました。私も歌いましたよ~!
貫禄と威厳のある皇帝陛下フランツ・ヨーゼフ1世が登場!レオポルトは緊張して、あらぬ言葉を発して全然ダメダメ…。さらにヨゼファとジードラーが仲良くしているのを見てしまい、皇帝陛下の御前なのにヤケを起こしてしまいます!エーデルワイスの花束を渡して収めるヨゼファ。レオポルトの黄昏の歌を合唱で歌って第2幕を終えました。
第3幕は皇帝陛下とヨゼファの朝のやりとり。皇帝陛下の言葉は一言一言が重い。オーストリアでいかに尊敬されているかが分かるシーン。その後のヨゼファの切ない歌“’s ist einmal im Leben so”も泣かせます。
みんなゆっくりとした動きになって、ヒンツェルマン教授の自然や旅を称賛する歌は雰囲気たっぷり。ジーギスムントとクレールヒェンの会話のレッスンからの二重唱が楽しい。
皇帝陛下の御宿泊が無事に済んで、いよいよヨゼファがレオポルトとお別れするシーン。身近な存在のレオポルトに幸せを見出したヨゼファが、レオポルトを新たに夫として契約する話でまとまりました!レオポルトとヨゼファ、ジードラーとオッテリー、ジーギスムントとクレールヒェンの3組のカップルが誕生。ジーギスムントとヒンツェルマン教授が見事なハゲ頭で並んで観客の笑いを誘います(笑)。
オペレッタは途中いろいろあっても、最後にちゃんとまとまって、みんなハッピーになるので本当に好き。ラストは“Lass uns Abschied nehmen”から“Im Weißen Rössl am Wolfgangsee”の行進曲で賑やかに終わりました!ブラボー!
ラルフ・ベナツキーの素晴らしい音楽に加えて、踊りを工夫したり、演劇系の人を配役したり、小芝居を打ったり、いろいろ工夫のあっためっちゃ楽しい白馬亭にてでした!ザルツカンマーグートの民族衣装の方も多かった観客のみなさんも大盛り上がり!こんなにも楽しい舞台はなかなかないですからね!
最高のオペレッタ、素晴らしい白馬亭の公演!もう存分に楽しみました!夕方からの公演なので、バスでザンクト・ヴォルフガングに戻ります。今日のディナーは?もちろんイム・ヴァイセン・レッスルのレストランです!
(写真)公演の後、イム・ヴァイセン・レッスルに帰ってきました!このホテルが舞台のオペレッタを観たばかりなので、胸が熱くなります!イム・ヴァ~イセン・レッスル・アム・ヴォ~ルフガング・ゼ~♪
(写真)ホテルの部屋からのヴォルフガング湖の風景
イム・ヴァイセン・レッスルには複数のレストランがありますが、この日はロマンティック・レストランを選択しました。選んだのはRössl Menu。“Dine like the emperor”の言葉もありました。ソムリエの方と会話を楽しみましたが、私がオーストリアワインがかなり好き、ということが伝わったのか、後半は特別なワインも出していただきました。
(写真)Amuseの2皿とChampagner Perrrier-Jouet Grand Brut
(写真)Homemade Goat Cream CheeseとSauvignon Blanc Poessnitzberg 2017(Suedsteiermark)
(写真)Veal Consomme DoubleとChardonnay Hochsulz Reserve 2015(Suedsteiermark)
(写真)Roessling “Fish”とRiesling Heiligenstein 1999(Kamptal)。Kamptalはニーダーエスタライヒ州。1999年はオーストリアワインはとてもいいヴィンテージとのこと。2009年もいいそうです。少なかったということでもう一杯いただきました。ラッキー!
(写真)Dove “Red”とTitan 2013(Mittelburgenland)。カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、ブラウフランキルシュのブレンド。パワフルで正にティターン!
(写真)Local Lamb LoinとTitan 2013(Mittelburgenland)
(写真)HazelnutとRuster Ausbruch Essenz 2007(Rust)。デザートに合うのはこれ、ということで、グラスワインのメニュー以外から出していただきました。ルストはコウノトリで有名ですね。