素晴らしかった東響のモーツァルト・マチネの後、帰り道と違う方向の電車に乗ったのは、草津の音楽祭を聴きに行くためでした。
第40回草津夏季国際音楽アカデミー&フェスティヴァル
合唱とオーケストラ
バッハとシューベルトのミサ曲
(草津音楽の森国際コンサートホール)
指揮:ミラン・トルコヴィッチ
フルート:カール=ハインツ・シュッツ
ソプラノ:天羽 明惠
アルト:日野 妙果
テノール:小貫 岩夫
バス:萩原 潤
合唱指揮:栗山 文昭
草津フェスティヴァル・オーケストラ
草津アカデミー合唱団
ベートーベン/フルート協奏曲ニ長調(原曲:ヴァイオリン協奏曲)
J.S.バッハ/ミサ曲ト長調BWV236
シューベルト/ミサ曲第2番ト長調
モーツァルト/モテット「アヴェ・ヴェムス・コルプス」
(写真)今回の音楽祭のプログラム。今年のテーマは「バッハからシューベルトへ」です。
(写真)草津音楽の森国際コンサートホール
この草津の音楽祭には昨年初めて参加しました。生誕200周年のシャルル・グノーの知られざる名曲、レクイエムのコンサートがあったからです。参加してみたらこれが素晴らしい音楽祭!草津温泉も堪能できたので、2年連続で参加したものです。
(参考)2018.8.26 シャルル・グノー/レクイエム(草津夏季国際音楽アカデミー&フェスティヴァル)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12401051146.html
この夏の旅行では、先日バーデンの観光とオペレッタ観劇の記事を書きましたが、バーデンと草津はともに温泉で名高いまちです。う~ん、何だかいい流れだ!祝・日オーストリア交流150周年!
実はこのコンサートの当初のプログラムは、モーツァルトはなくバッハがもう1曲ありました。開演前に音楽監督の西村朗さんから説明があり、シューベルトのミサ曲はシューベルトが恋人のソプラノを意識して書いており、アルトのパートがない。それではアルトの日野妙果さんに申し訳ないので、曲目を変えた、ということでした。「アルトないとでは大違い」というジョークまで(笑)。
前半はベートーベンのフルート協奏曲???何とヴァイオリン協奏曲のフルート版です!これが非常にいいものを聴きました!フルート独奏がゆったり歌う場面、トレモロを入れる場面など、ピタピタッと合います。まるでフルートのために書かれた曲のよう。
ヴァイオリンならではの高い旋律の場面では、原曲と違って1オクターブ下に移りますが、逆にそれがいいアクセントに。フルート版だと、より素朴でチャーミングな曲という印象を持ちます。ご存じウィーン・フィルのフルートの首席のカール=ハインツ・シュッツさんはさすがの演奏!指揮のミラン・トルコヴィッチさんとオケも素晴らしい!
後半最初はバッハ/ミサ曲ト長調。「バッハ」「ミサ曲」と来ると、すっと聞き流してしまいますが、実はバッハはカンタータは沢山書きましたが、ミサ曲はロ短調ミサ曲など数曲で珍しいのです。
まずオルガンのクラウディオ・ブリツィさんが楽譜の代わりにアイパッドを楽譜台に置いて観客から驚きの声が!(笑)
演奏は、過去最高にほんわかしたグローリア、テノール独唱に合わせる若木麻有さんのオーボエが素晴らしかったクオニアム、最後のクム・サンクト・スピリトゥは荘厳な音楽。草津アカデミー合唱団の素晴らしい合唱を堪能しました!
続いてシューベルト/ミサ曲第2番。キリエから入りますが、バッハに比べると素朴な雰囲気です。グローリアはこれぞグローリアという晴れやかさ!シューベルトが意識して書いたソプラノのソロを私の好きな天羽明惠さんが歌いますが、天羽さんの歌って本当に心に迫ってくるものがありますね。
ベネディクトゥスは天羽さんの膨よかな歌も含め、何とも言えない慈愛に満ちていました。そして厳粛なアニュス・デイで終わりました。こちらも合唱が見事、シューベルトのミサ曲はバッハの技巧を感じる曲に比べて、より旋律主体で純粋な雰囲気でした。
最後はモーツァルトですが、その前に再び西村朗さんの説明が入ります。この草津の音楽祭で1987年から2011年まで草津アカデミー合唱団とオーケストラの指揮として参加されたイェルク・エーヴァルト・デーラーさんが昨年11月に亡くなられたので、デーラーさんを追悼してモーツァルトを歌うということでした。草津の音楽祭は参加された方々はみなファミリーなんですね。
日野妙果さんのアルトから入って合唱が続きます。トルコヴィッチさんも合唱に加わって仲間を追悼します。このアルトからの合唱には感動しますね。もう涙涙…。音楽の力って本当に凄い!
草津温泉の音楽祭の合唱曲のコンサート、昨年に続いて素晴らしかったです!素敵な音楽祭に2年連続で参加することができ、本当に嬉しい限り。しかも今年は音楽祭ができてから、ちょうど40周年です。
40周年おめでとうございます!ますますのご発展を祈っております!
(追伸)今回の草津音楽祭はバッハとシューベルトの特集でしたが、プログラムにはウィーン楽友協会資料室長のオットー・ビーバさんによる、シューベルティアーデについての大変興味深い記事が載っていました。私も仲間内で音楽の集いをしますが、大いに参考にさせていただきます!読み応えのあるプログラムは音楽のある人生を豊かにしてくれます。とてもいいですね。