昨日はボローニャ歌劇場の来日公演、素晴らしいロッシーニ/セヴィリアの理髪師を存分に楽しみました。そして、終演後にアルマヴィーヴァ1999を楽しむという余興も(笑)。そして今日はヴェルディ/リゴレット。何と言ってもジルダを歌うデジレ・ランカトーレさんがお目当てです!
ボローニャ歌劇場 来日公演
ヴェルディ/リゴレット
(オーチャードホール)
指揮:マッテオ・ベルトラーミ
演出:アレッシオ・ピッツェック
舞台:ダヴィデ・アマデイ
衣裳:カルラ・リコッティ
照明:クラウディオ・シュミット
合唱指揮:アルベルト・マラッツィ
リゴレット:アルベルト・ガザーレ
マントヴァ公爵:セルソ・アルベロ
ジルダ:デジレ・ランカトーレ
スパラフチーノ:アブラーモ・ロザレン
マッダレーナ:アナスタシア・ボルドィレバ
ジョヴァンナ:ラウラ・ケリーチ
モンテローネ伯爵:トンマーゾ・カーラミーア
マルッロ:アブラハム・ガルシア・ゴンザレス
マッテオ・ボルサ:ロゾリーノ・クラウディオ・カルディーレ
チュプラーノ伯爵:シモーネ・マルケジーニ
チュプラーノ伯爵夫人:アロイザ・アイゼンベルグ
小姓:キアーラ・ノタルニコラ
守衛:ジャンルカ・モンティ
ボローニャ歌劇場管弦楽団/合唱団
私がデジレ・ランカトーレさんのことがどうして好きなのかは、過去の記事に詳しく書きました。一昨年、パレルモ・マッシモ歌劇場の来日公演、ヴェルディ/ラ・トラヴィアータのヴィオレッタを聴いた後で、ご出身地のシチリア島の料理とワインを楽しんだのはいい思い出です。
(参考)2017.6.18 ヴェルディ/ラ・トラヴィアータ(パレルモ・マッシモ歌劇場)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12285239541.html
(参考)2017.6.18 シチリア料理&シチリアワイン
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12285800064.html
今回はリゴレットのジルダを歌います。しかも、2011年のボローニャ歌劇場の来日公演、あの感動のベッリーニ/清教徒でもコンビを組んだ、セルソ・アルベロさんがマントヴァ公を歌います。こちらも大変楽しみな公演です。
第1幕。序曲は悲劇的な大きなうねり、昨日聴いたロッシーニとの違いを実感します。序曲からリゴレットが舞台に登場。悔恨の念を思わせる演技。道化役の悲哀のような、この物語が終わった後のジルダを失った悲しみのような、どちらにも取れるような印象を受けました。
幕が開きました。赤い大きなベッドが出てきて、新国立劇場のコルンゴルト/死の都の第2幕に似た雰囲気。マントヴァ公の「あれかこれか」の歌。セルソ・アルベロさんは楽々と出す高音のきらめきが比類ない。
気付いたら花嫁姿の女性が舞台にいました?リゴレットと絡んでいたので、ジルダ???と思っていたら、何とモンテローネの娘でした!そしてモンテローネが登場、娘に手を出した公爵を訴えます。それを笑ったリゴレットを呪うモンテローネ。モンテローネの娘を登場させた演出は初めて観ましたが、モンテローネの想いをハッキリと視覚化して、非常に効果的でした。
スパラフチーレとリゴレットの場面は、チェロが何とも言えない音色の演奏。リゴレットが家に帰ると、ジルダはクローゼットのような部屋に。お人形を沢山持っていて、箱入り娘感が半端ない!(笑)まるで、新国立劇場のフィデリオのマルツェリーネのよう。リゴレットが家族を歌う歌には温かい音楽。ロッシーニとヴェルディの違いを体感します。
マントヴァ公が身分を隠してジルダにアプローチしますが、アルベロさんのスーツ姿は普通のそこらへんにいる気のいいお兄さんぽくてリアル(笑)。グアルティエール・マルディと歌うジルダは弱音を駆使してランカトーレさん魅せました!誘拐されるジルダ、リゴレットのラストの叫び、オケもたっぷりで聴き応え十分の第1幕でした!
第2幕。冒頭のマントヴァ公の劇的なアリアはアルベロさんの伸びやかな歌声が印象的、次の喜びの歌はラストをたっぷり伸ばして魅せました!リゴレットが悲しみの登場。女性たちがハンカチを差し出して悲しみを伝えます。リゴレットのアリア「悪魔め、鬼め」はアルベルト・ガザーレさん渾身の歌!もの凄い迫力!
その後のジルダの悲しみに暮れる儚げな歌もいい。そして道化の復讐の2重唱。ガザーレさんとランカトーレさんが思いをたっぷり歌ってスケールの大きな歌!オケも煽る煽る!最後はランカトーレさん渾身の最高音!もの凄いスリル!これです、これ!イタリア・オペラを観る愉悦!
爆発的なブラヴィーに鳴り止まない大きな拍手で、会場は大盛り上がり!と思ったら、何と2重唱をアンコール!今度はオケが終わる前から盛り上がる拍手!イタオペを観る醍醐味、大いなるカタルシスを感じました!
第3幕。冒頭のマントヴァ公の女心の歌はセルソ・アルベロさんは手慣れたもので、節回しなど自由自在、最後のハイCもたっぷり!こんなに楽に出してドキドキしないハイCも珍しい(笑)。何しろ、2011年のベッリーニ/清教徒では、見事なハイFで驚かせたアルベロさんです。
マントヴァ公がマッダレーナを口説き、ジルダがひどい!を連発する4重唱。バランスの良い見事な4重唱。このチームは本当にいい感じ。ジルダはひどいことをされても、マントヴァ公を救う決心をします。嵐の音楽の中、この辺りも聴き応え十分。船の中で身代わりになったジルダの影が消えていくのが切ない…。
死体の袋を渡されるもマントヴァ公の歌声が聞こえて混乱するリゴレット。瀕死のジルダが現れ、ラストのリゴレットとジルダの2重唱は泣かせました…。死を前にして、かなり動的な印象のランカトーレさんの演技。あの呪いが~!とリゴレットが大きく叫んで幕。
何この感動的なリゴレット!!!ヴェルディのドラマを十二分に伝える歌の饗宴!!!
いや~、また凄い公演に当たりました!デジレ・ランカトーレさん、アルベルト・ガザーレさん、セルソ・アルベロさんによる歌!歌!歌!他の歌手のみなさまも万全。マッテオ・ベルトラーミさんの指揮とオケも歌のドラマを大いに盛り上げて、素晴らしい公演となりました!
演出や舞台はセヴィリアの理髪師に引き続きシンプルなものですが、モンテローネの娘さんを登場させたり、第3幕の舞台を船にして変化をつけたり、見応え十分。私はリゴレットはミラノ・スカラ座の来日公演を過去2回観ていますが、スカラ座が完璧な芸術作品としてのリゴレットを観た印象であれば、今日はヴェルディの熱い歌とドラマを存分に体感した印象です。
アルベルト・ガザーレさんのリゴレットは2回目ですが、声が成熟して、いまぴったり合う役柄ではないでしょうか?もう抜群の歌でした!そしてデジレ・ランカトーレさんはもしかすると、以前のコロラトゥーラを得意としていた時期の方がジルダには合っているのかも知れませんが、今日は第2幕と第3幕が非常に聴き応えがありました。そして、チャーミングで人懐こいランカトーレさんの娘っぷりがまた絶品!素晴らしいジルダでした!
ということで、ボローニャ歌劇場の来日公演は、ロッシーニ/セヴィリアの理髪師、ヴェルディ/リゴレットともに素晴らしい公演。イタリア・オペラを観る喜びを存分に味わえました!2002年のロッシーニ/セヴィリアの理髪師、2006年のドニゼッティ/連隊の娘&ジョルダーノ/アンドレア・シェニエ、2011年のベッリーニ/清教徒&ヴェルディ/エルナーニと、来日公演の度に唸らされてきたボローニャ歌劇場。今回の来日公演も大成功ですね!
私はボローニャは一度行ったことがありますが、まだ現地では観ていません。ぜひそのうちに!と思っています。素晴らしい来日公演、本当にありがとうございました!
(参考)2014.1.1 ボローニャ観光
https://ameblo.jp/franz2013/entry-11756386342.html
(写真)夜に撮った写真ですが、ボローニャ歌劇場。いつか中で観劇してみたい。