先週のマティアス・ゲルネさんとのマーラーが絶品で、ニールセンはとても楽しかった(笑)、パーヴォ・ヤルヴィさんとN響。今日はオーストリア系のプログラムです!

 

 

NHK交響楽団第1916回定期演奏会Cpro.

(NHKホール)

 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ヴァイオリン:ギル・シャハム

 

バッハ (ウェーベルン編) /リチェルカータ

ベルク/ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出のために」

ブルックナー/交響曲第3番ニ短調(第3稿/1889

 

 

最初はバッハ/リチェルカータ。ウェーベルン編曲です。一音一音を積み重ね、違う楽器で展開していくウェーベルンのスタイル。とても面白く聴けました。3月にも東京・春・音楽祭でウェーベルン編曲のJ.シュトラウス2世のワルツを聴きましたが、ウェーベルンは編曲でも、一聴してウェーベルンを思わせる個性が感じられます。パーヴォさん、最後はたっぷり目で締めてお見事!

 

 

続いてベルク/ヴァイオリン協奏曲。私の一番好きなヴァイオリン協奏曲で、昨年の冬の旅行で聴いたイザベル・ファウストさんの演奏が大変印象に残っています。今日はどうでしょうか?

 

(参考)2018.1.7 ダニエル・ハーディング/イザベル・ファウスト/シュターツカペレ・ドレスデンのベルク&マーラー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12358384165.html

 

いや~、これがまた見事なベルク!この曲はNHKホールで聴くと、広すぎて伝わらない印象を持っていて、事実、一昨年のコンサートではそんな感じでしたが、今日はギル・シャハムさんのよく鳴る魅惑の音色のヴァイオリン(1699年製のストラディヴァリウス)、パーヴォさんとN響のメリハリや凄みの利いた演奏で、非常に聴き応えのある演奏でした!

 

シャハムさんはほぼ完璧なヴァイオリンだったのではないでしょうか?正確でよく鳴るヴァイオリンから、この曲のむせかえるような退廃的なロマンティシズム、そして祈りや浄化の雰囲気がよ~く出ていました。アンコールのバッハ/ガヴォットも艶やかで素晴らしい。久しぶりに聴きましたが、シャハムさん、見事なヴァイオリンでした!

 

この曲はご存じの通り、バッハのコラールが引用されています。バッハでウェーベルンとベルクをリレーしたプログラミングもいいですね。

 

 

 

後半はブルックナー/交響曲第3番。N響のブルックナー3番は過去にサントリーホールで聴いたヘルベルト・ブロムシュテットさん指揮の名演がよく記憶に残っています。その時は原典版でしたが、トリスタンとイゾルデの旋律が聴こえてきて、おおっ、これがそうか!とワクワクした記憶があります。今日は第3稿、パーヴォさんがどう料理するのか楽しみです。

 

今日はちょっとお疲れモード&終演後に飲みに行ってしまったので(だって今日は金曜の夜ですよ?笑)、詳しい感想は控えますが…、

 

またパーヴォさんがやってくれた!まさかの巨匠風の指揮!スケール感の半端ない3番!

 

いや~、恰幅がよく、スケール感の半端ない、壮大な3番でした!比較的ゆったりしたテンポの中、緩急を自在につけて、とても振幅の激しい指揮。私はこの曲はスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ/読響の、これまた曲のスケールの大きさを伝える見事な指揮を聴いた、素晴らしい思い出を持っていますが、今日のパーヴォさんは、スケール感ではそれを上回ります。N響もそんなパーヴォさんの振幅の激しい指揮に見事に応えていました。

 

とにかく第1楽章の冒頭のトランペットから神妙でただならぬ雰囲気の演奏。第1楽章途中のめくるめく展開のテンポ設定にも唸りました。第2楽章後半の盛り上がる場面も大きな呼吸の音楽が聴き応え十分。これですよ、これ!

 

第3楽章のピツィカートが利いたワルツの楽しさ。第4楽章は冒頭の特徴的な弦の刻みを抑えて、今まで聴いたことのないような響き、そしてラストは壮大なスケールの盛り上がり!終演後は客席からも沢山のブラヴォーが飛んでいました。こういう濃厚なブルックナーを聴きたい方、きっと多いですよね。N響の金管パートのみなさま、素晴らしい仕事でした!

 

 

パーヴォさんのブルックナーは1番がかなりユニークだった印象があり、3番もキビキビ系で来るのかな?とも思っていましたが、見事に予想が外れました(笑)。パーヴォさんの表現力の幅の広さには本当に脱帽します。こういう演奏を聴きたくて、コンサートに通うのです。ブルックナーが好きな方には必聴と思われる演奏。明日2日目があるので、ぜひ聴きに行かれることをお勧めします!

 

 

 

(写真)この絵は一体何でしょう?誰の肖像画でしょうか?今日はとても素晴らしい流れを作ることができました。次の記事で!