素晴らしかったミュージカル、BAND'S VISIT。一度ホテルに帰って仮眠を取り、夜はMETにオペラを観に行きました。演目はヴェルディ/オテロ。デズデモナは現在飛ぶ鳥を落とす勢いのブルガリアが誇る歌姫、ソーニャ・ヨンチェヴァさんです!
THE METROPOLITAN OPERA
Giuseppe Verdi
Otello
Conductor: Gustavo Dudamel
Production: Bartlett Sher
Set Designer: Es Devlin
Costume Designer: Catherine Zuber
Lighting Designer: Donald Holder
Projection Designer: Luke Halls
Revival Stage Directore: Gina Lapinski
Otello: Stuart Skelton
Desdemona: Sonya Yoncheva
Iago: Željko Lučić
Cassio: Alexey Dolgov
Emilia: Jennifer Johnson Cano
Lodovico: James Morris
Montano: Jeff Mattsey
Roderigo: Chad Shelton
(写真)美しい夜のMET。これ自体が一つの芸術作品のようです。
オテロはなぜか海外で観る機会に恵まれ、これで3回目。前回は2013年のヴェルディ・イヤーにイタリアはジェノヴァで観た公演でした。アンドレア・バッティストーニさんがブンブン指揮棒を振り回して(笑)、熱く指揮をしていたのをよく覚えています。
(参考)2013.12.27 ヴェルディ/オテロ(ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ劇場)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-11748326016.html
指揮者は先日のロサンゼルス・フィルとの来日公演も素晴らしかったグスターボ・ドゥダメルさん。登場すると大きな拍手と歓声!人気ありますね~。
第1幕。前面のスクリーンに大荒れの海、まるでジェノヴァの公演の再現のよう。そして、早くもソーニャ・ヨンチェヴァさんのデズデモナが出て来ました!オテロの無事の帰還を祈ります。スチュアート・スケルトンさんのオテロの第一声は立派な歌。
そして無事に帰った勝利の宴。アレクセイ・ドルゴフさんのカッシオは飲み比べでドンドン酔っていきます。あれ!?カッシオは一人で飲みますが、飲み比べの相手は次々変わります(笑)。そりゃ酔っ払いますね。もうベロベロに酔ったカッシオですが、剣は達者でやらかしてしまいます。諌めるオテロ。
ここでも早めに出てくるデズデモナ。ソーニャ・ヨンチェヴァさんの第一声は素晴らしい歌声!ほの暗め、気品があって、迫力も十分にあります。オテロとの二重唱も見事。オテロに付き従う、というよりはイニシアティヴを取って、とても動的なデズデモナ、という印象です。
第2幕。透明な階段を組み込んだセットが動いて舞台を造ります。ジェリコ・ルチッチさんのイヤーゴのクレドはたっぷり歌って見事なクレド!ヨンチェヴァさんが出て来ますが、白い肌に黒い髪に白系のドレス。子供たちに囲まれて花をもらって。めっちゃ可愛い!惚れた~!(笑) これは人気が出るはずですね。ひたすら弱いデズデモナというよりは、やはり動的な印象。
イヤーゴがデズデモナのハンカチをエミーリアから奪う場面は、イヤーゴがエミーリアを殴る演出まで付きました!狡猾なだけでなく、暴力的な面も見せます。最後のオテロとイヤーゴの二重唱も大いなる聴きもの。ドゥダメルさんはオケに爆発するような強調をよく入れて、ドラマ性を大いに高めていました。先日のロサンゼルス・フィルも良かったですが、ドゥダメルさんのオペラ、いいですね!
第3幕。ヨンチェヴァさん、今度は赤のドレスで登場。これがまたよく似合って綺麗!オテロとのやりとりは、決して虐げられるだけのデズデモナではなく、むしろ押しているくらい。途中の歌が心に沁みます。デズデモナが去った後のオテロの歌。放心状態でか弱いオテロという印象。オテロが隠れ見てのイヤーゴとカッシオのやりとりでは、あれ!?カッシオがデズデモナのハンカチに顔を埋めている?これはイカンでしょう?(笑)
伝令が到着して、みなが集まってからのやりとりもデズデモナは毅然としていて、ひたすらオテロの小ささが目立ちます。私のオテロでの一番好きな場面、デズデモナの歌から始まって大きな盛り上がりを描く場面は、ドゥダメルさん、テンポをたっぷり取って巨大な頂点!最後オテロはセットの中でうずくまり、大きなイヤーゴにさんざん罵倒されて終わりました。素晴らしい第3幕!
第4幕。ヨンチェヴァさんの「柳の歌」と「アヴェ・マリア」も大変な聴きもの。ドラマティックな歌もいいですが、ヨンチェヴァさんは繊細な歌もとてもいいですね。オテロとはここでも互角に対抗、しかし最後は力ずくでクッションで…。今回の演出では、オテロは立派な奥さんを持った男の悲哀の物語、ということがよく分りました。
初めて聴いたソーニャ・ヨンチェヴァさん、めちゃめちゃ素晴らしかったです!あまりにも魅了されたので、どうしてもヨンチェヴァさん目線の感想になりましたが、オテロと互角なデズデモナはヨンチェヴァさんのキャスティングを活かしたもので、とても観応えがありました。
既にご案内の通り、ヨンチェヴァさんは秋のロイヤル・オペラの来日公演はキャンセルになりました。そういう意味でも、今回METで生のヨンチェヴァさんを観ることができたのは、とても貴重な機会となりました。素晴らしいソプラノ、大いに魅了されたヨンチェヴァさん。ぜひまた近い将来に観てみたいです!(うわっー!またフラグっぽい!笑)