上岡敏之さんと新日フィルの定期を聴きに行きました。何と言っても、非常に珍しいマニャールの交響曲が目玉!クレール=マリ・ル・ゲさんのピアノも楽しみです!

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団第601回定期演奏会

(すみだトリフォニーホール)

 

指揮:上岡敏之

ピアノ:クレール=マリ・ル・ゲ

 

モーツァルト/交響曲第31番ニ長調「パリ」

ラヴェル/ピアノ協奏曲ト長調

マニャール/交響曲第4番嬰ハ短調

 

 

 

まずはモーツァルト。壮麗な第1楽章、たおやかな第2楽章、快活な第3楽章と、素敵なモーツァルトでした。上岡さんの指揮だとモーツァルトでさえ、普通に振っていても、何かやってくるんじゃないか?と身構えてドキドキしますね(笑)。

 

続いてラヴェル。とにかく第2楽章がしっとり、情感が込められてクレール=マリ・ル・ゲさんの素敵なピアノ!途中のイングリッシュ・ホルンとの掛け合いも素晴らしい!大いなる聴きものでした。第1楽章と第3楽章も透明感があり、しかも洒落たニュアンスに満ちたピアノ。アンコールの「鏡」も雰囲気たっぷりで素晴らしかったです。

 

 

後半は注目のマニャール。アルベリク・マニャール(1865-1914)はパリ生まれ、ヴァンサン・ダンディに師事したフランスの作曲家です。交響曲でコラールを使用するところから、「フランスのブルックナー」とも呼ばれているそうです。

 

私、新日フィルのプログラムが出るまで、この作曲家の名前は知りませんでした。チケットは早々に購入、試しに聴いてみたら…

 

何この名曲!神秘的な和声!

 

もう痺れまくりました!実演はこれを逃すとおそらく聴く機会はほぼないでしょう。非常に楽しみに聴きに来ました。

 

 

第1楽章。冒頭の神秘的でめくるめく序奏の音楽!マニャールの素晴らしさに一気に引き込まれます。ホルンが勇ましい第1主題、伸びやかで魅惑的なヴァイオリンの第2主題に魅了されます。

 

プログラムの解説には、「ベートーベンを範とし、ワーグナーに心酔したマニャール」とありましたが、後半の高音のきらめきのヴァイオリンで魅せる音楽は、R.シュトラウスのオペラの大団円の場面を彷彿とさせます。

 

第2楽章はエキゾチックなヴァイオリンとオーボエの掛け合いが楽しい。ヴァイオリンは「村祭りのフィドルの風情」と紹介がありましたが、先日、東京・春・音楽祭の特別企画でクレズマー音楽を聴いたばかりなので、またしても楽しめたお得感が(笑)。

 

第3楽章は前半の弦楽の慈しみに溢れた弱音の音楽が素晴らしい。それが後半は大きなスケールで奏でられて感動的。この楽章は本当に美しい楽章です。

 

第4楽章。ここは活発な第1主題、未来を先取るような第2主題の後、優しさに溢れたコラールが大いなる聴きもの。特に旋律の途中でハッとするような美しい和声を見せるのですが、何この素敵過ぎる音楽!

 

後半はぐっとスケールアップして出て来ますが、上岡さんはここで金管を朗々と吹かせた、スケールの大きなブルックナー風のコラールではなく、あたかもフランスの片田舎の教会で聴かれるような、清らかさと清々しさを持って吹かせていました!これには、そう来たか!と大いに唸りました!瑞々しい素晴らしいマニャール!

 

 

私は昨年9月にヘルベルト・ブロムシュテット/N響で素晴らしいステンハンマル/交響曲第2番を聴きましたが、非常に良かったので、今でもたまに聴いています。第3楽章を聴くと、踊るように指揮していたブロムシュテットさんが脳裏に浮かぶよう。アレクサンドル・ラザレフ/日フィルのグラズノフ/交響曲第8番も然り。

 

よく演奏される交響曲だけが名曲ではありません。マニャールの4番、また一つお気に入りの交響曲ができました。

 

 

アンコールは引き続き、フランスの素朴さをも感じさせる音楽。でも、途中でロッシーニ・クレシェンドが出てきて、「あれ~、ロッシーニの序曲でこんな曲あったかな?」と思ったら、ボワエルデューの「白衣の婦人」序曲でした。上岡さん、さすが!やりますね!

 

 

 

(追伸)昨日グスターボ・ドゥダメル/ロサンゼルス・フィルのマーラー9番が素晴らし過ぎて、帰りにウイスキー3杯飲んでしまいましたが(笑)、いいお酒は残りませんね。今朝はちゃんと起きて、コンサートの前に3時間、帰ってから4時間、ピアノを練習しました。スクリャービン/演奏会用アレグロ、とても難しい曲ですが、ゴールが見えてきました!明日も練習、練習です!