新年2019年の最初の観劇、リンカーン・センターにMETのモーツァルト/魔笛を観に行きました。
THE METROPOLITAN OPERA
Wolfgang Amadeus Mozart
The Magic Flute
Conductor: Harry Bicket
Production: Julie Taymor
Set Designer: George Tsypin
Costme Designer: Julie Taymor
Lighting Designer: Donald Holder
Puppet Designers: Julie Taymor, Michael Curry
Choreographer: Mark Dendy
Revival Stage Director: David Kneuss
English Adaptation: J. D. McClatchy
Tamino: Ben Bliss
First Lady: Gabriella Reyes
Second Lady: Emily D’Angelo
Third Lady: Maria Zifchak
Papageno: Nathan Gunn
Queen of the Night: Kathryn Lewek
Monostatos: Brenton Ryan
Pamina: Erin Morley
Speaker: Alfred Walker
Sarastro: Morris Robinson
Papagena: Ashley Emerson
(写真)メトロポリタン歌劇場。楽しそうに劇場に向かう子供たちの姿が!
METに入ると、客席には子供たちの姿があちらこちらに見られました。それもトナカイの角を付けていたり、コスプレしている子たちまで!あれ~?自席から舞台を見ると、何とそのトナカイの角が視界に!(笑) あの~、角が被るんですが?なんて無粋なことは申しません。むしろ、ここは舞台効果の一つくらいに考えて、楽しみましょう!(しかし、その舞台効果も、しばらくしたら睡魔との闘いに敗れたのか、いなくなってしまった件、笑)
子供たちも沢山観に来たニューイヤーのお楽しみの魔笛、ということで、感想はごく簡単に。
まず始まったらビックリ!何と、序曲がないんです(笑)。いきなり序曲後の3つの和音から始まりました。途中にも時々省略があって、これはお子さんたちに配慮したバージョンの公演のようです。1時間もすると、あちこちからぐずり始めますからね(笑)。中には、お子さんを抱えてトイレにダッシュするお母さんも(笑)。ちなみに通常は第1幕と第2幕の間に入る休憩もない、計2時間の公演でした。
さらに驚いたのはセリフが英語!(笑) でもいい感じに訳されていて、ドイツ語でなくても、そんなに違和感を感じません。こういうのって、翻訳は意味だけ訳すのでなく、元のドイツ語の響きを尊重したり、音楽に合わせたりするので、本当に難しいんだと思います。
また、演出には日本の伝統芸能を取り入れていました!夜の女性とモノスタトスは歌舞伎の白塗りのメイク、3人の侍女は能面のよう、パパゲーノの鳥たちなどの飛び道具は、随所で黒子が動物を操って文楽を思わせます。
先月に観た新国立劇場のニューイヤー・バレエでも、火の鳥の振付で文楽の人形遣いの踊り手が出ていて、ハイヒールの火の鳥を盛んにリフトしていましたが、ここニューヨークでも使われていて、世界の人形劇の中でもユニークな、3人で人形を扱う文楽の独自の魅力が評価されている、と思いました。そうなんです!日本には世界でも類まれなる、素晴らしい伝統芸能があるのです!
やはり子供たちに人気なのはパパゲーノ。立ち振る舞いや発言は相変わらずダメダメですが(笑)、何とも憎めないキャラです。私は昨年最後に観たのがファルスタッフで、今年最初がパパゲーノ(笑)。う~ん、何だかいい流れだ。オペラの登場人物で私が特に好きな役柄、2大アイドルです。人間、もっと自然体、素直に生きた方がいいよ。
歌手も指揮者もオケもMETらしくとても良かったですが、特に夜の女王のキャサリン・レウィックさんはさすがの歌でした。2017年にザルツブルク音楽祭で観たヘンデル/アリオダンテのジネヴラを思い出します。他のキャストも万全。METはどの公演も本当にクオリティが高いです。
第2幕最後のシッミ~ミ~ミレファッ♪シッファ~ファ~ファミソッ♪を聴くと本当に清々しい気持ちに。新年初日に魔笛を観て、ニューヨークにいるのに、まるで明治神宮におまいりに行ったかのような心境!2019年も幸先の良いスタートとなりました!
(写真)METの最寄りの地下鉄駅66 St-Lincoln Centerには不思議の国のアリスの壁画があります。