16日のBプロのコンサート、特にリムスキー・コルサコフ/シェエラザードが素晴らしかったトゥガン・ソヒエフさんとN響。もう一つの定期演奏会を聴きに行きました。グザヴィエ・ドゥ・メストレさんのハープも非常に楽しみです!

 

 

NHK交響楽団第1905回定期演奏会Apro.

(NHKホール)

 

指揮:トゥガン・ソヒエフ

ハープ:グザヴィエ・ドゥ・メストレ

ヴィオラ:佐々木 亮

 

リャードフ/交響詩「バーバ・ヤガー」

グリエール/ハープ協奏曲変ホ長調

ベルリオーズ/交響曲 「イタリアのハロルド」

 

 

1曲目はリャードフ。楽器が明晰に鳴ったあざやかな演奏で、伝説の魔女の不気味さ、賑やかさなど、よく伝わってきました。まるでデュカス/魔法使いの弟子のロシア版のような印象も(笑)。同じバーバ・ヤガーでも、ムソルグスキー(展覧会の絵)とリャードフでは雰囲気がかなり違いますね。

 

 

2曲目はグリエール。この曲の実演を聴くのは初めてですが、何と美しい曲、何と素晴らしいハープ!メストレさんは旋律を幻想的に弾いたり、切なく鳴らしたり、大きく弾(はじ)いたり、グリッサンドをたっぷり鳴らしたり、自由自在の見事なハープ!

 

N響も第1楽章の雰囲気たっぷりに立ち昇る第2主題のクラリネット、第3楽章のヴァイオリンによるきらびやかな第2主題など、ハープをしっかり伴奏しつつ、出るところは出てもう万全。チャイコフスキーへのオマージュのような和声進行も楽しい。夢のような素晴らしい30分でした!

 

 

 

後半はベルリオーズ。第1楽章。冒頭の瞑想や憂鬱を感じさせる音楽がいい!佐々木亮さんのヴィオラ独奏は洞窟から抜け出したかのような清々しさ、超然とした心境を感じさせるような見事な演奏です。その後に立ち昇るオケの響きと和声の進行はベルリオーズならでは。最後の盛り上がりにも魅了されました。

 

第2楽章。穏やかな巡礼の音楽。ハロルドの主題が顔を出すところには、同じように主題が楽章をまたいで出てくる幻想交響曲を思わせます。ヴィオラ独奏はアルペジオを繰り返しますが、穏やかな巡礼の背後にある人生の浮き沈みを表しているようでもあり、4拍子のアルペジオなので、巡礼に次々と十字を切っているかのようでもあり、とても象徴的。

 

第3楽章はセレナーデの音楽で、イングリッシュ・ホルンが牧歌的にセレナードの調べを奏でますが、セレナードと男女のやりとり、というよりは、それを遠くから眺めた、セレナードの歌われる情景の風景画のような演奏に聴こえました。この物語は私が昨年の夏に旅したマルケ州の南、ラクイラを州都に抱くアブルッツォが舞台です。

 

第4楽章はいよいよベルリオーズのダイナミックな管弦楽の妙を大いに楽しめる楽章。トランペットやトロンボーンなど金管が勢いよくキレよく吹かれて大迫力で素晴らしい!最後は色彩豊かな熱狂で終わりました!ソヒエフさんとN響の会心の演奏!イタリアのハロルドは久しぶりに聴きましたが、随所にベルリオーズの和声や管弦楽法の素晴らしさを感じて、やはりいい曲ですね。

 

 

この曲の曲想は今でも十分に楽しめますが、今年はベルリオーズ没後150周年。せっかくなのでこの機会に、ベルリオーズが着想を得たという、バイロンの「チャイルド・ハロルドの巡礼」を読んでみようかなと思いました。ウィリアム・ターナーの絵にも素晴らしい作品があります。

 

 

(写真)ウィリアム・ターナー/チャイルド・ハロルドの巡礼-イタリア

 

※ウィキペディアから

 

 

16日に続き、ソヒエフさんとN響の素晴らしい演奏を聴くことができ、非常に満足度の高いコンサートでした!嬉しいことに、ソヒエフさんは10月にも2回N響に客演する予定です。チャイコフスキー4番がメインのロシア・プロ、そしてドビュッシー&ベルリオーズ&ビゼーのフランス・プロの2つ。今から本当に楽しみです。

 

繰り返しですが、Cプロのステファヌ・ドゥネーヴさんといい、N響は今をときめく素晴らしい指揮者たちと、とてもいい関係にあります。海外の優れた指揮者が多く客演して、オケの機能や感受性がより高まり、それにより、また優れた指揮者が客演する、という好循環。N響のコンサートを楽しみにしている聴衆の一人として頼もしい限りです。

 

そして来月は、これまた楽しみなパーヴォ・ヤルヴィさんとの3つのコンサート。大いに期待します!