初日のミュージカル&ジャズで既にすっかりニューヨークの気分の中、旅行2日目。この日は大好きなフリック・コレクションを観に行きました。

 

 

 

(写真)フリック・コレクション。アッパー・イースト・サイド、セントラルパークのすぐそばにあります。

 

 

ニューヨークで美術館と言えば、メトロポリタン美術館とニューヨーク近代美術館(MoMA)が有名ですが、フリック・コレクションはピッツバーグの実業家フリック氏の収集した絵画が、フリック氏の元邸宅に飾られていて、調度品なども素晴らしく、トータルで美術を楽しめる珠玉の邸宅美術館です。

 

 

久しぶりに訪れて、改めて素晴らしさを堪能しましたが、特に印象的だったのは以下の絵です。

 

 

(写真)Jean-Auguste-Dominique Ingres/Comtesse d'Haussonville

※フリック・コレクションで購入した絵葉書より

 

何でしょうか、この惹き込まれる絵は!水色のドレスの質感と印影、左右下のソファーの極めてリアルな描かれ方も見事。ミステリアスな雰囲気もあり、とにかく魅了される絵です。目の前で観ると、ポーズは決して作られたものではなく自然で、やや寂しげな表情ですらあります。

 

クラシックが好きな方は、マティルデ・ヴェーゼンドンクの肖像画、マティルデが手を頬に当ててポーズを取っている絵を連想するかも知れません。マティルデの絵は何か作っている感がしますが、この絵のポーズは本当に自然体に見えました。

 

アングルは過去にパリで企画展を観た時にも大いに魅了されましたが、個人的に非常に惹かれる画家です。他にもいろいろ観てみようと思いました。

 

 

 

(写真)Joseph Mallord William Turner/Harbor of Dieppe: Changement de Domicile

 

昨年6月に新宿で楽しんだターナーの絵です。港町の豊かさや楽しさが良く表されている見事な絵!セピア色で、船を中心に海を描いて、まちを脇にした構図が素敵です。手前の船には恋人たちも見られます。船の数だけ人生のストーリーがある。素晴らしい船の群像画です。

 

(参考)2018.6.28 ターナー 風景の詩展(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12387085392.html

 

 

 

(写真)Joseph Mallord William Turner/Cologne, The Arrival of a Packet-Boat: Evening

 

このターナーの絵も素晴らしい!より明るい白に近い色調。今度は一艘の船をしっかり描いて、まちをより大きく描き、手前に魚獲りの仕掛けを配しているのがワンポイント。船旅の楽しさよく伝える絵。以上のターナーの2つの大きな絵は、大部屋の中央に対面して配置されており、主役の絵画の佇まいでした。

 

 

 

(写真)Pierre-Auguste Renoir/La Promenade

 

何という愛らしい絵!お揃いで公園の道を散歩している絵のようです。おしゃれして、これからバレエでも観に行くようなシーンにも見えますね。ブルー系の色合いがとても綺麗。ルノワールの描く女性はチャーミングで美しい。

 

このルノワールの絵のほか、Francois Boucherによる、春・夏・秋・冬の4枚の絵にも惹かれました。メルヘンを感じるチャーミングな乙女の絵、色合いが素晴らしかったです。

 

 

 

(写真)Giovanni Bellini/St. Francis in the Desert

 

構図、描かれている事物、色合い、質感、ものの見事な絵です。背景の丘の上はアッシジのまちでしょうか?ロバも見えます。神の啓示、自然の息吹を一身に感じている聖フランシス、という印象。大いなる感動!

 

 


さて、フリック・コレクションと言えば、フェルメールを3点も有していることでも有名です。ということで…、お待たせしました!(笑) フェルメールの3点をご案内します。

 

 

 

(写真)Johannes Vermeer/Girl interrupted at her Music

 

小さな絵。娘はやや驚いたような不思議な表情、この絵を観る者を見ています。テーブルにはリュートと楽譜、手に持っているのは手紙?男の人は迫っている雰囲気ではないですが、この表情が物語るものは?

 

フェルメールの常ですが、非常に丁寧に描かれた絵。渋めの色合いの中、娘の赤い服が印象的。後の”Officer and laughing Girl”とペアで展示されていましたが、その絵の後で見ると、こちらの絵の方が凄く進化しているように見えました。

 

 

 

(写真)Johannes Vermeer/Mistress and Maid

 

婦人の黄色と白の着物の繊細さ、テーブルの青のあざやかさがとても印象的。背景は黒なので、生活感を感じさせません。その一瞬を切り取ったかのよう。テーブルの上の箱の装飾が精緻で見事。手紙を書きかけのところに召使いが手紙を持ってきたように見えます。どんな手紙が来たのでしょうか?先に手紙が来てしまったのでしょうか?

 

 

 

(写真)Johannes Vermeer/Officer and laughing Girl

 

上の2つの絵を観てしまうと、フェルメールにしては少し粗さを感じる絵です。特に娘の服の金色が浮き立ちすぎてバランスが取れていない感じ。娘の表情は屈託なく笑っていて、どちらともつかない微妙な表情が多いフェルメールにしては珍しい。窓も凹凸を感じて具象的です。背景の地図はオランダならではですね。

 

 

見事な調度品に溢れた邸宅の雰囲気の中、それに溶け込むように置かれている絵画の数々を観ると、まるで邸宅に招待されたゲストとして絵画を眺めているような、とても豊かな気分になれます。フリック・コレクション、久しぶりに観に行きましたが、素晴らしい絵の数々に大いに魅了されました!

 

 

 

時間が前後しますが、フリック・コレクションの前に、この日はまずサラベスで朝食を取りました。目的はパンケーキです!

 

 

 

(写真)サラベスのパンケーキとラテアート

 

 

 

(写真)サラベス。ここのサラベスはセントラルパークの南のお店。

 

サラベスは東京にもお店が出ているので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。パンケーキやエッグベネディクトなどが有名な、朝食も楽しめるレストランで、「ニューヨークの朝食の女王」との評判もあるそうです。早めに並びましたが、さすが人気のお店、8:00のオープン前には50人くらいの列ができていました!(笑)

 

こういうのは先手必勝、ということで、朝早くから並んだのが奏功して、窓際のセントラルパークがよく見える席に案内していただきました。注文したのは、バターミルクパンケーキとカフェラテ。パンケーキはめっちゃ美味い!シンプルにパンケーキの美味さが伝わってきます。ラテアートも可愛い。大満足でした!

 

 

 

(写真)サラベスの近くには1985年のプラザ合意で有名なプラザホテル

 

 

 

さあ、美味しいパンケーキに素晴らしい絵画を堪能したので、次は観劇とまいりましょう。大変な人気でなかなかチケットが手に入らないというミュージカル。次の旅行の記事で!