素晴らしかったバッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ/クリスマス・オラトリオ!終演後は非常に晴れやかな気持ちになりましたが、その余韻の中、レストランに立ち寄ってちょっといいワインを開けました。

 

 

そのワインの名はシャトー・レヴァンジル。

 

 

ボルドーはジロンド川右岸のポムロル地区。メルロとカベルネ・フラン主体の卓越したワインの生産地ですが、有名なシャトー・ペトリュスに続いて、3本指には入ろうかという素晴らしいワインです。

 

ヴィンテージは1998年。右岸のグレート・ヴィンテージで、今年で20年になる熟成したワイン。今年は1998年もののポムロルやサンテミリオンのワインをいろいろ楽しんできましたが、そのラストを飾るに相応しい、大変価値のあるワインです。

 

 

(写真)シャトー・レヴァンジル1998。シンプルなラベルですが、真に偉大なワイン。2000年頃にプリムール(先物買い)で購入して、ずっとセラーに寝かせていたワイン。セラーを湿潤に保つための水分補給に伴うシミが、長い年月を物語ります。

 

 

 

ラストなので、年末どのタイミングで開けようか?思案していましたが、12月ではなく、この11月下旬のタイミング、クリスマス・オラトリオを聴いた後にしました。どうしてだか、分りますか?

 

 

それは、このシャトーの名前が「福音」(L'Evangile)だからなんです!

 

 

クリスマス・オラトリオは「福音書」の各場面を内容としていて、レチタティーヴォで物語をメインで語るテノールの役柄は「福音史家」。他の公演ではエヴァンゲリストという名前でも出てきます。

 

バッハ・コレギウム・ジャパの素晴らしいクリスマス・オラトリオの後に、「福音」の名を抱くグレート・ヴィンテージの20年もののシャトー・レヴァンジルを味わう。ここしかない!ということで開けることとしました。

 

 

 

色は20年経っていますが、まだまだ濃いボルドー・ルージュ。ただ、そうは言ってもこなれてきている雰囲気もあって、縁には若干のオレンジが見られました。美しい色合いのワイン。

 

香りはこれぞレヴァンジル!という素晴らしい香り!甘くて艶めかしく、土っぽさを感じます。レヴァンジルはポムロルの中でも特に好きなシャトーで、これまで20ヴィンテージぐらい経験していますが、その中でも傑出している印象。熟成香も感じますが、丸い甘さの心地良い香り。ボトルの後半になるに従い、ドンドン出てきました。

 

味は最初はエレガントな印象。サンテミリオンに近いイメージも持ちましたが、そこはやはりポムロルのワイン。甘くて旨味が十分、ふくよかで丸い味わい。酸味やタンニンはほとんど感じません。後半にどんどん出てきて、最後は力強さを感じ、ゴージャスな印象を持ちました。

 

 

レヴァンジルは長期熟成が可能なワイン。以前に1926年ヴィンテージ、80年もののレヴァンジルを経験したことがあり、生きていて美味しく飲めたことに感動しました。1998年もまだまだ熟成して良くなるポテンシャルも感じましたが、今、十分飲み頃を迎えていると思います。そして5年後、10年後ならば間違いなく美味しく飲めるでしょう。

 

 

素晴らしいクリスマス・オラトリオの後に、抜群のレヴァンジルを堪能することができ、大いに感激した一日でした!音楽もワインも信じられないくらいに素晴らしい!これからもいいものはいい、と素直に楽しんでいこうと思います。