新国立劇場バレエの2018/2019シリーズのオープニング、不思議の国のアリスを観に行きました。

 

 

新国立劇場バレエ

不思議の国のアリス

 

音楽:ジョビー・タルボット

振付:クリストファー・ウィールドン

装置・衣裳:ボブ・クロウリー

台本:ニコラス・ライト

照明:ナターシャ・カッツ

照明リプロダクション:サイモン・ベニソン

振付指導:ジャクリーン・バレット/ジェイソン・ファウラー

コレオロジスト:アナ・トレヴィアン

映像デザイン:ジョン・ドリスコル/ジュンマ・キャリントン

パペット:トビー・オリー

指揮:ネイサン・ブロック

 

アリス:小野 絢子

庭師ジャック/ハートのジャック:福岡 雄大

ルイス・キャロル/白ウサギ:木下 嘉人

アリスの母/ハートの女王:本島 美和

アリスの父/ハートの王:貝川 鐵夫

手品師/マッドハッター:菅野 英男

ライジャ/イモ虫:宇賀 大将

公爵夫人:輪島 拓也

牧師/三月ウサギ:清水 裕三郎

聖堂番/眠りネズミ:高橋 一輝

料理女:中田 実里

召使い/魚:井澤 諒

召使い/カエル:福田 圭吾

アリスの姉妹たち:飯野 萌子/広瀬 碧

執事/首切り役人:中家 正博

3人の庭師:小野寺 雄/佐野 和輝/中島 瑞生

 

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 

 

 

(写真)公演プログラム

 

 

 

あれ!?フランツさん、これまで全然記事に出てこなかったけど、新国立劇場のバレエも観るんですか?しかも、不思議の国のアリスと?

 

はい。新国立劇場のバレエも観に行きますよ~。以前はライモンダとか、こうもりとか、喜んで観に行ってましたが、このところ、かな~りご無沙汰。確認してみたら、2013年11月のバレエ・リュスのストラヴィンスキー3本(火の鳥・アポロ・結婚)以来なので、何と5年ぶりでした(笑)。

 

私はバレエは基本的に一度観た演目は観に行かず(予算の制約上、いろいろな作品を観たいから)、珍しい演目しか観に行かないので、今回はキター!っと喜んだしだいです。

 

不思議の国のアリス、メルヘンで夢があっていいじゃないですか!私は昨年はムーミン・バレエも観に行きましたよ~。侮らないでください(笑)。

 

 

新国立劇場に行くと、入口の床にトランプの絵が描かれていたり、アリスや白ウサギなどの立て看板があったり、とてもいい雰囲気でした。子供たちが沢山観に来ているのも楽しい。ドレスアップしておしゃまな女の子、いい感じの凜々しい坊ちゃん。とても明るい雰囲気の中での観劇となりました。

 

 

第1幕。冒頭からハリー・ポッターのような不思議な響きの音楽(ハリー・ポッター聴いたことないけど、笑)。リズムが時を感じさせます。舞台は庭での午後のティーセレモニーの風景、とても素敵な舞台です。小野絢子さんのアリスは、うす紫のコスチューム、踊りも含め、とてもチャーミング。

 

敵役となるアリスの母親が踊る場面では、オケが調子を外した音(笑)。ジャックはジャムを盗んだ濡れ衣で(アリスに赤いバラを渡し、お礼にアリスからジャムをもらったのが真実)、母親から解雇を言い渡されてしまいますが、そもそも嫌いな赤いバラを持ってきたことが気に喰わなかった模様。ジャックとアリスの別れのシーンが切ない…。

 

写真を撮るルイス・キャロルが白ウサギに変身する場面は、まずはお尻から白ウサギの尻尾が登場してお茶目(笑)。白ウサギでは鋭角的な踊りになって、違いを見せます。アリスも不思議の国へと通じる穴の中に入って場面転換。

 

場面転換はスクリーンに映像が入りますが、これが非常に優れた映像!部屋に閉じ込められたシーンでは、客席に紙吹雪が落ちてきて、ダンサーが客席に展開して見応えがありました。アリスが小さくなったり、大きくなったりするシーンも楽しい。

 

公爵夫人たちとの不思議な場面を経て、(ハートの)ジャックとの再会の場面はいい感じの踊りで感動的。しかし、ハートの女王が迫ってきて…。後半は次から次へとテンポよく展開して、とても見応えのある第1幕でした!

 

 

 

第2幕。神秘的な音楽とともに巨大なチェシャ猫のシーン。さすがクレジットに「パペット」が入るだけあるクオリティ。チェシャ猫のぬいぐるみがバラバラになったり、くっついたりして楽しい!これ、魔笛の大蛇のシーンで使えるかも?

 

チラシにも出ていたアリスがのどを撫でてゴロゴロのシーンも楽しいです。なお、チェシャ猫が普通の猫ではあり得ない、両手両足を広げ、腹ばいのポーズで空中を飛ぶシーンには萌えました(笑)。

 

アラブ風のシーンはキノコの家や背景がいい感じ。その後のアリスの神秘的な踊りのシーンも素晴らしい。みんなが出てきて華やかな踊りのシーン。一人パートナーのいないアリスはジャックを探します。そして遂に会うことができ、二人の踊りのシーン!音楽がグッと雰囲気出て、盛り上がります。

 

しかし、ハートの女王が出てきて、二人は再び離れ離れに…。最後は舞台の上から巨大な斧が出てきて、小さな赤いハートに刺さって終わりました。いかにもインスタ映えしそうなシーン。

 

第2幕が終わったら、周りのお客さんたちが一斉にスマホで撮り始めていました(笑)。幕も閉まらなかったので、劇場側も計画的犯行なのかも?(笑) 新国立劇場でこれを見ると、ギロチンが登場したアンドレア・シェニエを思い出しますね。

 

 

 

第3幕。緑の庭園の幾何学模様などの造形が見事な舞台。3人の庭師が白いバラを、ハートの女王好みの赤に塗りますが、一輪だけ塗っても塗ってもなかなか赤にならず、最後は反動で、他のバラまで全部白になって庭師たちがビックリするのが楽しい!(笑)

 

ハートの女王登場。第2幕で乗っていた乗り物より、さらに巨大な乗り物になって、ほとんどトゥーランドット(笑)。その乗り物から降りるシーンでは、乗り物がパカッと開くと、中にいた王様がこっそり新聞を読んでいたのが受ける!(笑)

 

ハートの女王はトランプの家来たちと踊りますが、家来たちがめっちゃ嫌そうに、うなだれて手を差し伸べたり、踊っている時に足をガクガク震わせたり、めちゃめちゃ楽しい!(笑)また美人の本島美和さんが滑稽な振付を面白おかしく踊って抜群に上手い!場内大きな笑いに包まれていました。

 

場面転換のトランプの家来たちの踊りも魅せました。白ウサギのコミカルな踊りの後、ジャックを裁く裁判の冒頭の踊りをハートの女王が踊りますが、最後はバレエの決めシーンでよく出てくる、クルクル回りながら舞台を大きく周る踊りを何と斧を持ちながら!

 

証人たちがジャックを見放した後、王様から弁明を求められたジャックの真実を体現するような素晴らしい踊り!そして音楽はチャイコフスキーとラフマニノフを合わせたような雰囲気いっぱいの音楽に!もう自然に涙が溢れてきます…。

 

さらにはアリスが勇気を出して証言に立ち、ジャックと二人で踊る感動の踊り!音楽の和声進行にも痺れます。この辺り、大いなる感動を覚え、ほとんど号泣していました…。恐るべし、不思議の国のアリス!!!

 

証人たちも翻ってジャックを支持。その流れに我慢ならず、何をしておる?とハートの女王が裁判の進行を務める白ウサギを責めますが、白ウサギはあさっての方向を見て、頭の後ろを掻いておとぼけ!めっちゃ受けました!(笑)これ、うるさい上司対策で使えるかも?(笑)

 

それでも諦めの悪いハートの女王は斧を振り回して襲いかかり、アリスとジャックは逃げ出します。最後は追われたアリスが登場人物の一人を倒すと、みなトランプのように次々と倒れて、一番最後のしぶといハートの女王も王様が引導を渡して、魔法の国は崩壊しました。

 

 

現実に戻ってのラストシーンはめっちゃセンスがいい!夢のある素敵なラスト!心の底から素晴らしいバレエでした!

 

 

いや~!本当に素敵なバレエでした!ドレスデン→ドレスデン→ハンブルクのサントリーホール3連発で相当な集中力を求められたので、実は、今日はかなり気楽な気持ちで観に来ましたが、結局、第3幕のジャックとアリスの感動のシーンで号泣するハメに。

 

何この、不思議の国のアリスの破壊力!(笑)

 

めちゃめちゃ素晴らしいバレエでした!そして、強力にお勧めします!お子さんのいらっしゃる方、ぜひ観に行かれてみてください!とお勧めしようと思ったら、何と、チケットが全日ソールドアウトのようですね?(ネット上での確認) 後は当日のZ席のみとなりますか。いやはや、これは凄いことです。ご覧になられる方、お楽しみに!