今回のN響への客演でも、ブルックナー9番、マーラー1番と素晴らしい指揮を披露してきたヘルベルト・ブロムシュテットさん。得意の北欧の作曲家の曲を指揮する、最も楽しみにしていたコンサートを聴きに行きました。

 

 

NHK交響楽団第1896回定期演奏会Bpro.

(サントリーホール)

 

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

 

ベートーベン/交響曲第6番ヘ長調「田園」

ステンハンマル/交響曲第2番ト短調

 

 

(参考)2018.10.13&14 ヘルベルト・ブロムシュテット/N響のモーツァルト&ブルックナー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12412142414.html

 

(参考)2018.10.20 ヘルベルト・ブロムシュテット/N響のハイドン&マーラー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12413382635.html

 

 

 

前半はベートーベンの田園。速めのテンポ、自然体の指揮と演奏。気になったのは第3楽章のホルンが目立っていたのと、第4楽章のティンパニが急ぎ足で叩いていたことくらい。装飾をあまり施さず、聴こえてきたのは純粋なベートーベンの音楽。至福の時間でした!

 

 


後半はステンハンマル/交響曲第2番。ヴィルヘルム・ステンハンマル(1871-1927)はスウェーデンの作曲家。そして代表作が今日演奏される交響曲第2番。20代の頃、北欧の作曲家の交響曲をCDでいろいろ聴いた時に、1~2回さらっと聴いた記憶がありますが、実演は初めてです。ブロムシュテットさんのステンハンマル!年間予定で見つけた時から、ただただ名演の予感しかしません(笑)。

 

 

第1楽章。冒頭からの弦の第1主題は民族的な旋律の音楽。スウェーデンの作曲家ですが、何となくスコットランドの民族音楽と言っても通用しそうな印象。第2主題は旋律のラインが1音ずつ上がっていく直球勝負の清々しい音楽!

 

1回目をサラっと行って、2回目を盛り上げる演奏もありますが、ブロムシュテットさんは1回目からタップリ!2回目はもっとタップリ!(笑) とても魅了されます。最後の旋律の絡み合う立派な音楽も本当に聴き応えがあります。素晴らしい第1楽章!

 

 

第2楽章は素朴で落ち着いた音楽が慎重に進んで行きます。途中、パルジファルの聖杯の騎士達の歌に似た旋律が木管で奏でられてニヤリとさせられますが(笑)、ブロムシュテットさん、ここをテンポ良く、急ぎ足にしていたのが印象的。

 

後半には、7月に聴いたエルガー/ゲロンティアスの夢の前奏曲にも似た、弦の歌う痺れる和声の音楽!こみ上げてくる感動!今日はここで涙涙でした…。

 

 

第3楽章は踊りの音楽。ドヴォルザークでも、シベリウスでもない、独特なリズムの踊りの音楽ですが、ブロムシュテットさんの曲想を高める抜群のリズムと強調!何という91歳!後半はややひなびた雰囲気の音楽、北欧の寂しげな田舎の風景を思わせます。

 

 

第4楽章。弦のリズムの刻みとか、旋律が次から次へと湧いてくるところはシベリウスの音楽を、弦の緊迫した緊張感はニールセンを思わせます。この辺り、充実の音楽で、非常に聴き応えあり。その後、点画のようにピツィカートで音を重ねて進んでいくところはとてもユニーク。

 

第2主題に入る前の場面では、ブロムシュテットさん大きくアッチェレランドをかけて盛り上がり、そして沈黙。とても魅了される導入!そしてその第2主題。クラリネットで素朴に始まり、次々フーガでリレーでつなげられて行きます。ラストに向けて、古典的な手法の音楽と、新しい響きの音楽が重層的に絡まり高まっていく場面は本当に感動的!ほとんどブルックナーの5番を思わせます。

 

そして最後の最後に第1主題が朗々と響き渡る音楽!大いなる感動でまた涙…。そしてラストはフランクの交響曲に似た、眩いばかりのオルガン・トーンの音色で終了!素晴らしいステンハンマル!!!

 

 

 

ステンハンマルは緩急やメリハリを大きく付けて、非常に聴き応えのある指揮!ブロムシュテットさんの至芸を十分に堪能できました!N響もよく応えて、素晴らしい演奏!ブロムシュテットさんも感激の面持ちでしたね。

 

今日が今回の客演の最終日なので、カーテンコールで女性の奏者から花束を受け取ります。笑顔が本当に素敵。そして鳴り止まぬ大きな拍手。みなから愛されるブロムシュテットさん。とてもいい光景でした!

 

 

次回は来年11月ですね。今度はどんな選曲なのか?どんな演奏になるのか?今から本当に楽しみです!