10月13日(土)は、大野和士/リーズ・ドゥ・ラ・サール/都響のジャン・フルネ没後10年記念のフランスもののコンサートと、ヘルベルト・ブロムシュテット/N響のブルックナー9番がメインのコンサート、いずれも素晴らしい2つのコンサートを聴きました。

 

とてもスペシャルな日にして土曜日、ということで、今年中に楽しもうと思っていた1998年のボルドー右岸の残り4本のワインのうち、特別なワインを開けました。

 

それはシャトー・ヴァランドロー1998。

 

このワインは、サンテミリオンで急速に評価を高めたシンデレラワイン。生産量が少なく、非常に希少価値の高いワインです。おいそれと開けられるワインではありません。この日が開けるに最も相応しいタイミングでしょう。

 

 

(写真)シャトー・ヴァランドロー1998

 

 

色はやや淡くなり始めているボルドー・ルージュ。ただし真ん中はまだ十分に濃く、縁に茶やオレンジは見られません。まだまだ若さを感じます。

 

香りは七変化(笑)。始めはサンテステフやグラーヴっぽい土の香り。続いてマルゴーっぽいミルキーな香り。最後はメルローを中心とした妖しい、でも抜けは綺麗に整うサンテミリオンの香りとなりました。これらが時間と共に複雑に混ざり合い、ずっと魅了されていました。

 

味は最初から最後まで旨味が十分!バランスが非常によく、旨味と甘さと酸味が完璧に調和します。本当に美味しいワイン。口に含んだ時のボリューム感、円やかな口当たりが非常に心地よい。タンニンは最後の方でごくわずかでした。

 

とてもこなれていて、今がちょうどいいタイミングで十分美味しく飲めますが、あと5年置いても、より良くなる可能性を秘めた素晴らしいワインです。

 

 

このワインは20年もの。91歳のヘルベルト・ブロムシュテットさんの至芸から比べると、もちろんまだまだかも知れませんが、それでもやはり経てきた年月がもたらす素晴らしさを十分に体感しました。私が熟成したワインの記事を書く理由の一つは、最近、特にボルドーが早く飲まれてしまうのを、本当にもったいなく思うからです。

 

 

ワインも人間も、時を経てその良さが大きく花開く時が来る。ブロムシュテットさんの指揮、これからも本当に楽しみです!