素晴らしい演奏が続くラトルさんとロンドン交響楽団の来日公演。その最後のコンサートを聴きに行きました。

 

 

ロンドン交響楽団

(サントリーホール)

 

指揮:サー・サイモン・ラトル

ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン

 

ラヴェル/バレエ「マ・メール・ロワ」

シマノフスキ/ヴァイオリン協奏曲第1番

シベリウス/交響曲第5番変ホ長調

 

 

 

1曲目はラヴェルのマ・メール・ロワ。冒頭から鳥がささやくような木管、懐かしい音色のチェロ、メルヘンの世界に惹き込まれます。全体的にゆったりしたテンポで、しっとりとした眠れる森の美女、寂しげな親指小僧、活き活きしたパゴダの女王レドロネットと、丁寧に描いて、とても雰囲気のある演奏でした。

 

終曲、妖精の園はメルヘンの極致の音楽。ラトルさんはこの曲をおそらくベルリン・フィルでもやっていると思います。ベルリン・フィルのマ・メール・ロワ、私はピエール・ブーレーズ盤を聴いて、その精緻さに驚愕しましたが、ロンドン交響楽団との演奏には温かさと情緒がありました。非常に味わいのあるラヴェルでした!

 

 

2曲目はシマノフスキのヴァイオリン協奏曲。大好きな交響曲第3番のすぐ後に書かれた曲です。4つの交響曲やピアノ曲ほどは聴き込んでいませんが、実演を聴くのを楽しみにしていました。

 

冒頭からシマノフスキの幻想的で陶酔的な音楽に非常に魅了されます!官能的という意見もあるようですが、私はちょっと違うイメージ。官能的とはスクリャービンのためにある言葉のように思います。いずれにしても、私の好みとして、どストライクな音楽、心揺さぶられまくりました。

 

ジャンセンさんのヴァイオリンが見事!スケールの大きなヴァイオリン、揺るぎない凜とした旋律の歌い方、低音部ではずり下げを入れて懐かしい音色にしたり、曲想を大いに高めていました。

 

途中、ラヴェルのダフニスとクロエ、コルンゴルトの交響曲などの雰囲気を感じるのも楽しい。最後の方のスクリャービンさながらのヴァイオリンの駆け上がりには、ニヤリとさせられます(笑)。ラトルさんは強調を入れたり、溜めたりと、いろいろ盛り上げていましたが、最後の方には大きなルフトパウゼ!ズバッと決まって見事でした。素晴らしいシマノフスキ!(次回の来日公演で交響曲第3番を熱望!)

 

 

ヤンセンさんのアンコールは何と!ラトルさんのピアノに合わせてラヴェルの小品。息の合った演奏で盛り上がりました。ラトルさん、その後に、ヤンセンさんにもう1曲やってきなよ?と促していたような雰囲気でした(笑)。

 

 

 

後半はシベリウスの5番。第1楽章。ややゆったり目の入り、恰幅のよい冒頭です。ヴァイオリンから走るのかな?とも思いましたが、走らず。代わりに2拍目のアクセントをかなり強く付けていました。

 

途中からの弦のトレモロが続く場面は、弦をかなり抑えた、ごくごく弱音で。この辺りはシベリウスの繊細な音楽に痺れます!霧が晴れての金管は、さすがはロンドン交響楽団!最後の追い込みも迫力ありました。

 

第2楽章と第3楽章は基本的に自然体の指揮。やはり金管が魅せますね。第3楽章の白鳥の主題はスケール大きく。白鳥が堂々として飛んでいく雰囲気です。最後の息の長い高まり、そしてラストの金管6連発も見事。恰幅のよい聴き応えのあるシベリウスでした!

 

 

アンコールは何と、24日でも取り上げられたスラブ舞曲op.72-7!しかもその時の演奏よりも明らかにリズムの切れが良く、途中にスタッカートを入れたり、たっぷり溜めたり、雰囲気のあるノリノリの指揮!

 

実はこのスラブ舞曲op.72-7は24日のコンサートの感想として、以下のようにブログに書いていました。

 

「よりチェコの鋭いリズム感が求められる速い曲よりは、ゆっくりな曲の方がより良かったように思いました。7曲目はチェコのオケのコンサートのアンコールによくかかる大好きなリズミカルな曲。大いに盛り上がって終わるのに拍手ができないのはちょっと悲しい。」

 

(参考)2018.9.24 サー・サイモン・ラトル/クリスチャン・ツィメルマン/ロンドン交響楽団のバーンスタイン/不安の時代

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12408007757.html

 

 

今日のアンコールのキレキレのスラブ舞曲op.72-7。これ、もしかして、私のブログが読まれたのではないか?という密かな疑惑が(笑)。

 

 

ラトルさん 「何?ゆっくりな曲の方がより良かった、ということは、速い曲は今一つだったってことかい?俺のワイフはチェコ人だぞ、舐めんな!えいっ!」

(注)ラトルさんの奥様はチェコのマグダレーナ・コジェナーさん。奇しくも24日の感動のヤナーチェク/シンフォニエッタで描かれるまち、ブルノのご出身です!もしかして、そういう思いもあったのかも知れませんね?

 

あるいは、

 

コジェナーさん 「あなた!フランツがこんなこと、言っているわよ!目にものを見せてやってちょうだい!」

ラトルさん 「御意!」

 

※上記の会話は妄想の産物、全くのフィクションです(笑)。

 

 

いずれにして「大いに盛り上がって終わるのに拍手ができないのはちょっと悲しい」というモヤモヤを解消させていただけた、素晴らしいアンコールでした!私もここぞとばかりに大いに拍手。ラトルさん、またロンドン交響楽団との来日していただける時を楽しみにしています!