昨日に続いて、レナード・バーンスタイン生誕100周年を記念するコンサートを聴きに行きました。初めて聴く三ツ橋敬子さんの指揮、東京ニューシティ管弦楽団の演奏も楽しみです。

 

 

東京ニューシティ管弦楽団第119回定期演奏会

(東京芸術劇場コンサートホール)

 

指揮:三ツ橋 敬子

ソプラノ(企画・音楽構成):柴田 智子

テノール:大田 翔

バリトン:大山 大輔

ソプラノ:浅川 荘子

ヴォーカル:飯塚あゆみ・白鳥光夏・中村桜子・豊川いず美・中野太一

合唱:東京合唱協会

 

 

生誕100年記念「バーンスタイン・アメリカン・シアターミュージック」

 

第1部

 

ガーシュウィン/歌劇「ポーギーとベス」より

 キャットフィッシュ・ロウ

 サマータイム

 ベス、おまえは俺のものだ

バーンスタイン/「オン・ザ・タウン」より交響組曲「三つのダンス・エピソード」

バーンスタイン/「ミサ」より簡素な歌

バーンスタイン/「ソング・フェスト」より「君の言葉に答えよう」「ブルゴスの女」

 

第2部

 

バーンスタイン/「キャンディード」より序曲

バーンスタイン/「ワンダフル・タウン」より「オハイオ」

バーンスタイン/「ピーターパン」より「ドリーム・ウィズ・ミー」

バーンスタイン/「ウエストサイド・ストーリー」より

 交響組曲「シンフォニック・ダンス」

 バルコニーシーン

 サムホエア

 アメリカ

バーンスタイン/「キャンディード」より「私たちの庭を作ろう」

 

 

 

まずはガーシュウィン/「ポーギーとベス」より。先月のPMFでも、札幌市立伏見中学校吹奏楽部の素敵なポーギーとベスの演奏を聴きましたが、今日はその時に聴けなかったナンバーです。三ツ橋敬子さん、サマータイムをじっくり響かせて、気だるい雰囲気をよく表していました。柴田智子さんの歌も素敵。

 

次はバーンスタイン/「オン・ザ・タウン」より。この曲は賑やかで楽しくて、本当にいいですね。オケの旋律に「ニューヨーク、ニューヨーク」がこだまします。

 

続いてバーンスタイン/「ミサ」より「簡素な歌」。ミサなのにエレキギターを使っていることがよく言われる曲ですが、ライヴで聴くと、頻繁に出てくる「ラウダ」の歌詞もあって、エレキギターは昨年に聴いたモンテヴェルディ/聖母マリアの夕べの祈りの、テオルボの響きを連想します。まるで現代のオーケストラでの演奏でも、古(いにしえ)の宗教曲を思い起こすかのよう。

 

前半最後はバーンスタイン/「ソング・フェスト」より。音楽に社会問題や政治をぶっ込んできて、時に物議も醸した社会派のレニーですが、そんなソング・フェストの歌詞も、今聴くと古典にすら思えます。

 

 

 

後半は全てバーンスタイン。まずは「キャンディード」序曲。これは屈託なく楽しい!こんなにウキウキする曲もそうそうないように思います。三ツ橋敬子さんは複雑なリズムを見事に捌いていました。

 

次は「ワンダフル・タウン」より「オハイオ」。ニューヨークに出てきた姉妹が、故郷のオハイオを揶揄しつつ、帰りたいと郷愁を募らせる曲。オハイオの牧歌的な雰囲気、途中の揶揄して盛り上がる場面。もう抜群の音楽が付いて、楽しくもホロリと泣かせます。


続いて「ピーターパン」より「ドリーム・ウィズ・ミー」。ピーターパンはディズニーが有名ですが、近年レニーの自筆譜が見つかって、新たにレニーの作品として演奏されるようになった曲、と紹介されました。またこれがとても魅力的な曲!

 

レニーはもしミュージカルや映画の音楽だけを書いていたら、おそらく50作品くらいはヒット作品を書いたのではないでしょうか?レニーの溢れる才能がそれを許さなかった、ということですね。

 

続いては昨日に続いてウエスト・サイド・ストーリー。名曲は毎日聴いても全く飽きない。昨日は映画に合わせるため、どうしても窮屈な演奏になりましたが、今日はニューシティ管弦楽団は伸び伸び豊かに鳴らした演奏、非常に楽しめました。

 

特に感じたのが、シンフォニック・ダンスのフィナーレ。ここは「アイ・ハヴ・ア・ラヴ」の旋律が静かに流れますが、三ツ橋敬子さんの指揮が絶品!マリアとアニタが歌う歌。これはもしかすると男性指揮者には出せない味わいなのかも知れません。アメリカでの女性陣の熱演も楽しかったです。

 

 

そして最後は「キャンディード」より「私たちの庭を作ろう」。今年はバーンスタイン生誕100周年ということで、レニーの曲をいろいろ楽しめて本当に素晴らしい年ですが、まだこのキャンディードのフィナーレを飾る曲を聴けていないことには少し寂しさを感じていました。

 

柴田智子さんの先導、途中から合唱も加わって感動の「私たちの庭を作ろう」!最後、ちゃんと”Any questions?”も入れてくれました。三ツ橋敬子さんはラストを壮大に鳴らします。東京ニューシティ管弦楽団も見事。ブラボー!そして、こんな素晴らしい企画を立てていただいた、柴田智子さんには感謝の気持ちしかありません。

 

 

 

私はこのキャンディードの壮大なラストが大好きですが、特にこの歌詞が好きです。

 

 わたしたちは純粋でも賢くもよい人間でもないけれど、

 わたしたちの知りうるベストを尽くすのです。

 

キャンディードは、キャンディードとクネゴンデが幾多の困難を乗り越えて、この境地に至る自分探しの物語でもありますが、結局はシンプルに前向きに自分たちのできるベストを尽くそう、というのがその境地です。

 

私はレニーのことが大好きで、2001年にこの作品の実演を佐渡裕さんの指揮で観ることができました。その時の公演の最後に鳴り響く壮大なラスト!中でも上記の言葉は非常に印象に残り、私の生きる上での姿勢の1つになっています。

 

これからも、日々前向きに、さまざまなことにおいて、自分のできるベストを尽くしていきたいと思います。

 

 

(参考)バーンスタイン/「キャンディード」より「私たちの庭を作ろう」

https://www.youtube.com/watch?v=-DROkQJc_F0 (5分)

※BBCの公式動画よりプロムス2015の公演。最初のシンプルな入り、途中の転調、最後の壮大な合唱。本当に感動的なラストです!