鈴木雅明さんのオルガン、鈴木優人さんの指揮、バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱による、バッハ生誕333年を記念するコンサートがあったので、聴きに行きました。

 

 

J.S.バッハ生誕333周年記念特別演奏会

(東京オペラシティ コンサートホール)

 

オルガン:鈴木雅明

指揮:鈴木優人

合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン

 

J.S.バッハ/クラフィーア練習曲集第3部

 

 

今年は苦手なバッハを勉強しようと思い、せっせとバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートを聴きに行っていますが、このコンサートはその流れで知りました。333年とは切りのいい数字ではないようにも思えますが、3はキリスト教と密接なつながり(三位一体)のある数字です。

 

バッハのオルガン曲は7月にトン・コープマンさんのオルガン・リサイタルに熱狂したように、私には聴きやすいジャンル。しかも、全く同じではないですが、コープマンさんのリサイタルの後半のバッハの曲の構成と今日のクラフィーア練習曲集第3部の曲の構成はかなりシンクロする内容。とても楽しみです!

 

(参考)2018.7.13 トン・コープマンさんのパイプオルガン・リサイタル

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12390739156.html

 

 

 

まずプログラムに追加で入っていた、鈴木雅明さんの最近のツイッターのコピーが抜群に面白い!今回のクラフィーア練習曲集第3番、別名「オルガン・ミサ」を解説した内容ですが、「指がもつれる異様に複雑な対位法」や「聖霊の鳩が全部十字架型、というのはなんだかアニメ的だが見事な編曲」などの親しみやすいツイートも(笑)。

 

短い場合は5分ごとにと、頻繁になされたツイートですが、極めて充実の内容!評論家の批評の類は表層的でさっぱり面白くないことが多いですが、演奏家の知識や見識、見えている世界って本当に凄い!しかも、オルガン・ミサの27曲にちなんで、ツイートも27という凝りよう(笑)。

 

 

 

最初のプレリュード変ホ長調BWV552/1はオルガンによる晴れやかな曲。バッハのオルガンを聴く喜び、ワクワク感に一気に引き込まれます!鈴木雅明さんはコープマンさんの勢いのあるバッハと好対照の、じっくりとオルガンを鳴らした充実の響き。

 

その後はオルガンと合唱がコラールを代わる代わる披露して行きます。バッハ・コレギウム・ジャパンのいつもながらの卓越した合唱による真摯な歌。オルガンはピュアなストップによる高音が中心に奏でられ、心洗われる音楽が続きます。

 

前半最後のコラール「われらみな一なる神を信ず」BWV680のオルガン演奏は荘厳な音楽。重々しい短調でゆっくり進んでいき、最後、長調に転換する瞬間の感動!

 

 

後半。3曲目は鈴木雅明さんのツイートによると、バッハの究極の難解作品、最も不気味な曲と説明のあったコラール「点にましますわれらの父よ」BWV682のオルガン演奏。確かにバッハにしては不思議な雰囲気でしたが、前日にバーンスタインとマーラーを聴いた耳には至って聴きやすく(笑)。

 

 

(写真)これが鈴木雅明さんのツイートのコピーに載っていた、難解なコラール「天にましますわれらの父よ」BWV682の楽譜。オルガン奏者はこの3段の楽譜を見てオルガンを弾いているんですね。鍵盤の2段に足で弾くパートが加わって3段。そして綺麗に揃った音符ではないし、さらには判読が怪しい音符すらあります(笑)。これらを瞬時に読み取り、音にするオルガン奏者って本当に凄い!

 

 

続くコラール「天にましますわれらの父よ」BWV683のオルガン演奏は、細かく刻む下降音が続くチャーミングな音楽に魅了されます。鈴木雅明さんはここを、「まるで天使が上り下りするかのような」と表現。何と素敵な表現!聴いてみて、正にその光景を思い浮かべました。

 

オルガンと合唱によるコラールが終わり、オルガンによるデュエットが4曲続きますが、そのストップの選択から、ここは最後のフーガに向けて、小鳥、カエル、フクロウなどがミサの参加者を祝福する音楽に聴こえました。

 

最後はフーガ変ホ長調BWV552/2。重厚な音楽、二重対位法、旋律が見事に絡み合う素晴らしい音楽!最後は高まって行き、壮大な長調のフィナーレ!

 

 

何この晴れやかさと満たされた感!バッハを聴く至福!

 

 

思えば、最近の大きな出来事として、札幌→札幌→金沢と3週間連続で旅に出ました。もちろんどの旅も最高に楽しく、札幌も金沢も、周辺のまちや温泉も非常に良かったのですが、体力的にはかなりキツかった旅(笑)。あたかもバーンスタインとドビュッシーの巡礼の旅の様相。

 

すると、今日のバッハのオルガン・ミサのコンサートは、その巡礼の旅の果てに、巡礼教会に辿り着き祝福を受けたような、そんな清々しい気持ちになりました。心の底からの感動を味わえた素晴らしい演奏会!ハレルヤ!

 

 

(追伸)なお、終演後、鈴木雅明さんと鈴木優人さんがガッチリと握手したシーンに感動!このお2人がいま日本にいて、世界最高レベルのバッハを聴くことができる。これは本当に幸せなことだと思いました。