エゴン・シーレの没後100周年の記念展、ウィーン1900年展に続き、レオポルト美術館の企画展、アントン・ロマコ展を観ました。
「ええ~!?1つの美術館で、そんなに沢山の企画展をやってるの~?」
「ウィーンに行ったなら、早く音楽の記事に進んでよ~!チンチンチン!(お皿叩く音、笑)」
いやいやいや(笑)。私も当初はモーツァルトの後の記事は1つに、と思っていましたが、とにかく企画展の内容が素晴らしく、結局3つの記事になってしまいました(笑)。
レオポルト美術館は地下2階、地上5階の巨大な美術館で、各階で企画展をやっています。イメージとしては、Bunkamuraのザ・ミュージアムの展示空間が計5階分ある、そんな感じです。今回はウィーンに所縁のあるアントン・ロマコの企画展をご紹介します。
アントン・ロマコ(1832-1889)はグスタフ・クリムトやエゴン・シーレよりも前の世代の画家です。ウィーンで絵を勉強し、ローマで活躍した後、ウィーンに戻ってきました、しかし、その頃ウィーンでは、ハンス・マカルトが人気を博していたので、ウィーンではあまり評価されなかったそうです。独特の筆致の絵で、肖像画はモデルを美化することなく、特徴をそのまま出したような絵が多いように思います。
特に気になった絵をご紹介します。
(写真)Anton Romako/Girl Holding a Rabbit
※購入した図録より
可愛らしい少女がウサギを抱き抱えている愛らしい絵ですが、よくよく見ると、ウサギが歯をむき出しにして、凶悪な顔をしているようにも見える、何ともユニークな絵です。現地で観た時は、インパクトあり過ぎで、思わず笑ってしまいました(笑)。他に、犬と一緒の絵、牛と一緒の絵もありました。
(写真)Anton Romako/Fishing for Love
これはヴィーナスとキューピッドが釣りをしているように見える絵です。小さくて見えないかもですが、キューピッドは入れ物の中に沢山の魚を抱えています。タイトルが”Fishing for Love”になっていて、現地で観た時は瞬間的に、ヴィーナスが逆に男性を待っている絵なのかな?(魚は何匹釣ろうとターゲットではない)と思ったのですが、改めて観てみると、そうでもなさそうな不思議な絵です。
(写真)Anton Romako/Girl from the Sabine Hills
オレンジ売りの南国の女性が、七面鳥を従えている色あざやかな絵です。女性の青と赤、オレンジのオレンジ色と緑と、色の力強さを感じます。このような南国の女性の絵が何枚もあったので、ロマコのお気に入りの主題なのかも知れません。
(写真)Andon Romako/Odysseus in Front of Circe
オデュッセウスとキルケの絵です。魔女のキルケの差し出す食べ物を食べて、オデュッセウスの部下はみな豚になってしまいますが、オデュッセウスだけはヘルメスの薬草のおかげで姿を変えず、部下を元の姿に戻すことに成功します。しかし、結局オデュッセウスはキルケの魅力に屈して、1年間一緒に暮らす、というギリシャ神話の物語です。あれ!?部下たちは豚でなくヤギになっている?
(写真)Anton Romako/Barcarolle
この絵はタイトルを見た時にハッとしました。Barcarolle!アメブロで交流のあるHaruさんが練習している、ショパン/舟歌と同じタイトルだからです。写実的な絵の多いロマコですが、この絵は、とても幻想的な絵です。ショパンの曲のイメージとはあまり結びつかなさそうにも思いますが、Haruさん、いかがでしょう?
実はアントン・ロマコのほかに、ZORAN MUŠIČという画家の企画展もやっていて(googleで画像検索すると、印象的な絵が沢山出てきます)、これにも非常に魅了されました!若い頃と年取った時で作風がガラリと変わっていて、芸術家の繊細な感受性、感性の豊かさに感銘を受けました。
ヨーロッパを旅して、例えばルーヴルやプラドなど、有名な美術館の常設展示を観るのは大いなる喜びですが、今回のレオポルト美術館の企画展のように、東京でもなかなかお目にかかれない画家の企画展を、全くの予習なしに観るのは、新しい画家との純粋な出逢いを楽しめて、これがまたとってもいいんです。
以上3連発の記事となりましたが(笑)、素晴らしかったレオポルト美術館に釘付けになった記事はこれにて終了です。あ~、やばい!、そろそろコンサートホールに行かないと!
(写真)レオポルト美術館の現地でもらえる案内の資料。何と、ご紹介した4つの企画展のほか、もう2つ企画展をやっていました!(笑)最上階の現代美術の展示では、大好きなルネ・マグリットの不思議な絵、Le BanquelやL'Appel des Cimesまで!レオポルト美術館、どんだけ凄いんでしょう!