図らずもケーキ2連発でお腹が満たされたので、音楽イベントまでの間、美術館に行くことにしました。どこの美術館に行くか?今回の旅では、まずここに行こうと決めていた美術館がありました。

 

 
 

まずは、そのいきさつについて。冬の旅行で、エクスカーションで行くはずだった目的地が、前日の天気予報で吹雪だったため、急きょウィーンの美術館を巡りました。

 

(参考)2018.1.2 ウィーン観光(ベルヴェデーレのグスタフ・クリムトとエゴン・シーレ)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12349891051.html

 

この時にグスタフ・クリムトやエゴン・シーレの絵を沢山観ましたが、そのクリムトとシーレ、実は今年は没後100周年であることが、後日分かったのです!

 

何だ、吹雪で行けなかったおかげで、価値のあるタイミングで観に行けた訳ですね!本当に何が幸いするか分かりません(笑)。

 

そこで、今回の旅ではクリムトとシーレに着目したところ、ちょうどシーレの没後100年を記念した企画展をやっていたので、レオポルト美術館に観に行きました。

 

 

 

エゴン・シーレのコレクションで世界一を誇るレオポルト美術館の記念展。8つくらいのテーマに分かれてシーレのいろいろな絵が展示されていて、もう圧巻でした!

 

シーレと言えば、独特な雰囲気の男女のヌードの絵が有名ですが、私は以前からシーレの風景画に非常に惹かれています。今回は特に以下の絵が印象に残りました。

 
 

 

(写真)Egon SchieleCrescent of Houses II Island Town

購入した絵葉書より

 

これは本当に見事な家の風景画です。川の中州のようなところに、所狭しと建ち並ぶ家々。形といい色といい、独特な雰囲気で、何かゴッホの絵に通じるものを感じます。3番目の「死のまち」の絵もそうですが、人の気配がしないんですよね。川向こうの奥の背景は緑ですが、街路樹は枯れていて、何かこの中州だけ朽ちているようにも思えてきます。

 

 

(写真)Egon SchieleHouse with Shingle Roof Old House II

 

これも見事な家の絵、今度は一軒の家で、部屋が分かれています。屋根の細かい描写がとてもいい。白い空は曇っている、というよりは、ほとんど石化しているのではないか?と思えるような質感です。ところどころに赤や青、緑も見えて、人の営みを伺わせますが、しかしやはり人が出てこない絵です。

 
 

(写真)Egon SchieleDead City III City on the Blue River III

 

以上、2枚の人の出てこない家の風景画をご案内しましたが、これはもう全く人気(ひとけ)を感じない絵、正に「死のまち」です。この絵を実際に間近で観ると、建物自体はまだしっかりしていますが、それにも関わらず、廃墟感がこちらにビンビン伝わってきます!暗い色遣いが本当に見事。

 
 

 

(写真)Egon SchieleStylized Flowers in Front of a Decorative Background

 

これは生け花の絵です。シーレは木や花の絵も独特の世界観を持っていますが、いろいろあった中から、一番印象に残った花の絵をご案内します。構図、そして紫とオレンジの対比が印象的です。

 

 

 

そのほか、絵葉書はありませんでしたが、エゴン・シーレの以下の絵にも惹かれました。

 

Poem A Self-Portrait

キャンバスに詩を書いた文字だけの作品ですが、文字がとても構成的で優れた美術作品のよう。

 

Lovers

この世に裸の男女2人しかいない荒野。男性が女性を後ろから抱きすくめていて感動的。参考の記事に掲載したシーレ「家族」の絵の前の段階のような気もします。

 

Blind Mother

盲目の母親に抱きつき、幼児2人が顔をめり込むようにして母乳を吸っている力強い絵。

 

Baby

赤ちゃんの絵ですが、目付きが鋭く、手だけシーレ独特の節くれ立った手の絵です。恐ろしい…。

 

Cardinal and Nun

枢機卿と尼僧の絵。赤と紫の対比が見事ですが、あたかもいけない場面を見てしまったかのよう…。

 

Self-Portrait as Saint

シーレが自らを聖人に例えた絵。頭に輝く聖人の黄金の丸が印象的。

 

The Friends Round Table

シーレが友人達と会食をしている部屋の絵ですが、ほとんど最後の晩餐を思わせるかのような絵。お皿にはフルーツ、赤いフランケンのボトルが印象的。

 

 

 

レオポルト美術館のエゴン・シーレ没後100周年記念展、非常に見応えがありました!私はシーレは必ずしも好みの画家という訳でもありませんが、一人の芸術家の凄まじい生き様、戦慄を感じるまでのオーラのある絵には大いに敬意を表するものです。

 

この企画展は今年11月4日までやっているので、もしウィーンに行かれる機会のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧になられることをお勧めします。

 
 

 

(写真)レオポルト美術館。エゴン・シーレの所蔵、世界一を誇る美術館です。