バッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ/祝祭のカンタータのコンサートを聴きに行きました。
バッハ・コレギウム・ジャパン
J.S.バッハ:教会カンタータ全曲シリーズvol.74
祝祭のカンタータ
(東京オペラシティ・コンサートーホール)
J.S.バッハ/前奏曲とフーガ ハ長調(オルガン独奏:鈴木 優人)
J.S.バッハ/カンタータ第182番《天の王よ、ようこそ》BWV182
ヤコブス・ガルス/モテット《アレルヤ。キリストよ、御身の復活に》
マルティン・ロート/モテット《主なる神にわれら絶え間なく喜び歌わん》
J.S.バッハ/カンタータ第31番《天は笑い、地は歓呼せん》BWV31
J.S.バッハ/カンタータ第172番《響け、歌よ、高らかに》BWV172
指揮:鈴木 雅明
ソプラノ:ジョアン・ラン
アルト:ダミアン・ギヨン
テノール:櫻田 亮
バス:加耒 徹
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
冬の旅行の途中、ライプツィヒの聖トーマス教会のミサで、バッハのマニフィカトを聴く機会を得たこともあり、今年は不得手なバッハを勉強してみよう、と思っています。そこで、3月末にはバッハ・コレギウム・ジャパンのマタイ受難曲のコンサートも聴きに行きました。
(参考)2018.1.6 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のバッハ@聖トーマス教会
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12356825816.html
(参考)2018.3.30 バッハ・コレギウム・ジャパン/マタイ受難曲(聖金曜日)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12364558068.html
勉強でライヴの体験に勝るものはありません。世界的にバッハの素晴らしい演奏で知れ渡っているバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサート。東京で聴けるのに、これを聴きに行かない手はありません!ということで、祝祭カンタータ3曲を中心としたコンサートを聴きに行きました。
バッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートに行ってまずすることは、プログラムの購入。プログラム代1,100円ですが、これが非常に充実の内容で、バッハ勉強中の身に多くの啓示を与えてくれます。特に大好きなのが、音楽監督の鈴木雅明さんの巻頭言。溢れ出るバッハの深い知見ととめどない愛情。ご自身のバッハ演奏やヨーロッパ体験など、読み応え抜群の内容です。
私、批評家の書いたものは正直に言って玉石混淆なので、なるほどと思う時と、ガッカリする時と半分半分ですが、実際に演奏をされているアーティストや作曲家の書いたものは、どれも実体験に基づく真実味が宿り、一級品の読み物だと思います。(なお、今日も100円玉を持って行くのを忘れて、お釣りをいただいてしまいました…。次回は絶対に100円玉を忘れずに持って行くこと!笑)
1曲目はバッハのオルガン曲。この冬の旅行でも、いろいろな教会やコンサートーホールでオルガンを聴き、新しいオルガンとの出会いは本当に素晴らしいものがありましたが、ここ東京オペラシティ・コンサートーホールで聴くオルガンにはホーム感があります。鈴木優人さんの手による、素晴らしいバッハでした!
曲順は順不同で、次にヤコプス・ガルスとマルティン・ロートのモテット。ラテン語による素朴な旋律のモテットですが、非常に心洗われました。バッハ・コレギウム・ジャパンは演奏自体も素晴らしいですが、プログラムの順番の妙を非常に感じます。ちなみに、ヤコブス・ガルスはスロヴェニア出身の作曲家。スロヴェニアの作曲家の曲を聴くのは、もしかして初めてかも知れません?(なお、旅行記でスロヴェニアに関する話題が出てくる予定)
そして、カンタータの3曲。いずれも見事な演奏でした!中でも、第182番の最後の合唱、第31番の最初のソナタと続く合唱、第172番の最初の合唱など、非常に聴き応えがありました!第31番の途中では、リコーダーが活躍しますが、リコーダーのほのぼのとした優しい響きには本当に癒やされますね。
白眉は第172番の第5曲、ソプラノとアルトによる対話:魂と聖霊との愛の二重唱は、「『銀細工の透かし模様』のような対位法」と呼ばれる曲。ソプラノとアルト、オーボエ、チェロによる4声の繊細な対位法は、ワーグナー/タンホイザー第2幕後半やバーンスタイン/ウエスト・サイド・ストーリーのトゥナイト5重唱など、もっと複雑な対位法を聴いてきた耳にも、とても聴き応えがありました。ジョアン・ランさんとダミアン・ギヨンさんの歌も素晴らしかったです。
バッハ・コレギウム・ジャパンの祝祭のカンタータ、非常に楽しめました!3月のマタイ受難曲はまだまだ理解の途上、という感じでしたが、カンタータは3曲とも予習で1回しか聴きませんでしたが、どれもスッと入ってきます。逆に、どうしてマタイ受難曲だけは、なかなか馴染めないのか?不思議に思いますが、改めて、宗教音楽の最高峰と言われるこの曲を理解してみたい、と強く心に思いました。
最後に、鈴木雅明さんの巻頭言にあった、素敵な締めの言葉をご紹介したいと思います。
(中略)人の痛みをふと和らげるカンタータの力は、こうした音楽の奥底に込められた言葉との合一の力によるものかもしれません。音楽と言葉は、あたかも魂と聖霊の対話のように、「私はあなたのもの、あなたは私のもの」と語り合っているように思えます。この渾然一体となった力こそ、私たちが、カンタータを今なお演奏し続ける意味にほかなりません。
(写真)当初はライプツィヒの聖トーマス教会の写真をアップしようと思っていましたが、昨日のウィーンのスイーツの写真に釣られて…、ついついバッハにちなんだスイーツの写真に(笑)。聖トーマス教会そばのカフェ、カンドラーのバッハトルテとバッハターラーです。う~ん、こんなことばっかしているので、なかなかマタイ受難曲に辿り着けないのかも知れませぬ…(泣)。