ケイマス・ヴィンヤーズで有名なカリフォルニアのワグナー・ファミリーのワインの試飲会に行きました。
ワグナー・ファミリー・オブ・ワイン スペシャルテイスティング
(エノテカGINZA SIX店)
①コナンドラム・ブラン・ド・ブラン2016
②メール・ソレイユ・シルヴァー・アンオークト・シャルドネ2015
③エモロー・メルロ2015
④カベルネ・ソーヴィニヨン2015(ケイマス・ヴィンヤーズ)
⑤ケイマス・スペシャル・セレクション・カベルネ・ソーヴィニヨン2008(1500ml)(ケイマス・ヴィンヤーズ)
⑥ケイマス・スペシャル・セレクション・カベルネ・ソーヴィニヨン2010(1500ml)(ケイマス・ヴィンヤーズ)
ケイマスは名前こそ耳にしますが、まだ飲んだことのないワインです。ケイマスのカベルネ・ソーヴィニョンがどんなものなのか、ファミリーでどんなワインを展開されているのか、理解するために参加しました。
今回の試飲会に合わせて、カリフォルニアからオーナー兼ワイン・メーカーのチャック・ワグナーさんが来日されました。ご両親とチャックさんとで1972年にケイマス・ヴィンヤーズを始めて46年、今は4人のお子さんも加わってワグナー・ファミリー・オブ・ワインに成長しましたが、依然として家族経営を守っています。プレゼンで自分たちは、”1st farmer, 2nd wine maker”とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
①はスパークリング。色は淡い金色、銀のニュアンス。香りは爽やかな青リンゴ、若干のリキュールのような甘い香りも感じます。味はややドライで酸のボリューム感を感じます。ブラン・ド・ブランですが、シャンパーニュのシャルドネ100%のものとは明らかに一線を画しています。「コナンドラム」とは「なぞなぞ」という意味。5種類の白ブドウが使われていて、ワグナーさん、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ヴィオニエ、シュナン・ブランまで紹介して、「え~、あと何だっけ?笑」 5つ目の品種は最もスタンダードなシャルドネでした。何とワグナーさんにとってもなぞなぞでした!(笑)
②はシャルドネの白ワイン。色は綺麗な黄色ですが、緑の雰囲気も。香りは華やかで甘い蜜の香り、同時にミネラルも感じます。味は甘味を感じ、滑らかで、とろけるよう。溢れるまでの旨味を感じます。ワグナーさんのお話では、これは息子さんのチャーリーさんが作っているワイン。シャブリに感銘を受けて、オークなしで作っている。ナパ・バレーの南、海に近いモントレーで産出。冷涼な土地なので、自然と綺麗な酸になる。十分に冷やして飲んでほしい、とのことでした。正に「カリフォルニアのシャブリ」(濃厚なシャブリ・プルミエ・クリュに相当)という素晴らしいワインでした!
③はメルロ。色は赤紫、縁はまだ紫の色がくっきりです。香りは甘いメルロの香りが、ストレートに伝わってきます。味は柔らかくて甘い、心地良くフィットする味です。これは娘さんのジェニー・ワグナーが作っているメルロ100%のワイン。市街地に近いオーク・ノールという土地で作られている。ピンクやオレンジ色の軽い土壌の土地で、メルロの生育に適している、涼しいので熟したタンニンとなる、とのことでした。
④からいよいよケイマスです。色は赤紫。香りはカベルネ・ソーヴィニョンの甘い香り、ピュアで柔らかい印象です。味は甘い!ストレートな甘さです!複雑味を感じず、シンプルで素直な印象。ワグナーさんによると、若くして飲めて、カベルネ・ソーヴィニョンの果実味がよく出ているワイン、とのことでした。
⑤はケイマスのスペシャル・セレクション2008。色は一番こなれていて、縁もやや淡くなってきていますが、まだまだ若い印象です。香りはチョコレート、ドライフルーツ、ナッツ系のリキュール、とにかく甘い香り。味は優しくて上品、優雅な甘さ、スルスル飲めます。
何この丸くて柔らかくて優しいタンニン!
ワグナーさんのお話では、スペシャル・セレクションは、特に土地でセレクトしているのではなく、12月に全ての樽をブラインド・テイスティングして、特別な樽だけで作るワイン。柔らかなタンニンを意識して作っている。個人的には10年ものがベストだが、20年、30年、40年持つポテンシャルがある、とのことでした。このスタイルとして、カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニョンの1つの頂点と感じました。
⑥はケイマスのスペシャル・セレクション2010。色は⑤より濃く感じます。香りは⑤と同じく甘くて心地良いですが、まだパーツパーツに別れていて、溶け込むまでは行っていない印象です。味は⑤に比べるとまだ酸を感じて、もう少しこなれた方が良い印象を持ちました。あと10年くらいは寝かせた方がいいように思います。
最後にワグナーさんから、畑やご家族の写真を沢山見せていただきました。素晴らしい畑や風光明媚なカリフォルニアの山や海の写真にも魅了されましたが、私が一番印象に残ったのは、ワグナーさんがトラクターを運転していて、その膝の上に小さい頃の息子のチャーリーくんを載せていた写真と、その次に、成長してワインを作り始めたチャーリーさんがワグナーさんと肩を並べて笑顔で写っている写真でした。
ワインはそのまま飲んでも美味しいお酒ですが、その育まれたヒストリーや生産者の情熱や愛情に触れると、より一層素晴らしく感動的な飲みものになります。私が試飲会に足繁く参加する大きな理由の一つです。
今回のおもてなし攻撃は、さすがにケイマスはお値段的に手が届かないので…、とても美味しかったシャブリを指向している②と対をなす、オークの樽を使った芳醇な白ワイン、メール・ソレイユ・リザーヴ・シャルドネ2015にしてみました。②と飲み比べてみるのがとても楽しみです。
え!?何か忘れてる?あっ!そうそう。
え~、お待たせしました!(笑)ワグナーさんからサインをいただく時に、意を決して、一人のオペラ・ファンとして避けて通れない質問を敢行しました。
私 「あの~、作曲家のリヒャルト・ワーグナーとは、何かご関係があるのでしょうか?」
ワグナー(Wagner)さん 「いやいや、ないよ(笑)。」
ですよね~(笑)。
(写真)メール・ソレイユ・リザーヴ・シャルドネ2015。ワグナーさんのサイン入り。オークの樽を使っていないワインと使っているワインの比較、大変楽しみです。2025年を目途に開けてみようと思います。