ヴィースバーデン観光の後、列車で15分のエルトヴィレに戻りました。ここは地球の歩き方にも載っていないまちですが、調べてみると、「薔薇のまち」の称号を持っている、とてもチャーミングなまちのようです。まずは一番の観光スポットである選帝侯城塞に行きました。

 


(写真)エルトヴィレは薔薇のまち

 

(写真)選帝侯城塞


この中世の城塞は14世紀に建てられ、150年間もの間マインツ大司教と選帝侯の居城でした。バラの庭園が有名で、グーテンベルクが最晩年を過ごした場所でもあります。


(写真)バラの庭園、以下バラの花

 

 

 


 

バラの庭園はシーズンを外しているので、どうだろう?とも思いましたが、結構沢山咲いていました!シューベルトの「野ばら」が似合いそうな可愛らしい小バラ、これでもかと固まりになって咲いているバラ、パルジファル第2幕のクンドリの誘惑の場面の背景に相応しそうな一凛の大きな赤いバラなど、バラには本当に沢山の種類があるんですね。

 

 

(写真)ヨハネス・グーテンベルクのプレート

 

そして、もう一つの見どころ、グーテンベルクの展示室に入りました。グーテンベルク所縁のまちとしては生誕地でグーテンベルク博物館のあるマインツが有名ですが、ここエルトヴィレはグーテンベルクの活版印刷技術によって最初に繁栄した街とのことです。どのような仕組みで活版印刷技術がなされたかや、印刷された本の数々が展示されていました。一番貴重なのは、ラテン語とドイツ語の辞書だそうです。
 

また、中世の趣きのある原色の色あざやかな絵の入った本もありました。映画「薔薇の名前」では秘密の迷宮の図書館に辿り着いた時に、ウィリアムとアドソがそのような本の数々に熱狂しますが、その時の心境がよく分かる魅力的な本でした。
 

 

城塞のショップの方に、バラの庭園の見頃はいつですか?と尋ねたら、「6月よ!」と即答でした。今回もかなり楽しめましたが、6月に来てみれば、きっとめくるめく世界が展開されていることでしょう。いつか6月にゆっくり訪れてみたいものです。

 

 

城塞を見終わったので、まちを周ります。木組みの雰囲気のある家や教会、ワイナリーがあってとてもいい感じ。各々の家ではそれぞれ違う種類のバラを植えていて、まち全体をバラで飾っているかのよう。住んでいる方々みんなで協力して、「薔薇のまち」を守っている様子が体感できます。こういうのは本当にいいですね!


(写真)木組みの家

 

(写真)まちなかのバラ

 

(写真)聖ペーター&パウル教区教会

 

(写真)さきほどヴィースバーデンのラインガウ・ワイン祭りで楽しんだKoeglerのワイナリー

 

(写真)いい感じの噴水


 

そして、坂を下りると、その先に大きな川が見えました。ライン川です!

 

(写真)ライン川の雄大な流れ(これは城塞の最上階からの眺め)

 

ライン川は以前にケルンやボンでも見ていますが、久しぶりに見ることができ感動しました!私はライン川と言えば、コルンゴルトのオペラ「死の都」のピエロの歌を思い出します。オペラの舞台はもちろんブルージュですが、ピエロがライン出身で、マリエッタに促されて歌う、故郷のライン川沿いでの魅惑の娘との踊りを懐かしむ哀愁ただよう歌です。今回の旅ではこの後、ライン川が何度も出て来ますが、このピエロの歌が繰り返し頭に流れ、鼻歌まじりに歌っては、旅情が高まりました。

 

(参考)コルンゴルト/死の都から「ピエロの歌」

https://www.youtube.com/watch?v=gqb5bsSuse4

※YouTubeでバリトンご本人がアップしているものから選んでみました。素敵な歌ですね!


オペラだと、2:56から8人のソプラノによる陶酔的なヴォカリーズも加わって、さらに感動的。まだの方はぜひオペラもご覧になられてみてください。
 

 

エルトヴィレは薔薇に城塞に木組みの家にワインにライン川にと、本当に素敵なまちでした!フランクフルトから電車で1時間と近いので、ご興味があったら、ぜひ立ち寄られてみることをお勧めします!(続く)