雰囲気あり過ぎてワインも絶品だったエーベルバッハ修道院観光の後、バスでエルトヴィレに戻り、列車で15分のヴィースバーデンに行きました。目的はブラームスが交響曲第3番ヘ長調を書いた家です!

 

以前、拙ブログに書いたように、私はブラームスの3番が苦手で、ブラームスが何を伝えたいのか今一つよく分かっていません…。実は交響曲2番ニ長調も疑問に思っていたことがあったのですが、その2番を作曲したオーストリアはヴェルター湖畔の美しいペルチャハに行ってみて、その疑問がスッキリと氷解した経験があります。今回も何かを掴めれば、と期待を胸に行きました。

 

 

(写真)ブラームスの家にある、交響曲第3番ヘ長調を書いた記念のプレート

 

駅からバスで15分、徒歩5分のその場所にブラームスの家はありました。緑豊かなちょっとリッチな住宅地にある印象です。記念館になっている訳ではなく、今も人が住んでいるようなので、家の写真はありません、ごめんなさい。

 

ヴィースバーデンはペルチャハのように湖畔の避暑地でなく、バーデン・バーデン(人口5万人)やバート・イシュル(人口1万5千人)のような小さな温泉保養地然としているまちでもなく、今のまちを見てみれば、普通の大きな都市(人口28万人)に温泉もある、というイメージです。どうしてブラームスがこのまちに来て、この家で作曲したのか?訪問してみても、残念ながらあまりイメージが湧きませんでした…。

 

逆にそうであればこそ、まちうんぬんでなく、このまちに住んでいた陽気で快活なアルト歌手のヘルミーネ・シュピースの存在が大きかった、決定的だったのかな?とも思ったしだいです。

 

ということで、実際に訪れてみての感想は、ブラームス3番の鍵はやはりヘルミーネ・シュピースにあるようです。50歳にして26歳のヘルミーネに惹かれたブラームス。その心境はどのようなものだったのでしょうか?第1楽章の短調のような長調のような不可思議な響きや、第4楽章最後のモヤモヤのコーダ。もっと想像力を働かせて聴かねばいけませんね。

 

 

さて、とにもかくにも、ブラームスの家を訪問する目的は果たせました。次はヴィースバーデンのまちを観光しましょう!

 

(写真)ヘッセン州立劇場。新日フィルの音楽監督の上岡敏之さんが以前に音楽監督を務められていた劇場です。ヴィースバーデン5月音楽祭が有名。結婚の記念撮影をしていました。どうか、お幸せに!

 

(写真)クーアハウス(カジノ)。ドストエフスキーはここで全財産を使い果たして、その体験が小説「賭博者」で描かれています。言うまでもなくプロコフィエフのオペラ「賭博者」の原作。「お前には遺産は一切やらないよ!ハーハッハッハッ!」と相続者の将軍に啖呵を切っておきながら、自分がカジノで豪快に負ける「おばあさま」が面白過ぎて最高です(笑)。
 

 

そして、ヴィースバーデンを訪れたもう一つの大きな目的は温泉です。そう、ここヴィースバーデンは温泉で有名、中でも、カイザー・フリードリヒ温泉はユーゲントシュティール様式の優雅な装飾の素晴らしい温泉とのことです。

 

(写真)カイザー・フリードリヒ温泉の浴場(HPより)。めっちゃ綺麗ですね!

 

ヨーロッパの温泉は大概そうですが、男女混浴で、かつサウナなどでは水着もタオルで隠すこともNG、すっぽんぽんの産まれたままの姿にならなければいけません!私はこの温泉を旅程に組んだ時から、土日はプールで2~3km泳ぎ、平日は筋トレ、と身体を鍛え、万全の体制で臨みました。日本人男性代表として、現地の方々に「あのヤパーナーはなかなかいいね」と思われたいし、ひょっとしてひょっとすると、素敵なドイツ人女性とアヴァン◯◯ールのチャンスがあったりするかも!?何があるか分からないので、準備を怠ってはいけません。(まあ…ないですね、笑)

 

(写真)カイザー・フリードリヒ温泉の建物

 

(写真)そして無情な貼り紙が…

 

と、ワクワク感一杯で乗り込みましたが、何と!維持管理・改修により8月20日までお休みと!ガーン!(笑)これまで多忙な中、身体を鍛えてきたのは、一体何だったんでしょう…?

 

 

もう本当にガックリきましたが…、せっかく温泉が有名なまちに来たので、少しでも温泉気分を味わいたいと思い、替わりにこれを見に行きました。

 

(写真)コッコブルンネン

 

これ、温泉の源泉なのです。キノコみたいなオブジェから温泉の蒸気が出ています。下のお湯に手を入れたら、温度は40℃くらい、色からも想像できると思いますが、硫黄の臭いがします。ちょっぴり温泉気分を味わえました。

 

 

そして、コッコブルンネンからぶらぶら歩いていると、こんなフラッグが!

 

(写真)ラインガウ・ワイン祭りのフラッグを発見!

 

何と!ちょうどタイミング良く、8月11日~20日でワイン祭りをやっていました!捨てる神あれば拾う神あり。コッコブルンネンちゃん、ありがとう!会場に行くと、ワインや食事の出店がいっぱい出ていて、いい感じです。よしよし、温泉に浸かれなかった時間は、ここで昼食とワインにしよう。

 

(写真)ラインガウ・ワイン祭りの会場。左の建物は市庁舎。

 

(写真)ソーセージとKoegler Riesling “1467” QbA feinherb 2015

 

ワインの1杯目は、エルトヴィレでKoeglerという造り手を見かけたので、そのワインにしてみました。これ1杯3Euroですが、信じられないほど美味い!ミネラル感、ストラクチャーがあり、酸味と甘さのバランスが絶妙です。ワイン祭りに屋外でいただくワイン。ただでさえ美味しいのに、品質も素晴らしく感動ものでした。

 

(写真)Manfred Bickelmaier Oesticher Doosberg Riesling Trocken 2015

 

2杯目は、どこか他の村のワインを飲めればと思い探したら、Oestrich-Winkelというエルトヴィレから8kmほど西の村のワインがあったので、それにしてみました。これもめっちゃ美味い!写真を撮ろうとしたら、お姉さんがボトルもどうぞ!、と差し出してくれました。お姉さんとても優しいですが、実は商売上手なのかも?(笑)

 

(写真)エーベルバッハ修道院のワインも出ていました。

 

 

憧れのカイザー・フリードリヒ温泉に浸かれなかったのは大変残念でしたが(決してよこしまな理由ではありません、笑)、偶然出逢ったワイン祭りは本当に素晴らしかったです。ヴィースバーデンはフランクフルトから列車で40分と近く、旅のスタートやラストで旅程に入れやすいまち。今度こそカイザー・フリードリヒ温泉にゆっくり浸かり、ヘッセン州立劇場でオペラを観て、アフターでワインを楽しんで、カジノで締め。いつかそんな流れを楽しみたくなるような、とても素敵なまちでした!(続く)