3月末になり、会社勤めになってちょうど○○年。同期の友人とこれまでのお互いの健闘を称えつつ、今後の健勝を祈念し、せっかくの大きな節目だからと、ちょっといいワインを開けました。

 

ボルドーのいわゆる5大シャトーの1つ、シャトー・ラフィット・ロートシルトです。銘酒中の銘酒。ワインがテーマの漫画「神の雫」(ワインや造り手、サービスの方々などへの愛に溢れていて大好きな漫画です)では、「陽性の森を抜けた先にあるノイシュヴァン・シュタイン城、その内部は端正で華やか」と評されていました。ラフィットの雰囲気をよく伝えていると思います。

 

ヴィンテージは1997年。今年でちょうど20年です。ラフィットとは言え、ボルドー左岸はあまり評価の高くない1997年。「このヴィンテージについては否定的な報道も為されているが、そのためにこのワインを無視するようなことはしないでいただきたい。見事な、心打たれるラフィット・ロートシルト。お見逃しなく!」という論評もありますが、20年寝かせたのは、もしかしてちょっと長かったか?と開ける前は不安もありました…。

 

その不安は全くの杞憂に終わりました。

 

グラスに注いでいただくと、フワッと香りが立ちます。エレガントな素晴らしい香り!以前にワインの雑誌で、5大シャトーのオーナーが他のシャトーに比べた自分のシャトーの特徴を述べている記事を読みましたが、ラフィットのオーナーがおっしゃっていたのは「香りのニュアンスならラフィット」でした。西洋杉、ブラックカラント、鉛筆、ミネラルの香りというテイスティングの形容もありますが、嗅いだことないのでよく分からず…。個人的には何かに例えるよりは、「とらえどころのない魅惑的な香り」というフレーズが一番しっくりきます。時間が経つにつれて香りが開いてきて、甘~い香りが強くなってきました。もう堪りません!

 

色は熟成のためか、やや透明感のある色になりつつありますが、エッジにはまだオレンジや茶色は現れていなくて、クリアなボルドーの紫~赤です。ボトルの最後の方では、非常にきめ細かいタンニンがありました。

 

味はとても繊細でバランスが良く、ラフィットならではのエレガンスも感じますが、意外にしっかりとしている印象です。甘味はそこまでは感じなくて、端正で凛としたクラシックなラフィットのイメージ。1997年は他の1990年代の卓越したヴィンテージに比べると評価が劣りますが、ラフィットでは収量を減らすなど工夫して、優良なワイン造りに励んだそうです。造り手の多くの方々の想いと努力が素晴らしいワインとして結実しているように思います。

 

偉大なワインはヴィンテージに関わらず、やはり偉大でした!いま正に飲み頃だと思われます。あと10年置くのは多分長く、5年であれば置いてもっと良くなる可能性も考えられますが、おそらくいま飲むのがベストと感じました。

 

友とお互いのこれまでの頑張りを称え合い、これからの健康と健勝を祈り、特に引き続きクラシックの偉大な作曲家のみなさまの素晴らしい音楽に触れていく、楽しんでいくことができるようにお祈りしつつ、グラスを重ねました。