R.シュトラウス生誕150周年もいよいよ9月に入り秋の陣。アルプス交響曲を聴きたくて、読響のコンサートに行ってきました。


  読売日本交響楽団第10回読響メトロポリタン・シリーズ
  (東京芸術劇場コンサートホール)
  指揮者:コルネリウス・マイスター
  ピアノ:アリス=紗良・オット

  ベートーベン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調
  R.シュトラウス/アルプス交響曲


 アルプス交響曲はもちろん楽しみですが、個人的にベートーベンのピアノ協奏曲第1番は大好きな曲。アリス=紗良・オットさんのピアノともども楽しみにしていましたが、とても溌剌としたベートーベンでした!

 この曲はルドルフ・ブッフビンダーさんとウィーン・フィルの格調高くでも遊び心溢れた演奏が大好きなのですが、アリス=紗良・オットさんは勢いの良い、ちょっとお転婆(?)な感じすらする小気味よいピアノ。1番にとても合っていたと思います。コウネリウス・マイスターさんの温かく見守るような指揮にも好感が持てました。3楽章など指が回り過ぎて、行き過ぎてしまったかに思えた瞬間もありましたが、そこはご愛嬌。この溌剌とした1番が10年後、20年後にどのようになっていくのか、とても楽しみです。

 メインのアルプス交響曲。今までCDも含めいろいろな指揮者で聴きましたが、コルネリウス・マイスターさんは最もテンポをダイナミックに揺らす指揮。「頂上にて」の場面はたっぷり朗々と演奏するケースが多いですが、ここでもテンポの緩急を出して、それこそオケがついていけないくらいの指揮(笑)。なかなかスリリングでした。逆に「日没」はたっぷりとしたテンポで、コンコンと日が暮れていく様子が目に浮かびました。今回、読響には初共演とのことですが、今後も客演され、いろいろな曲を聴いてみたいです。

 今回アルプス交響曲を聴きたかった目的の1つは、先月の旅行で実際にツークシュピツェに登ってきたので、「曲を聴いた印象がどのように変わるのだろう?」ということに非常に興味があったからです。で、実際に聴いてみた後の感想はというと?

 意外にも「これまでと変わらない」でした。確かに実際にツークシュピツェに登ったので、ふもとから山を見てこれから登るワクワクした気持ちや、途中の森や険しい岩肌、氷河、山頂からの素晴らしい眺望など、視覚や実感として分かるようになったということはあるので、より親近感を持って聴くことはできますが、曲を聴いて湧き出てくる山登りや自然のイメージ、心を揺り動かす大きな感動、翻って感じる人間の存在の小ささや寂しさなど、以前から曲を聴いて感じていたものに大きな影響を及ぼすようなものではありませんでした。

 それだけ、R.シュトラウスの曲が、単に山登りを描写したのではなく、もっと深いものを描いていて、直接心の奥の方に響いているからかな?と思ったところです。単に、登山列車とロープウェイであっと言う間に登ってしまったので、実感が湧かないだけかも知れませんが…(笑)。


(参考)今年の夏のツークシュピツェ登山の様子
http://ameblo.jp/franz2013/entry-11914413703.html





(写真)ツークシュピツェ山頂と山頂からの風景