今晩は仕事を早く終えることができたので、代官山のイータリーの歌と食事のイベントに駆け込みました。

 この企画、先週のN響のコンサートに行く前に代官山をフラフラ歩いていたらポスターを発見したのですが、曲目にヴェルディの歌が多く、特に今年聴く機会のなかった運命の力があったのと、写真のソプラノがとても綺麗な方だったので、仕事が早く終ったら絶対行こうと思っていたイベントでした。

 お店に駆け込んだところ、イメージしていたのと違い、かなり開放的で明るい空間。「本当にここで歌うの?」とちょっと不安に思いましたが、サラダ、生ハム盛り合わせにランブルスコとヴェルディッキオが進み、ちょっといい気分に(笑)。

 すると、MCの方のイントロダクションに続いて、いよいよ歌が始まりました。

 オペラは普段から観る機会がありますが、ソプラノとテノールのオペラ歌手の方が目の前で表情豊かに歌い、大変大変迫力があります。また、舞台だと遠くて分からないこともある演技や表情が間近だととてもよく分かります。

 テノールは三浦幸未知さんという方で、ラ・トラヴィアータの乾杯の歌、リゴレットの女心の歌、トゥーランドットの誰も寝てはならぬ、などを歌われていましたが、とても晴れやかな抜けの良い歌声で、イタリア・オペラを聴く醍醐味ここにあり!という感じでした。女心の歌は先日のスカラ座の公演よりもストレートに響いて大変聴きごたえがありました。

 ソプラノは設楽芽佑さんという方で、不謹慎なことにポスターの写真がとても綺麗だったので足を運んでしまいましたが、実際に拝見してポスターの写真以上に本当に美しい方で、目の前に立たれるとドキドキしてしまいます。でも、ひとたび歌い出すと、とても豊富な声量のもと情感豊かに歌われるので、そういうことは忘れて、とにかく歌に引き込まれます。ラ・ボエームの私はミミ、トスカの歌に生き恋に生き、優しく心のこもったアヴェ・マリア、低音の響きが心を打つラ・トラヴィアータの第3幕のアリアも素晴らしかったですが、特に運命の力のパーチェが印象に残りました。

 パーチェは2000年のミラノ・スカラ座の公演で、マリア・グレギーナさんのレオノーラで聴いたことがあります。公演自体は素晴らしかったのですが、グレギーナさんがやや細かく動き過ぎたこともあり、スケールが小さく感じたパーチェに違和感を感じましたが、今日の設楽芽佑さんのパーチェは細やかに表情はつけつつも、大きな流れの中でスケールを感じさせるパーチェ。最後のMaledizioneも決してこれ見よがしの絶叫はせず、とても格調の高い、今まで聴いてきた中で最高のパーチェでした。

 それとぜひ一言加えたいのが、素晴らしいお2人の歌を支えた須永藤子さんのピアノ。普段オケで聴き慣れている伴奏をピアノが弾くととても新鮮に聴こえますが、パーチェの冒頭のミステリアスな旋律など、ピアノの伴奏の方が味わいがあるように聴こえました。改めて「ピアノって凄い!」と思いました。

 今年はヴェルディとワーグナーの生誕200周年。これまではどちらかと言うと、ワーグナーに軸足を置いて聴いてきましたが、今日沢山ヴェルディを聴いて、残り3ヶ月はヴェルディの数々のオペラを楽しんでいきたいと思いました。ヴェルディの素晴らしさを改めて認識でき、今日はとても貴重な機会で、アーティストのみなさまには本当に感謝感謝です。ありがとうございました!


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