突然ですが、
刑事さんが刑事ドラマをご覧になると、
「こんな刑事いねーよ!」
って突っ込まずにいられないんだそうですね。
また、ヤクザ映画をご覧になった、
ヤクザの方々も同様、
「こんなヤクザいねーよ!」
って突っ込まずにいられないんだそうです。
なんか例えが両極端になってしまったな。
まあ、それは置いといて、
フィクションとは得てして、
ホンマモンの立場からしたら、
いろいろツッコミどころがあるもの。
教会の場合も然り。
生まれも育ちもカトリックの僕は、
今までの人生で何度、画面に向かって、
「こんな教会ねーよ!」
「こんな神父いねーよ!」
「こんなシスターいねーよ!」
と突っ込んだことか。
今日はそんな一例を紹介します。
紹介しますのは、
2001年にセガから発売されました、
シェンムー2というゲームでのとあるシーンです。
このお写真をご覧ください。
ゲームに登場する架空の「教会」です。
聖堂の正面にあるのは、マリア像でしょうか。
しかし、前回の記事でお話しました通り
カトリックは、聖母マリアと神さまとを
完全に区別していますから、
教会の正面にマリア像を置くことは、ありません。
世界中どこを探しても、絶対にありません。
なのに、これ。
…こんな教会ねーよ!
おーい、セガさん。
こんな教会ないですよー!
これ、間違ってますよー!
あのね、ここで僕が言いたいのはね、
間違えることが悪いということでは
ないんですよ。
知らないんだから、間違えて当然です。
だからこそ、
知ってそうな人を頼って確認しようよと。
試作段階で詳しい人に見せて、
「修正すべき箇所があれば
教えて下さい」って言おうよと。
例えば、
日本人が書いた英文を世に出すなら、
ネイティブのひとに確認してもらうのが、
ある意味当然でしょう?
ましてや、セガほどの組織力を
持ち合わせた企業なら。
それと同じで、
刑事さんなり、ヤクザさんなり、教会なり、
詳しい奴に意見聴取しようよと。
セガはそれをしていないということが、
この作品で顕になったのですね。
実はセガ、シェンムー以外の作品でも、
たまにボロを出します。
例えば、1996年に発売された、
ラストブロンクスという作品。
スケートボーダーという設定の登場人物を、
「典型的なスケートボーダーファッション」
と紹介しながら、
スケートボーダーが滅多に着ない
MA-1を着ていたり…。
スケートショップでMA-1売ってねーよ…。
これまた同作品で、ドラマーの女の子が
ミニスカートを穿いていたり。
ドラムやってる女の子なら、
絶対しない格好だそうです。
もういっかい言いますけど。
試作段階で詳しそうな奴に聞けよと。
登場人物の生い立ちとか、
世界観とかを作り込む過程で、
しっかり調査しろよと。
次の例。
セガの人気シリーズ、「龍が如く」で、
京都が舞台になった時の架空の地名が
なんと、「祇園稲荷」。
・・・・ないないないない!
祇園も稲荷も確かに京都の地名ですけど、
どちらもともに、
別々のアイデンティティーを有する地域。
組み合わさるものではないです!
東京で例えたら、
「銀座歌舞伎町」みたいなおかしさ!
京都っぽい地名をなんとなく
組み合わせればいいと思うなよ!
三度申し上げますが、
試作段階で詳しそうな奴に聞け!
セガさんが僕に打診してくれれば、
教会系カルチャーと、
スケーターのカルチャーと、
京都については、
僕個人が責任を持つ腹は括ってますから!
でもそれをせず、想像だけで突っ走るから、
せっかくの作品が台無しになるんですよね。
フィクションとは言え。
ここで、ゲームに詳しくない人に
誤解してほしくないのですが、
セガは決してB級メーカーなんかではなく、
むしろ技術力や先見の明は素晴らしいです。
同社はいつも、
時代の最先端を歩んできました。
・セガは、
ゲームボーイが白黒だった1990年に、
カラーの携帯ゲーム機を開発しました。
・セガは、
1993年にポリゴンをゲームに取り入れ、
グラフィックに立体感を持たせました。
・セガは、
1995年にプリント倶楽部を発売し、
ブームを超えて文化となりました。
・セガは、
家庭用ゲーム機での通信対戦を
1996年にいち早く実現しました。
・セガは、
課金制ゲームのシステムを
2000年に開発しました。
このように、現在では
一般化しているものの多くは、
セガが先駆けなんです。
なのにセガに対する世間からの評価は、
お世辞にも高いとは言えません。
そのせいでしょうか…
・ゲームギアは、ゲームボーイを
超えることはできませんでした。
・セガサターンはギャルゲーハードと揶揄され、
しかも「激闘!おったまがえる」のリリースを
待たずして、生産終了しました。
・ドリームキャストは、
800億円以上もの赤字を生み出しました。
・ドリームキャスト用の
外付けZIPドライブも、
2インチのFDドライブも、
結局発売されませんでした。
・課金制ゲームのシステムである@baraiは、
流行らなかったどころか、
世間から知ってすらもらえませんでした。
でも…でも…
そんなB級感を拭えないセガが、僕は好きだ!
大好きなんだああああ!
なんか話題が
序盤と終盤で変わってきちゃったから、
今日の話はここまで。