今回は産地の話。

食べ物の農産物の産地、海産物の産地、なんて言うのはすぐ思い浮かべやすいですよね。

近年は食材の正式名称や産地の表示にとても厳しくなったので、スーパーや商店街に買い物に行っても必ず見かけますし、

ファミレスに行っても産地や協力農家さんが表示されていたりしますね。

 

雑貨についても15年くらい前から急速にメイドインジャパンが注目されだして(それまではインポートブーム)例えば眼鏡の産地は福井県の鯖江だとか、新潟の燕三条はキッチン用品金物の産地、だとか知っている人も増えてきました。

 

雑貨についても産地はあります。

革の産地、石の産地、布地の産地、木製品の産地、金具の産地・・・etc

旅行や物産展などで時々意識しているかもしれませんね。

 

雑貨の企画デザインの仕事をしていると、何を作るかでその産地に出かけて行くので面白いものです。

例えば私は会社員時代一つのインテリアブランドを持たせてもらっていたのですが、

食器のラインナップをデザインするときは有田に出張に行ったり、マグカップを企画するときには多治見に行ったり、お箸を作るには福井県。タオルの企画では今治出張、ソファを作ることになったときには久留米と日田(木工と家具の産地)。夏の商材で清涼素材としてい草製品では福岡、麻の素材では京都(生産地は別)、

日本人の手によるので値段はかなり高いですがニットだったら東北や北陸など。

そんな風に扱うアイテムが多くて品目が様々だと一つのブランドに居ながら色々な場所に行きます。

(民芸品とは違いプロダクトなので観光としてみる産地とはまたちょっと別の視点になります。単に手工芸として素晴らしいというのとは別に、均一なクオリティレベル、量産と納期の関係、などなど。)

そして、日本はどんどん価格競争が厳しくなったので値段で戦うアイテムは韓国、香港、中国へ出かけて行きました(←当時)。

モノ作りが00年代には本格的に中国へ移り日本の産地の工場は廃業して行きました。

 

2010年代からその暗雲は肌で感じるほどに押し寄せてきていましたが、いまは完全に日本経済負けているので韓国や香港でものづくりする事はまずなくて、中国でもなかなか値段は合わなくて更に遠い、そして人件費の安い国へ出かけて行きます。

 

ちょっと細かな話ですが、香港というのは小さな地域でその地域特性から国の(わかりやすく国の、と書きますが)産業は貿易と観光が象徴的。なので日本の企業は20年くらい前までは「自分で中国へ乗り込む事」はまだほとんどしていなくて香港のメーカーや商社を通して中国の工場とやりとりをしてもらう事が主流でした。実際日本人が奥まで入り込むにはノウハウのなさだけでなく治安が悪い現状もありました。

それから程なくしてより安さの追求が必要となり(日本はどんどんデフレに向かい)直接中国に乗り込むようになり、と、同時に中国も目覚ましい発展をしてきて日本の小さいメーカーでも中国工場や協力工場を持つようにまでなりました。

 

韓国についても似たような感じではありました。韓国は「生産国」とするには当時からそこまで安いわけではありませんでしたがそれでもまだ当時の日本は韓国でモノ作りする力はありました。韓国はナイロン生地のバッグや合繊のアパレルなど得意としていました。

 

日本でそれぞれの品物の産地へ行くようにそれが海外になったとしても同様です。

その素材の得意な産地まで出かけます。物流を考えると産地へ乗り込んだ方が低コストだからです。

 

中国は国が大きいので何処かしら何かの産地に当たるものでだいたいなんでも作れます。あとはクオリティや相性の問題とも言えます。(簡単に書いていますがw何しろ国がデカイのでその産地へ行くには空港から更に何時間も何時間もかかるので大変なことではあります。そして日本のメーカーが求めるような商品に作り上げるまでは何度も細かいやりとりと技術指導もあるという事があります)

 

タイなどはアクリルやプラスチック製品や陶器製品など日本に多く入ってきていますし、フィリピンはヨーロッパデザインのアイアン製品などが得意です。ベトナムは特にアパレル製品が多いです。

ベトナムも以前は民芸雑貨や味のあるインテリア雑貨などではMADE IN VIETNAMを見ましたが、今は中国に変わる「縫製業の担い手の地」として日本のアパレル量販店のデニムやTシャツなどなどそして浴衣、着物なんて和モノも実はベトナム縫製。スーツという技術とクオリティの必要な製品までも作れる工場も普通にできています。

量販アパレルの縫製の話で言えば更にカンボジア、ラオスなども10年近く前から中国の値段では作れなくなった日本は進出しています。

ただ素材の産地、ということではなくてあくまでも縫製工場と人件費という観点です。

 

結構皆さん「安いものは中国製」と思っている方が多いので「随分前から中国では高くて日本はモノ作りが難しくなった」と聞いていかがでしょうか。

 

なかなか大変なのは中国が値段が合わないからと言ってどんどん遠くの発展途上国に行ったとしても今度は「遠いので時間と送料がかかる」「素材がないので中国や日本から送り込むのに送料と時間がかかる」「工場で何かあった時に行くまでに時間がかかる」という事があって、結局「運送料と倉庫」という生産と輸出を考えると結局「お隣さんの国である中国」に頼るしかないという現状です。

 

タイトルから想像した産地の話とは随分違ったかもしれませんが、

雑貨やファッション、インテリアの皆さんが知っているお店に並んでいる商品にはこんな生産産地の裏話があります。

 

どうでしたか?ご興味ありましたでしょうか・・・