思いがけない出来事から学んだ、大事なこと | 沖縄で語学と日仏バイリンガル教育と

沖縄で語学と日仏バイリンガル教育と

フランスで6年、東京で4年過ごしたのち、2020年8月に私の故郷(夫と出会った場所)沖縄に来ました。
2011年生まれの息子、2013年生まれの娘がいます。
2020年8月より、沖縄在住。
公立小+おうちフランス語で日仏バイリンガル育成中。

フランスでは、年末になると、各家庭に「カレンダーを

売る人」がやってきます。




売りに来るのは、消防隊員、郵便配達人、道の清掃員など、

公共のサービスに従事している人たちです。




これらの職業の人たちが、自分の担当している区域の

家を一軒ずつたずねまわり、

「カレンダーはいりませんか?」と、売り歩くのです。




初めて聞いたときにはびっくりしたフランスの習慣です。

また、このカレンダーには値段がなく、買う人の気持ちで

金額を決めて払う、というのにも驚きました。

そして、売り上げは、売った人がもらうそうです。




「値段が決まってないカレンダー?」


しかも、


「その売り上げは、売った人のポケットマネーに!?」


なんとも不思議なことがあるもんだな~と思ったものです。




※ 消防隊員の場合は、「いったん集めて皆で分配」もし

くは「皆でパーティーをする」場合もある等耳にしましたが、

いずれにしても、その方達の「楽しみのため」に用いられる

ようです。




普段皆のために尽くして頑張っているけれど、給料は

そんなに多くはない。そんな彼らのために、クリスマスを

祝う時期に、地域住民から「ボーナス」をプレゼントする。

そんな意味合いを持った、古くからの習慣だそうです。




そうは言われても、なんともしっくりこなかった私。


ボーナス、しかも相手から請求してくるボーナスねぇ。。。(^^;)


なーんてことを思ったものでした。




もうじき、フランスに住んで4年になります。

しかし、たまたまタイミングを外していたのか、過去三年間、

その「カレンダー売り」に遭遇したことはありませんでした。




しかし!

先日、夕方アパートに戻ってくると、一階のエントランスの

ドアに、張り紙を見つけました。




「住人の皆様へ、


○月×日の△時、カレンダーを売りに行きます。


郵便配達員」




と書いてありました。




お、これが噂の!

しかも、訪問日までお知らせしてくれるなんて…。(^^;)

ここまで丁寧に予告してもらっては、ちゃんとお金を

用意して待っておかなきゃよね~。




なんて考えつつ、でもいくら用意したらいいのか

わからなかったのでネットで調べてみると、


「5~10ユーロくらいが平均」


とあったので、ちょっと迷いましたが、今まで買ったことも

なかったので、とりあえず10ユーロ札を用意しておきました。





そしてその日、予告された時間から数分が過ぎた頃、

ベルがなりました。

出ると、若い青年が立っていて

「カレンダーはいりませんか?^^」と。




「はーい、買いますよ~」

と答えると、




「どれがいいですか?風景、花、動物、、、、」

と、何種類か見せてくれたので、子供が喜びそうな

「動物」のほうを頼みました。するとさらに、




「犬と猫はどっちがいいですか?」

と言うので、隣で私たちのやり取りを見ていた

息子に



「犬と猫、どっちがいい?」

と聞いたところ、





「あれ、もしかして、日本人ですか?!」と。





「あれ、日本語わかるんですか?」と聞くと




「はい、、、アニメが好きなので、ちょっとだけですが、

わかります^^。 ”ネコ” は知ってました」と。




アニメファン=親日家でもある。

と勝手に都合よく解釈する私は、なんだか

嬉しくなったものでした。




カレンダーをもらって10ユーロを渡すと、

とても感じのいい明るい笑顔で


"Merci madame :)" と言ってくれました。




"Au revoir, bonne soirée!"


と言ってドアを閉めた後の、あまりの気分のすがすがしさに、

なんだか色々考えたものでした。




「自分のボーナスを集めるために、自らアプローチ

してくるって、ちょっとどうなの?^^;」


当初、そんなことを思ってしまったものでしたが、





実際に買ってみたら、考えが変わりました。




その人に直接、日ごろの感謝の気持ちを形にして

与えることができる機会、素敵じゃない。




それが率直な感想でした。




「与えることは、幸せになること」


「人の幸せは、与えることによって得られる」




今までいろんな所で耳にしてきた、また目にしてきた、

そんな言葉の意味が、「ストン」と腑に落ちた出来事でした。




誰かに何かを与えて、「ありがとう」と言ってもらえる。

それって実は、自分のほうこそ、大きなものを「与えて」

もらってるんだな。なんてことを考えました。




ひとつ大事なことに気づかせてくれたフランスの

冬の風物詩、カレンダー売りに感謝です。







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