今回はウサギを使った料理を紹介します。おそらく、日本人にとっては馴染みが薄いので、(そして、何より可愛いので、)ウサギを食べることに抵抗のある人もいるでしょう。しかし、フランスではスーパーや市場で買うことの出来るとってもポピュラーな食材なんです。その魅力は何といっても、大地を飛び跳ねるための脚力から来る筋肉。筋肉質のウサギは長時間煮込むことで、タンパク質が、ゼラチン質へと変わり、フランス人が大好きなトロトロと口の中で溶ける柔らかな触感に変容します。

(市場のウサギ)
今回は、ノルマンディー地方に住んでいる友達の家で作ったので、ア・ラ・ノルマンド(ノルマンディー風)にしました。シヴェ(civet)とは本来、ジビエ(ウサギやイノシシなど)を赤ワインで煮込み、血で伸ばしてソースにとろみをつける調理法ですが、細かいことは気にせず、ノルマンディー地方の特産品である、シードル(リンゴのお酒)で煮込み、最後に生クリームを加えてソースにとろみをつけました。それと、本当はスーパーでカブ(navet)を探したのですが、売り切れてっしまっていたので、rutabaga(スウェーデンカブ)や、panais(白い人参のようなもの)などのlégumes anciens(古野菜)で代用しました。クリームが白だったので、結果としてそれぞれの色が引き立って良かったと思います。

(一晩寝かした、ウサギのシヴェ)
弱火でコトコト煮込んだ食材を冷蔵庫で一晩寝かせる(=食材に味がしみ込むので、美味しい煮込み料理を作る上での重要なポイントとなります)と、上の写真の様になります。しっかりとゼラチン質に変わったスープは冷やすとゼリー状に凝固します。もう一度加熱し、グツグツと全体があたたまれば、火から離して生クリームを入れてソースを伸ばしましょう。それぞれ好きな分だけお皿に取れるように、鍋ごとサーブするのが僕は好き。

(ノルマンディー風、ウサギと古野菜の煮込み)
僕は、家族や友達が集まるNoël(クリスマス)の時期にこの料理を作りました。ウサギの美味しさが最大限でる煮込み料理は、寒い季節にピッタリです。大切な人と冬にフランスに来る機会があれば、ぜひ一度試してみてはいかがでしょう?
~Incontournable(避けることの出来ない誘惑)~
Erik Satie(エリック・サティ)の音楽を流しながら、この料理を食べるなんてどうでしょう?僕は、フランスらしさに溢れる彼の音楽が大好き。彼はノルマンディー地方の小さくて可愛い、Honfleur(オンフルール)という街(=そして、僕を魅了して止まない、フランスで一番好きな街の一つ)に生まれました。彼の音楽は伝統とアヴァンギャルド(前衛的)の交わる唯一無二の旋律で、悲壮感の中にある美しさを感じることが出来ます。きっと食卓では、味覚と聴覚に触発されて、モネやブーダンといった印象派にも愛されたHonfleur(オンフルール)の港が瞼の裏に投影されること間違いなしです!!

(夜のオンフルール)
