6歳の息子が体育の授業中

友達の頭とぶつかり
前歯と唇から血が出た。
 
担任の先生が念のため
歯医者さんで診てもらって下さい
と言うので連れて行った。
 
いつもの歯医者さんが
電話にも出なかった。
 
クリニックの前まで行ったが
張り紙も無く
ただシャッターが閉まっていたため
違う歯医者さんに診てもらう事にし
予約時間の15分前に車を
決められた所に路駐した。
 
初めて行くので
ググった住所の2番地を探して
私は息子2人と手を繋いで
5番地の前を歩いていた。
 
手分けして旦那は
道路の反対側を探していた。
 
車が通り過ぎて雑音が消えた後
 
私は旦那に、
 
「多分そっち側やな!!」
 
と言った瞬間
 
6歳の息子くらいの
 
黄色いダウンを来た男の子が
 
超全速力で走っていたのが見えた!
 
先には旦那がいた!
 
私を見た後
 
旦那がその子に気付いた!
 
瞬間!
 
男の子は既に空中で両手両足を広げ
 
飛んでいた!
 
 
旦那は、
 
立ったままで
 
男の子を
 
思いっきり抱きしめた!!
 
間に合った・・・。
 
男の子は旦那の首にしがみつき
 
顔を肩に埋め
 
旦那は笑顔で目を閉じて
 
2人は心も抱き合っていた。
 
 
 
 
2人の前からは、
 
もう1人の男の子とお母さんが
 
笑顔で旦那の方へゆっくりと歩いていた。
 
息子の
元クラスメイトだと分かり
息子がクラスメイトの名前を叫んだ。
 
私は
息子達と道路を渡り
母親と挨拶のビズ(ほっぺにキスをする)
をした。
 
 
黄色いダウンの
クラスメイトの一歳上の兄は
旦那から降りて
息子達は、4人で歩道でじゃれ始めた。
 
彼はいつも
旦那に会うと、こうである。
 
まるで、
何年も会えていなかった
本当の親子の様である。
 
 
 
私達は
「転校先はどう?」
などと話したのだった。
 
 
 
彼女は国際機関で働く
キャリアウーマンで
2度目の離婚をし
 
旦那をドバイに残して
去年、息子2人と
うちの近所に引越して来たのである。
 
 
最新型ポルシェで
毎日子供を送ってから出勤し
仕事帰りに迎えに来る。
 
車の調子が悪かった時には
タクシーで送り迎えしていた。
 
今では、
送り迎え用に
フランス車の
ファミリーカーを買い足している。
 
彼女が今年の夏に
うちから車で5分もかからない所に
アパルトマンを買ったため
区域上、
子供は転校となり
息子達は
元クラスメイトとなった。
 
 
彼女の息子2人は
彼女と
肌の色も髪の毛の色も
全く違う
養子である。
 
そして
弟よりも小さい方が
お兄ちゃんである。
 
私は
生まれ変われるのならば
一度は
彼女になってみたい
と思うほど憧れている。
 
背が高く、
無造作な髪の毛
ジーンズを履きこなし
化粧も殆どしていない。
 
フランス語と英語とアラブ語を話し
世界中を飛び回り
全く気取りがない。
 
サングラスをかけて
ポルシェで子供を送り迎えする姿が
かっこよすぎる。
 
キャリアウーマンで
どんなに忙しくても
子供達にはいつも
しゃがんで目線を合わし
キスをする姿が
私には眩しくてたまらない。
 
彼女は隠さないで話す。
 
「旦那が近くに引越してきたわ。
私達の仲は終わってるけど、
子供達が父親と過ごす日があるのはいいわね。
私はまだ
引越した時から開けてもいない
ダンボールがあるから早く片付けたいわ。
仕事と家事で
家が散らかり放題よ。」
 
と。
 
私達は
彼女が夏から手がつけられていない
ダンボールを開けるため
近々
その息子達をうちで
遊ばせる約束をして
 
歯医者の予約2分前に
バイバイを言ったのだった。
 
2番地の歯医者の待合室で
私は旦那に言った。
 
「あの子はいつ会っても
 
あんたを愛して飛び込んでくるよな。
 
可愛いなあ。」
 
旦那
 
「僕らはな、ダチなんよ。」
 
それを聞いていた6歳息子が言った。
 
「ママ!
 
  あいつはいつも言ってるよ。
 
  『僕らは生涯親友なんや』
 
  って。」
 
 
 
私は感動して
 
ウルウルとしてしまった。
 
 
 
ダチって…
 
親友って…
 
生涯って、
意味わかってんのかな…
 
まあまあ、わかってるんやろな…
 
クラスメイトの父親が
生涯親友…
 
私にはおらんかったな…
 
 
 
そう、
 
親友に年齢など関係ない
 
何も関係ないのである。
 
親友は親友
 
ずっとずっと親友。
 
 
 
一生、
 
生涯、
 
何があっても…
 
いつでも
 
どこでも
 
全部で抱きしめ合える2人が
 
私は羨ましい。
 
 
 
そして
 
年齢的に
 
その子よりも先に旦那が死ぬ時も
 
息子と
 
親友として
もしも看取ってくれたりしたら…
 
なんて思ったりして…