現在はカセットが若者の間で流行っている様で
ウォークマン、ラジカセが高値で取引されている。
数百本あった私のコレクションはすべて処分してしまった。
結構いいカセットテープを使っていただけに悔やまれる。
今、私のコレクションがあれば数万円になったかと思うと
世の中先はどうなるのか本当にわからない。
私は大のSONY好きで、カセットデッキもSONY。
カセットはソニーが中心だが、TDK、フジフィルム(AXIA)、
太陽誘電(That's)、日立マクセルの順に使っていた。
私が初めてカセットを使ったのは父のラジカセ、それもモノラル。
ナショナルのRQ448というマイク付きのラジカセ。
これでエアチェック(FMラジオの録音)をしていた。
この頃はレコードプレーヤーも持っていなかった。
私が初めて本格的なカセットデッキを購入したのは1981年。
ドルビーCが登場した年で、初めて民生用にドルビーCを搭載した
SONYのTC-FX6Cと言うモデル。
SONY TC-FX6C
発売当時は各オーディオ雑誌の表紙になるほどの製品で、
評論家の評価も非常に高く、カセットデッキとしても空前のベストセラーになった。
だが、不思議なことにヤフオクの出展が少ない。
ブラックとガンメタを組み合わせた独特のカラーリングに3桁のカウンターではなく
デジタルリニア電子カウンター搭載、蛍光管ディスプレイでなんと分数表示が出来た。
SONY独自開発のレーザーアモルファスヘッド搭載もこのモデルから。
カセットの弱点はヒスノイズ、サーという雑音があり、無音時や曲間で気になる。
また、このノイズが音楽の微細な高音を埋もれさせてしまうため、
それを改善するためにドルビーシステムが開発された。
ドルビーノイズリダクションは高域を強調して録音し、再生時に強調した分を元に戻し
ノイズを低減させる電子回路でそれまではドルビーBが普及していた。
ドルビーBの強化版がドルビーCで、後にドルビーHXやdbx、東芝のアドレス等もあった。
このデッキはワンウェイの通常機でA面とB面をカセットを取り出さずに録音再生できる
オートリバース機ではない。
また、このデッキは2ヘッドデッキで録音再生ヘッドは一体型で加えて消去ヘッドがある。
最近の中国製ポータブル化セットプレーヤーやドウシシャが販売しているラジカセは
消去ヘッドが永久磁石でかなりコストダウンの簡易型。
音質を更にいいデッキに変えたいと思っていた。
私の一番欲しいデッキはSONYの最上位機種、TC-K777ESだった。
ただ、定価約17万円する高級カセットデッキだったので手が出なかった。
現在ヤフオクなどにも殆ど出展されないので幻のデッキ。
その最上位機種にデザインが似た下位機種が次のカセットデッキ。
SONY TC-K333ES
SONYのESシリーズは高級オーディオシリーズでデジタル時代に対応した製品づくりを
意識したラインナップでそれまでのラインナップを一新したシリーズで
以降、ESシリーズがオーディオマニア向け、それ以外が機能重視向けになった。
TC-K333ESは3ヘッドデッキ、録音、再生、消去ヘッドがそれぞれ独立したヘッド。
ヘッドとはカセットテープに接触する読取機と思ってくれればいい。
カセットテープと常に接触しているので堅い金属が使われる、多くはセンダストという合金。
アモルファスは合金で非結晶な為、磁性体になりにくく、ヘッドとして理想の素材とされていた。
走行系はクローズドループ・デュアルキャプスタン方式、カセットテープの平たい部分を
クローズドループ、閉塞にして両端を挟むようにした配置でデュアルキャプスタン、
キャプスタンというテープを送るローラーを2組で行う豪華仕様、という走行系。
これは高級機ならではの複雑でコストのかかるが音質に良いとされる方式。
最上位機種はこれにモーターをクォーツロック、水晶振動子で回転ムラを無くしている。
カセットデッキで重要なパーツは中のパーツ全部と言っていいほどだが、
駆動系とヘッド周りと音声処理回路、おおまかにこの三つ。
駆動系とヘッドはそれぞれのメンテナンスが必要だ。
・駆動系のメンテナンス
駆動系はピンチローラーというゴムのローラーの掃除が必要。
綿棒にアルコールを浸して吹いてあげて乾燥する。
・ヘッドのメンテナンス
ヘッドのメンテナンスはポータブルタイプや2ヘッドデッキならば
ピンチローラーと同じで良い。録音も度々行うのであれば消磁も不要だ。
3ヘッドデッキの再生ヘッド、2ヘッドデッキで再生ばかりであれば
イレーサーと呼ばれる器具で消磁した方が良い。
しかし、今ではイレーサーが手に入るかどうか。
カセットタイプとスティックタイプ(はんだごてに似ている)の二種類。
どちらも持っていたのだが恐らく捨ててしまったのだろう、見当たらない。
カセットの駆動系とヘッドはこのサイトが分かりやすい
さて、カセットデッキといえばどのメーカーが思い浮かぶのだろうか。
カセットマニアが好きなメーカーは何と言ってもTEACだ。
ティアックと呼称し、今では高級ブランドのエソテリック、録音機のTASCAMが有名。
その他にはAKAIも忘れてはいけない。AKAIはその後、三菱と合弁でA&Dとなったが
その後2000年に経営破綻、2005年に分離独立した電子楽器部門も破綻した。
ティアックもアカイも質実剛健な商品作りでそこがマニアに支持された。
その他はデンオン、ビクター、トリオ(ケンウッド)、Lo-D(日立)、
オンキョー、パイオニア、テクニクス等があった。
だが、カセットデッキと言えばマニア垂涎のメーカーがある。
現在もブランド名は残っているものの、そのイメージだけを受け継いだ偽物。
究極のカセットデッキを作るメーカー、ナカミチ。
ナカミチのカセットデッキは別格だ。
あるマニアはレコードよりも、CDよりも音が良いと言うほどだ。
ナカミチカセットデッキの外観は漆黒のヘアライン塗装に金文字の「Nakamichi」とあり
ライトアップされる表示部分が赤い蛍光管でまるでスポーツカーの様だ。
振動を徹底的に抑えて音声に関する回路は高品位部品だらけ。
なかでもドラゴンは別格のモデルで先輩が所有していたので、よく聴きに行った。
ナカミチのドラゴン
カセットデッキの超弩級と言えばこれしかない。
その他にもパイオニアで化け物みたいなカセットデッキもあり、なかなか奥の深い世界。
そんなカセットとカセットデッキに魅了された方が修理をしながら動画作成されています。
スーパーカセッターズさんのチャンネル
かなりマニアックな内容なので、初心者には向きませんし
オーディオに興味が無い方が観ると寝つきが良いかもしれません。
もうマニアを通り越して変態と言ってもいいぐらいの知識量と情熱があります。
昔、カセットデッキをかなりいじり倒した、オーディオマニアだったという方には
是非見てほしい動画です。