フランのブログ

タロットが教えてくれること⑥【司祭】

こんにちは

占い師のフランです。

本日は、大アルカナ6枚目の札

司祭

が教えてくれる事について書きたいと思います。

前回【皇帝】となった愚者は、人間の厳しさを見ました。

しかし皇帝の厳しさだけでは社会は争いに包まれて維持できません。

世界は混沌でも許されますが、社会には秩序が必要なのです。

そこで人は、社会には信頼で成り立つ約束ごと、つまり『道徳』や『教育』が必要で有ると気付きます。

司祭のカードによく見るキーワードは、

モラル

信頼

尊敬

といったものが有ります。

司祭はモラルや教育といった、人間社会や集団の維持に必要不可欠なものを伝えます。

ある集団に属する時、私たちは共通の善悪の価値観や、共通のルールを持ちます。

新たな参加者も、それを集団のルールとして学ばなければなりません。

たとえば家の中でも土足の国も有りますが、日本に来るなら家の中では靴を脱ぐという事を学び、それに従います。
家主が嫌がっているのに土足で上がり込む行為は完全にマナー違反です。

この『マナー』というものは法律で禁止されていない事柄に使われるものなので、一見すると個人の中に存在しているように見えますが、実際にはその人が受けてきた教育と結びついています。

つまりは特定のコミュニティ内で継承されてきた教育を、個人が実践しているので『マナー』というのは社会的なものであるのです。

しかし、現代を生きる私たちにとっては当然の倫理道徳やルールも、昔は違いました。指導者となる人物から学ばなければならなかったのです。

司祭の中央に描かれた人物は、まさにその指導者としての存在。

両端に描かれた二人の人物は、教えを乞う存在です。

人は長い人生の中で、仕事やお金といった世俗的なものとの関わりを断つことは出来ません。
時にはズルくなることも有るかもしれません。
しかし、社会が崩壊しないために必要なモラルを教育により身につけているので、大抵の人は他者の幸せと自分の幸せのバランスを取ろうとします。
故に詐欺のような行為に手を染める人は稀なのです。

その感覚は教育の賜物であり、荒野に放り出された子供が自力で獲得できるようなものではありません。

子供の頃にこの社会のルールを教える教師であったり、仕事での姿勢を教えてくれる上司であったりと、私たちは意図せず何人もの司祭的な役割の人物と出会い、その恩恵を受けています。

そしてやがて、自分が司祭の側になっていくのです。

しかしカードがひっくり返ると、それは指導者をカルト的に賛美し、他のコミュニティの倫理道徳を一切受け付けなくなることも有るでしょう。

視野が狭く、人の助言を受け入れない状態になってはいないか？と、司祭のカードは伝えてくることがあります。

司祭のカードの逆位置のキーワードとして、

ブラック企業

カルト

盲目的

といったものが有るのはその為です。

また、司祭のカードは、これまでに築き上げられたその集団におけるモラルに背を向け、独自の考えに走ることへの警告を示す場合も有ります。
人は未熟で愚かなうちは先人達と同じ轍を踏むものです。
そんなぬかるみに自ら走っていることを、司祭のカードは止めてくれることが有るのです。

私たちが身を置く場所にはそれぞれに独自のモラルが有ります。
しかしどれが絶対的に正しいということはありません。

どの宗教も、誰かから見れば正しく、また別の誰かから見れば誤りであるように。

つまるところ、どの集団の倫理道徳に共感するのかの最終決定は個人にゆだねられています。
しかし、その決定に至るまでの間、私たちは数多くの司祭と出会うのです。

教育は継承され、それはやがて集団の常識となり、個人の生存本能を超越した位置に置かれるものとなります。

具体的な例を出すならば、飢えて盗みを働いても社会はそれを良しとはしない、という具合にです。

人が社会的生き物である以上、これを避けることは出来ません。

自分の正義を育てるにも、結局はこの世界に在る様々なモラルを知らなければなりません。

それをそのまま受け入れたり疑問を持ったり、反発をしたり従順になったりと、様々な反応が生まれます。
そこで自分が何故反発をするのか、何故これを良しとするのかを考えるのが哲学をしながら生きるということ。
その繰り返しが私たちの精神を作り上げていきます。

子供の頃は窮屈に思える先人達からの指導や教育ですが、それが自分自身を作る大切な一部になっていたと解るのは、もっと先の話です。

さぁ、司祭となり道徳を知った愚者は、ここからどうなっていくのでしょうか。

続きはまた今度