民間の就労支援施設に通うようになって半年を過ぎ、
少しずつ、現実的に、就労する場所を絞っていく・・・という段階になりました。
最初は、【障がい者雇用】で、細かい配慮をしてもらって就労できるのなら・・・
それが安心かも・・と考えていた長女でしたが、それは、自分が希望するタイプの
働き方ではないことを、実際に見学や説明会参加することで、気づいてきました。
では、どういう方向で、就職活動を進めていくのか?
まず、特例子会社等に応募して仕事を得るのは、今すぐでなくても他の方法が
ダメだったら再度考える…で良いのではないか?という考えになりました。
さらに、一般企業を普通に受ける場合、「障害」をオープンにするのか、クローズの
状態で受けるのか?
これに関しては、隠して入ったとしても、必ず困難にぶち当たり、ボロボロになって
すぐに退職に追い込まれる可能性が高いので、出来れば障害をオープンにした
上で、一般の募集と同条件で雇ってくれるところを探したいというのが、本人の
希望でした。
また、障害をオープンに…と言っても、社内の一部の人にのみ伝えられて、全員
に伝えるわけではない・・・というセミオープンのやり方が良いと。
施設の人には、それでとってくれるところがあると良いね~と言いつつ、きつそうだったら
また考えを変えたって良いのだから・・・と。
この支援施設では、様々なサポートはしてくれるものの、実際の求人をあっせんしてくれる
わけではないので、あくまで就労先は、自分の力で調べて自己開拓…となります。
このころになると、ハロワの若者支援センターのようなところに相談に行って求人をみたり、
大学の担当だった教授に就職活動の仕方を相談しに行ったり、就職情報をネットで
チェックしてみたり・・・して、こういうところに的を絞って行こう!という指針が決まった
ようでした。
確かハロワには、中途採用の募集があり、また、マイナビ?リクナビ?のような新卒用の
就活での募集もあり、業種も会社の規模も、希望にほぼ合うところが見つかり、
頑張って説明会に参加のアポを取ったところがありました。
良い経験だから頑張れ!と応援し、行かせました。
そしたら、長女の訳ありそうな自己紹介に目を停めてくれた人事の方が、説明会の後で
「ちょっと詳しく話を聞いていいかな?」と声をかけてきたそうです。
行ってみると、何か困っていることがあるなら、どういうことなのか正直に話して欲しい・・・と
言われたそうで・・・。躊躇したけど、結局、状況を素直に伝えたところ、採用面接を受けに
来るように・・・と案内されたそうでした。
次に面接に行ったときには、すでに話も進んできたようで、次回は重役面接だと連絡が
ありました。
重役面接も無事通り、なんと、冗談みたいな話ですが、一社履歴書を出しただけで、
採用ということになってしまったのです。
ただ、長女の場合、何点か問題がありました。
1.大学を出て2年半近く経っており、新卒?という微妙なラインだったこと
2.新卒枠が2年であればアウトで中途採用扱い、3年であれば新卒扱い可
3.障がい者としての扱い
長女の希望は、障がい者としての最小限の配慮を求めながら、採用に関しては健常と
区別なく、同じ条件で採用してもらえること・・・でした。
それに対して企業側が提案してきた内容は、
1.翌月から3か月間は契約社員として働いてもらいたいI(本人が大学卒業していて今フリーであることを聞いて)
2.採用は中途であるが、待遇は新卒待遇での採用とすること(新卒の初任給で、期間雇用でもない)
3.3か月たったら、正社員になるものとすること
4.ただし、障がい者としての雇用であるから、求められる配慮は行うこと
でした。
採用も、一般職採用と、総合職採用があり、当初長女は、厳しくなさそうな一般職採用を希望
していましたが、契約社員の3か月の間に状況を見て、考えが変わり、正規職にして頂くとき、
やはり総合職でやってみたい!と申し出たところ、それもすんなり許可されました。
それは、会社内で、高卒の人もある程度いたことや、本人が専門を要する技術職を希望して
いたことなど・・・からでしたが、予想以上に、理想的な形で採用して頂くことが出来たのです。
そういう奇跡も、起こるんだなぁ~と、娘とともにかなり驚きました。
とはいえ、就職先は、大企業…というわけではありませんから、実際に中に入ってみると
制度的にも決まっていなくてあいまいなところも多く、中途か新卒か?ということになれば、
給与体制は新卒扱いだけど、中途として扱う・・・とか、少し矛盾点もありました。
長女本人としては、「新卒扱い」なのだから、「内定式」とか「新人研修」とか、そういったこと
には、自分も声をかけてもらって参加できるのだと思っていたのに、声がかからなかったり・・・。
(このことは、実際に会社側に尋ねてみたところ、すでに働きなじめている人に「内定式」は
不自然であることからなしとしたとか、新人研修も3か月あちこち回らされて時間が無駄になる
(=すでに長女の場合前倒してやっているので)という判断でのことだと回答していただきました。
そうそう、長女が採用になった時、まず人事の方から、こういう条件で働いてもらいたいのですが
どうでしょうか?と、親の私に電話が来たり、実際に私にも職場を見てどういうところが知って
おいて頂きたいと親子で社内を案内して下さる日を作ってくれたり、その後も親と会社と本人と
そしてお世話になっていた就労支援施設と、連携を組んでサポートしていきたいということで、
施設側にも最低1年は定期的に相談できるよう契約してもらったり、私と人事や上司の方と
メアド交換をして、何かあったらちょっとしたことでも連絡をしあって、様子を共有させてほしい
と、親も巻き込んでの体制づくり・・・でした。
正直なところ、大人としての就労なのに、親が保険のように関与させられるのは、ちょっと
違和感も感じたのですが、せっかくサポート体制を作って育てて下さるということだったので
同意してお願いすることにしました。
そんなこんなで、あっという間に話は進んでいき、採用の決まった翌月から、長女は、まず
契約社員として、働き始めたのでした。
大学を卒業してから、2年5か月後のことでした。
大学を卒業する時、「しばらく休ませて欲しい」と言われてから、まさかこんなに長い年月が
かかるとは、想像していませんでしたが、それでも、3年以内に、かなり理想的な条件で
正社員としての採用をして頂けたことは、かなりラッキーなことだったように思われました。