久しぶりにレンタルでDVDを借りてきた。


そのうちの一本は、新作で、アカデミー賞外国映画賞を取った

『おくりびと』


おくりびと [DVD]
¥2,846
Amazon.co.jp

「おくりびと」オリジナルサウンドトラック/サントラ (音楽: 久石譲)
¥2,800
ユニバーサルミュージック(株)


納棺士ってなんだ?ってくらい、この映画の存在を知る以前に

知識のなかった私。


主演のもっくんこと本木雅弘は、以前から好きな俳優さんだった

けど、この映画を観て、また高感度がアップしてしまった。ハート



予想以上に笑わされて、でも、やっぱり、たくさん泣いた。


納棺士という言葉さえ知らなかった私だけど、自分自身の中にも

なかった・・・とは言い切れない「死体を扱う」仕事への偏見。


それが、間違った価値判断だという事を、映画の中で、登場人物

達同様に、知らされることになった。


皆、見ず知らずの人の死に関しては、それに関わること自体を忌み

嫌うものがあるが、いざ自分の身内の死を体験すると、その人生の

旅立ちに立会い故人に関わってくれる相手に対し、感謝の気持ちは

沸いても、嫌うなどという感情は沸かないだろう。


私達日本人の、「死」に対する独特の感覚・・・ってなんだろう?


外国の人は、この映画を観て、そういうものを強く感じ、理解を深める

って言うけど・・・なんて考えたりもした。


ふっと、葬式って、誰の為にするのかな?と考えた。


残された人々は、故人を丁寧に扱い最高の支度をしてあの世に送り

出してあげたい・・・という気持ちを抱き葬式をする。


そういう意味では、本人の為というより、残された人々の、心のけじめ

みたいなもののためなんじゃないかな・・・と。


たまたま、先日、実家に顔を出した時、母から葬式の話をされた。

それも、父母ら自身の葬式について・・・。


70代半ばになる両親にとっては、あと何年生きるかわからないけど・・・

と言いながら、やはり、自分の人生の終わりはそう先のことではないと

感じ、心配性の母などは、元気なうちから、自分達の葬式や墓の事を

あれこれ心配している。


先日、父には内緒で、とある互助会に入会した事を聞かされた。

これで、父母のどちらかに何かあっても、最低限の葬儀はしてもらえる

はずだから・・・と。嫁いでいる娘に、手間と負担をかけまいとする親心

なのだろう。


母は、自分は葬式さえ、必要ないと思っていることを、私に話した。


誰も、葬式に来てもらうような人はいないから・・・と。遠くの親戚に来て

貰うのは、負担をかけるから・・・と。


いかにも、飾り気のない、母らしい考えだ。


でも、そんなことを、真面目に話し合う年に、もう、なってしまっているん

だな~と思ったら、ちょっとしんみりした気分になった。


そして、上記の話のように、葬式って誰の為にやるんだろう?って思った

のだった。


映画『おくりびと』を観て、やっぱり、自分の親の時には、できる限りの支度

をして、あの世に送りだしてあげたい・・・そう思うのが自然だと思った。


もちろん、業者を通せば、ビジネスだから、値段にもランクがあって、

気持ちも金額の差・・・とばかり、選択させられる事になるのだろうけど・・・。


映画の中の納棺士のような、素晴らしい対応をして頂けることは、めったに

ないんじゃないかな・・・とは思っているけど、あんな「おくりびと」がいるなら

是非お願いしたい!とさえ思ってしまう。


もっくんを通して、どんな仕事にも、必然性と、仕事をする側にもプライドが

ある・・・という事もあらためて再認識させてもらった。


もっくんは、10年以上前から納棺士の話に強い関心を持ち、自分で色々と

調べたり、いつか映画化するために、胸に暖めてきた深い思いがあったと

聞いた。もっくんは、以前からちょっと変わった人だと思っていたが、こういう

仕事に関心を持ち、深く暖めていること自体が、彼らしい・・・と思った。


だから、彼の映画での役柄は、とても自然で、自分の人生を受け入れて、

精一杯生きる人としての生き様がよく表れていた。


彼の作品だ!・・・とそう思える映画になった。


風呂屋のおばあちゃんのセリフが、とっても良い!


社長の存在感が、とっても味わい深い!


意外に、広末涼子演じる妻も、健気で清潔感があって良い!


納棺屋の事務をしている女性の、哀愁が良い!



派手な演出のある映画じゃないけど、私はとっても好きなタイプの映画

だな~。


何しろ、観終わった後に、心が温かくなるのが良い!!


人生において、何がしかの挫折感とそれを乗り越えた経験のある人なら

きっと共感できる所のある映画だと思う。


若い子には、ちょっと難しいかな、この映画の良さを感じるのは・・・。