昨日、娘達と買い物の最中立ち寄った本屋の
推薦図書のコーナーで見つけた一冊の絵本。
以前から、ネット上で勧める方があり、タイトルだけは
記憶に残っていた。
だが、詳しい内容は、その時、その場で手に取り、
声に出して娘達の前で読み出すまで、全く知らなかった。
その絵本は・・・
- わたしのいもうと/松谷 みよ子
- ¥1,260
- Amazon.co.jp
私たちが子どもの頃読んだ児童書
「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズの
著者が書いた本。
最近のいじめ問題によって、再販されるように
なったらしい・・・。1987年に出版された絵本
のようだけど・・・。
小学校4年生の妹が学校でクラスメートたちからの
いじめにあって、引きこもるようになり・・・・という
お話だが・・・。
最近、この絵本を学校の道徳の時間に生徒達に読ませたり
読み聞かせで、紹介したりすることが多くなっているらしい。
私は、いじめで不登校になった妹の話・・・としか知識がなく、
娘達の前でこの本を手にとって、絵本だったので、すぐ読める
と思って、その場で小声で読み出してしまったのだが、
これが、長女の薄れていた心の傷を思い出させてしまった
らしい(T▽T;)
妹が学校でいじめられる様子の描写で、まるで自分のされて
いた事と同じじゃない!と驚きの表情で文を追い、
衝撃の結末で大ショック!!
妹をいじめたクラスメイト達は、何も知らず、妹をいじめた事
さえ忘れて、中学生になり、やがて高校生に・・・。
いじめられて引きこもってしまった妹は、それから元気になる
ことなく・・・。
私も、読んだ後、が~ん!! だったが、
同様の体験をして、今も苦しみの最中にいる長女の反応は
もっと重いものだった。
思わず、流れる涙を抑えきれず、何度も涙をぬぐう長女
次女に感想を聞くと、
「よくわからない。でも、なんでみんながいもうとをいじめるのかなぁ?と思って。」
私と長女が言い返す。
「だから、人とちょっと違っている所があるからって、それだけで
いじめられるのよ。やってる本人達は、ほんの遊びのつもりで
ちょっとしたイライラを解消するためにね。」と・・・。
次女にこの違和感がどれくらい伝わったのかはわからない。
ただ、長女がせっかく薄れ掛けていた、一番辛かった頃の
ことを、再度記憶として蘇らせてしまったのは、明らかだった。
それから、買い物の最中、特に感情的になったりする事は
全くなかったものの、夜私と二人っきりのナイトウォーキング
の時に、いつになく怒りをあらわにして、小5~小6の頃の、
辛かったいじめのことを話し出した。
でも、めそめそしている・・・というより、許せない怒りで、燃えて
いる・・・という感じで、私に物騒な事を問いかけてきた。
娘:「ねえ、今度私が学校へ戻った時には、あいつらフルボッコに
していい?」
私:「そうね、そんなやつは、ぼこぼこにしちゃえ!」
娘:「うん、その時は凶器とか使ってもいい?」
私:「・・・。凶器って、たとえばどういう?」
娘:「たとえば、カッターナイフとか、かなづちとか。」
私:「それをやったら、あなたの方が犯罪者にされちゃうよ。
それは最悪の結果でしょう。」
娘:「だって、言葉で言ってもわからないやつは、痛い目に
あわせないと、わからないじゃない。あいつらのおかげで、
私は、せっかく中学では頑張ろう、大丈夫だ・・・と思っていた
のに、私のことを知らない他の小学校出身のやつらにまで
私のことをキモイとか、暗いとか言い触らしてたんだよっ!
おかげで、私の青春が台無しになった。もっと楽しみたかった
のに!!」(ノДT)
私は返す言葉に困った。
できればなるべく子どもの気持ちに寄り添ってやりたい。
違う意見をしたくない。
でも、でも・・・・。
私:「本当に、酷い話だよね。辛い思いをしたんだね。
そんな辛い思いをしてまで、いやな学校へなんか、行かなくても
いいよ。
それに、その悔しさを、いつかきっと見返せるときが来るよ。
今は無理でも、将来絶対に見返してやる~!!と思って
おくといいんじゃない?」
・・・と言うのが、やっとだった。
私のこの言葉を聞いて、娘はちょっと納得してくれたようだった。
娘:「そうだよね。今の私じゃ、荒れる事ぐらいしかできないけど、
そのうちね・・・。うん。」
そんな風に答えたと記憶している。
やっぱり、昼間に読んでしまったあの絵本が、トラウマを
刺激してしまったのだ。
この本は、いじめを考える上で、とてもお勧めだとは思うが、
当事者(まだ最中にいる)にとっては、ちょっと刺激が強すぎる。
今回はちょっと失敗だったけど、娘がそのトラウマで深く深く
傷つきながらも、乗り越えようとしている様子を感じ取れて、
良かったのかも知れない。
まあ、実際に凶器を持って、相手に襲い掛かられたら、
本当に警察沙汰になっちゃうけど・・・。
一冊の絵本から、長女の感情が激揺れしてしまった
一日だった。
いじめの当事者は、自分達がそれほどの事をしているとは
全然自覚していない。
それが、次々といじめの連鎖を引き起こしていくのだ。
自覚のないものに、どう自覚を促し、娘のように深く傷つく
被害者をなくしていけるのか?
長女の担任のように、「お宅の娘さんにも問題があります
からね~。」などと、喧嘩両成敗のような屁理屈でその場を
収めようとする教師は最悪だ。
まずは、現場の教師の意識が変わってくれなくちゃ困る。
・・・と、言いたいことは、山ほどあるけれど、わが子の平安が
戻ってくるわけではない。だから、苦しい。