大学受験が成功しているので、そりゃ良かったと思うに決まってる、と言われそうですが、まだ結果が出揃う前、卒業式の時に、生徒達が順に証書を受け取るのを眺めながら、もし、最後、残念な結果になったとしたら、私はどう思うだろう、と考えていました。


大前提ですが、本人は、中学受験を頑張ってこの学校に通ったことを「最高の選択」と6年間変わらず言い続けていました。


私は、何度か学校選択を誤ったのではと思う瞬間はありました。第一志望をここにすること、本人には、心から応援しているふうに振る舞ったけど、夫婦とも、本人が希望するなら反対する理由もないし(親の責任としてここはしっかり考えました)、まあいいか、程度の気持ちだったように思います。

入学当初はあんまりな環境にクラクラして、合格した他校の方が良かったのでは、と思ったものでした。そして、コロナの時には、慎重すぎると感じ、高校から他校に移るのもありではとよぎることがありました。どんなに質が良かろうと、オンライン授業を受けたくて入ったのではないのだから。なお、周囲には、高校からなら中学受験の貯金で附属に行けそうだが、こんな感じじゃ大学では無理になりそう、高校受験させたい、と、口にする人もいました。


受験期に思ったのは、周囲に優秀な人が多い結果として、大学受験で目指す大学が無謀になってしまったのではという思いです。1年目は◯大目指して特攻して浪人するのが最大多数派の学校じゃないほうが、無理のない大学を選んで無理のない受験ができて幸せだったかもなあ、と。でも、もう、後悔はしなかったです。どうせ他校に通っても別の問題点が気になるのだから。中高生の親を6年もやってると、ある意味悟るというか、諦めるというか、そんな境地になります。


上記したように、時々迷いは出ましたが、それ以外の時は、この学校でよかった、と思っていました。


本人がここでなければ通いきれなかったかもしれない難のある性格だし、友人や先輩に大変恵まれたし、夢中になれる部活に出会い、良い先生に出会い、楽しい授業もたくさんあり、私までついでに親子セットではない、素敵な友人に出会えました。

基本とても寛容で優しいので、明らかに変なことをしても、誤解を受けるような言動をとっても、ここでなら大丈夫、でした。(絶対的な安心感に包まれていたことに私がはっきり気づいたのは卒業後ですが、本人はちゃんと知っていたようです)



中学受験をしてよかったか、という意味では、彼に関してはしないという選択肢はなかったです、迷いはありません。


私は、実は中学受験は大学受験に絶対的に有利とは思っていないのです。後半で急に詰め込むことになる3+3制に比べ、ちょうど良いペースで合理的に進める一貫教育の優位性は高いものの、5年間受験のことを忘れて過ごしたのを1年で取り戻すのも厳しいです。(実感)高校進学前に一度受験という形でまとめておき、この時点で最も適したレベルの学校が選べるのは、大学受験という観点から見れば悪くないはずです。


高校だって、良い学校がたくさんあります。高校からなら附属という選択も選びやすいです。(小学生が大学を選ぶのは無理がある場合が多いと感じます)


ただ、中学の3年間を比べると、中学受験した方が楽しく豊かに過ごせる確率が高いです。自分の選んだ中学校に通えること、高校生が当たり前にいることは大きいです。私立の進学校は、特に中学課程において特色の強い教育をするように思います。また、高校生は身近な良いモデルというだけでなく、多くの学校で高校生基準になるため、中学生にとっては自由度が全く違い、行動範囲も、できることも、全然広いです。(稀に中学寄りの高校生に窮屈そうな学校もありますし、うちの子のところのように、いきなり大学生並みの生活になるところもあります)


さらに、うちの子の学校は、無茶をやらかしても、成績が破滅しても、遅刻だらけだったり、学校にあまり通えなくなっても、高校に上がれます。(高校では進級させようと助けてくれる度合いが常識の範囲を超えているし、退学になることは通常ありません)うまくいかない時ほど手厚いフォローを受けられます。失敗しても遠回りしても最後の最後で助けてくれると言う絶対的な安心感があります。


うちの場合、中学受験による小学校生活のダメージがほとんどないくらいだったので、中学受験を後悔する理由が存在しませんが、でもこれは運が良かった面もあるので、誰もが中学受験すべきとは思いません。


中学受験を迷った場合は、


・受験により小学校生活が受けるダメージは問題ない範囲か

・受験するやどの学校に進むことになっても、大学受験に有利にならなくても、得られる6年間に価値があると思えるか

(付属なら、他大学を受験したり、大学進学後に大学を受け直すことになっても、過ごした6年間に十分な価値があったと思えるか)

・または、仮に希望校に縁がなく、地元中に進むことになったとしても、中学受験(受検)のための学習をしたこと自体に価値があると思えるか


を考えてみると良いのではないかと思います。




話を最初に戻します。


コロナで潰された思いもあったし、受験がハードになって、その挙句、第一志望が残念な結果になったとしても、しばらくはショックを受けるかもしれないけれど、それでもこの学校でよかったです。



…学校、どこだか分かりますよね?割と分かりやすく書いたつもりですが。