昨日の2014年5月27日より、第2回与党協議の会合で(1回目の与党協議は2014年5月20日に行われた)、政権与党である自民党と公明党が集団的自衛権の行使を巡って、いわゆる「グレーゾーン事態」の対応から議論を行いまいた。
が、その会合では「グレーゾーン事態」の対応に関する結論は出ず、次回に持ち越される形となりました。
自民党は集団的自衛権に関する問題をできるだけ早く議論したいと考えており、一方、集団的自衛権の行使容認に慎重な公明党は「ひとつひとつの事例をしっかり議論する」という名目で、議論を引き伸ばす作戦に出ています。
「え………グレーゾーン事態って何?」
今回はグレーゾーンについて解説します。
「グレーゾーン事態」とは何か
「グレーゾーン事態」とは、我が国が武力攻撃に至らない侵害を受けた場合のことを指します。
武力攻撃を受けていないので、個別的自衛権が発動できません。しかし明らかに侵害を受けているという状況のことを、「グレーゾーン事態」と呼んでいます。
たとえば、尖閣諸島を例にとって説明してみましょう。
中国が尖閣諸島を占領しようと思ったら、まずは武装した漁民を尖閣諸島に送り込みます。建前上、軍隊ではないことがポイントです(明らかに中国軍が漁民に化けているのですが、言わなきゃバレません。いや、明らかに分かるんですけれど、日本は何もできません)。
日本の海上保安庁の警告や放水を振り切り(ここで武力攻撃してはいけません。ここで武力攻撃したら日本の個別的自衛権が発動してしまい、海上自衛隊が来ます)、尖閣諸島に上陸します。それからテントとかはって、「ここは中国の領土だ。今日から俺はここに住む」とかなんとか言って居座ります。
彼らは武装し、かつそれなりの訓練を受けているので、日本国憲法により武力行使が制限されている海上保安庁では対処が難しい。しかし武力攻撃を受けたわけではないので、自衛隊を出動させることはできない。
これがいわゆる「グレーゾーン事態」にあたります。ようするに、事態が曖昧なんでどう対処していいかわからない。
与党協議で議論される「グレーゾーン事態」は以下の通りです。
・グレーゾーン
①離島における不法行為への対処
②公海上で訓練や警戒監視中の自衛隊が遭遇した不法行為への対処
③弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護(平時)
これは集団的自衛権の行使容認を巡る問題というよりも、日本の法整備の問題です。自衛隊法やら周辺事態法やらといった法律を改正して、この想定に対応できるようにしておくことが解決策になります。
たとえば、先ほどの尖閣諸島の不法占拠の例に対処する方法として、海上保安庁の体制強化や、有事のとき海上保安庁が海上自衛隊に編入できるようにするなど、何らかの法整備を国内で整えておくべきです。
ちなみにこれもまた、憲法9条による問題点の一つです。「専守防衛(防衛上の必要があっても先制攻撃を行わず、攻撃されたら自国の軍事力をもって撃退する方針)」により海上保安庁の武力行使が極端に制限され、それが尖閣諸島を巡る問題になっています。
つまり彼らは、攻撃されないとわかってるから日本に来るのです。たとえば中国の漁民は、ロシアには行きません。「ロシアに行くと、沈められるから」です(何かの番組で中国の漁師が堂々と言っていたのが記憶にあります)。日本はその心配がないので、やりたい放題できます。逆に日本国憲法が尖閣諸島周辺の緊張状態を作ってきたといっても過言ではないでしょう(だからといって「沈めろ」というわけではありませんが。逆に今沈めたら向こうに有利です)。
なんとなく「グレーゾーン事態」についてイメージができたでしょうか。
結局、日本の問題はほとんどが日本国憲法につながります。日本が安全保障上危機的な状態にある今だからこそ、日本はもう一度この国の憲法のあり方について考えるべき時が来ているように思います。