旅がすきなので。

旅、あるいはそれにまつわるもの、空港、ターミナル駅、埠頭、NHKの「世界ふれあい街歩き」、

紀行文学も押しなべて好きである。

私がもの心ついたころ、まだ「兼高かおる世界の旅」は放映していただろうか。微かに見た記憶がある。

さて。ここしばらく、ラジオを聴かない。

しかし、FM東京で深夜にオンエアしていた「ジェット・ストリーム」を私は好きだった。

時々聴いては、ナレーションに旅愁を感じたりした。

その「ジェット・ストリーム」の収録秘話を昨日のテレビで見た。

海外旅行が解禁された時代。でも、まだ一般には外国旅行は高嶺の花で。

JALパックというツアー商品を売り出したばかりの日本航空がスポンサーを快諾。
しかし機長役を誰にするか、半年の間、決まらずにいたそうな。

ようやく決まった機長は、声優の城達也だった。

城達也は、映画「ローマの休日」で、グレゴリー・ペック演じる新聞記者の吹き替えを担当。
彼の落ち着いた、温かみのある声が適役、と白羽の矢がたったのだ。

飛行機に乗ると、機長のアナウンスが入るのを耳にする。
そして、何度か飛行機に乗ると、機長は早口だということを知る。
特に外国の航空会社の便に乗ると、いま、何て?ということがほとんどである。
城機長のアナウンスは、落ち着いたトーンの、すこしゆっくりめの語り。

しかし、まさに機長とはこういう話し方をするのではないか、という

イメージそのものの話し方だった。

城達也は機長のイメージを壊さぬよう、テレビ出演はすべて断り、

収録室の明かりを落として、アナウンスに臨んだ。

25年の永きにわたった城達也のジェット・ストリーム。
後年、城はガンを患い、栄養剤の点滴を受けて番組を続けたが、声の衰えの出ないうちに、

と1994年12月30日の放送をもって、番組を降板した。

「ジェット・ストリーム」は、今は伊武雅刀を機長に迎え、飛行を続けている。


Tokyo FM「ジェット・ストリーム