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「働けど働けどわが暮らし楽にならざりじっと手を見る」
これは明治時代の歌人である石川啄木が読んだものだ。
私はもうこの歌は死語となったと思っていた。
「日本も昔貧しい時代があり大変だったのね」というように・・。
ところが今妙に生き生きとした実感としてこの歌が胸に響くのは
昔話ではないという事だからだろうか。
最近ワーキングプアや格差社会の事がマスコミなどでよく
紹介されている。NHKでも最近ワーキングプアの
特集が2週にわたり放映されていた。今回は「ワーキングプアⅢ」。
昨年12月には「ワーキングプアⅡ」がそして
初回は[ワーキングプア ―働いても働いても豊かになれないー」
だった。
第一回の反響は凄まじく1400通もの反響があったという。
過去に放映されたある母子家庭Kさんのご紹介。
10歳と12歳の二人の男の子を持つKさんは家賃5万円以下の
アパートに住んでいる。昼と夜働きづめで月給は18万円程
しかならない。![]()
食費に振り向けられるのは月2万円。これから食べ盛りの
男の子を抱えてどうするのだろうと心配になる。
同時に睡眠時間を 削って働いている母親Kさんの健康が特に
気になった。
この家の場合 Kさんが倒れたら共倒れになる可能性が高い。
ただでさえ低い女性の賃金だが、昨今の雇用状況から
正社員の職は子連れの母子家庭の女性にはほぼ閉ざされて
いるといわざるを得ないと思う。他にも働きづめの父子家庭の
例や姉妹で働いても合わせて月20万円にもならない
ワーキングプアーの現実が次々紹介されていた。
皆あまりにけなげで一生懸命なのに頭が下がる。
この現実も自己責任なのだろうか。
[ワーキングプアーⅢ」では海外も同じ
問題を抱えている事が紹介されていた。
アメリカのワーキングプアのAさんは元IT技術者。700万円の
借金をして大学に入り、技術を身につけ年収は1,000万円を
得ていた。 しかしAさんの業務はインドに移転し、失職した。
今はキャンプ場に住み病気の不安と戦いながらファースト
フード店で 働いている。月15万円の収入だという。
安い人件費を求めてのグローバル化という波は先進国の
勝ち組さえ安泰でない事を指し示していると思う。
この番組で特に印象に残った事は
働くという事の意味だ。「働くという事は
社会とのつながりを持つ事と人間としての
尊厳を守る事ではないでしょうか」というナレーターの
言葉が胸にしみた。
私達FPがご相談をお受けしている際は相談者が今の
仕事を続けていくという事が前提になっている事が多い。
今後は富裕層だけでなく、こういったワーキングプア
層の生活設計のご相談も増えてくる事が予想される。
使える制度や情報収集など求められるものはより
幅広くなりそうな気がする。
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小島 節子