昨年は、運用環境が良かったため、株や不動産投信(リート)などで
運用する投資信託の基準価格は、どんどん上昇しました。
そこで、まだまだ上がると思い込んで購入した人も少なくないようです。
ところが今年は、上海ショックやサブプライムローン問題をきっかけに
利益を確保しようという投資家が大量に売り注文を出したため、市場の
環境は一変しました。
その上、不安材料が消えないので、新たな買い注文が少ないというの
が現状です。
市場が下がり買い手が少ないということは、「運用の環境が悪くなった」
ということです。
当然、投資信託の基準価格は、値下がりする日が多くなりました。
ある投資信託のセミナーで、「買った投信が下がっているが、損切り
すべきか、または、いつ元に戻るか教えてほしい」というお客様の
苦情を受けました。
「損切り」というのは、株や為替など、値動きが非常に激しいものを
直接投資するときに、損失が拡大しないように行なう行為です。
投資信託は、原則として長期間使う予定のない資金を分散投資で
殖やそうという趣旨なので、損切りを繰り返すのは、コストの面でも
あまり賢いとは思えません。
そして、損切りして戻ってきた現金を、どうするのか? また考える
必要がでてきます。
運用の考え方には、色々あると思いますが、個別の株などを買う
ことと投資信託を買うことは、分けて考えるのが基本ではないかと
私は思います。
また、「いつ、何が起こるか」、そして、その出来事が市場全体に
どんな影響を与えるかは、専門家やプロでも予測できないことです。
一般の人は、プロは判断を間違えたりしないと思い込んでいる場合
がありますがプロは知識や経験は豊富でも、予想は外れることが
あるということを認識しなくてはいけないと思います。
そして、もしも下がることが予想できたとしても、運用会社が勝手に
投資信託の中身である株式などの資産を、全て現金化(利食い売り
など)することもできません。
誰でも「含み益」が出ているときは楽しいし、「含み損」をかかえれば
嫌な気分になるのは当たり前ですが、値下がりを誰かのせいにし
ても、運用環境が良くなることは決してありません。
他人のせいにしたい気持ちもわかりますが、投資は、あくまでも
「自己責任」ということを忘れずに、経験を積み重ねることで、
上手な資産運用ができるようになるのではないでしょうか?
余談ですが、去年買った投資信託が下がっているからと、と
イライラした気持ちでセミナーに参加したお客様がお2人いました。
とても険しい顔で、セミナーに参加していたお2人ですが、
帰りがけに、「あなたも辛いですね?
」とお互いに慰めあい、気分
が少し落ち着いた様子。
そして「辛いときは、分かち合いましょう
」と語り合っていた光景が、
とても印象的でした。
投資は1人でこっそりやるより、仲間を作ってやるほうが、
楽しみは倍になり、辛さは半分になるのかもしれません。
高橋希代子