長期にわたり自宅などに閉じこもり、学校や仕事に行かない「引きこもり」の人は、広汎性発達障害の出現率が通常より高い可能性を、支援団体のNPO法人「全国引きこもりKHJ親の会」が調査で指摘した。

 「障害という視点で、早期の専門的な診断とケアを施すことが必要だ」としている。

 同会は引きこもりの子を持つ家族有志らにより、埼玉県で1999年に発足。現在は東京を拠点とし、全国の約8000家族が参加している。

 調査は昨年7~9月、学識経験者が考案した、障害の傾向を調べる質問式テストで実施。同会の引きこもり経験者82人と、家族332人が回答した。

 その結果、回答した引きこもり経験者の約4分の1が、広汎性発達障害の傾向を示した。男女別では男性26・3%、女性15・8%。調査協力した徳島大大学院の境泉洋准教授(臨床心理学)は「広汎性発達障害の出現率は全人口の1%前後とされることから見て、極めて高い割合。専門的診断や支援の必要性が改めて明確になった」と語る。

 テストの質問は「一度に二つ以上のことをするのは簡単か」「他人の意図を分かるのが難しいか」「長々と同じ事を話し続けると言われるか」など16項目。項目ごとに点数を設定し、一定の点数を超えると、アスペルガー症候群や自閉症などの可能性があるといい、広汎性発達障害が疑われるという。

 引きこもりの30歳代の次男にアスペルガー症候群の可能性があることを周囲に明かしたさいたま市の母親は、「適切な就労支援が得られ、社会復帰への一歩を踏めた。家族で障害の特性を受け止めることも大事」と話す。同会事務局は「引きこもりを防ぐためにも、学齢期からの専門家による早期発見と支援が重要」と訴える。

情報元右矢印読売新聞(ヤフーNEWS)