彼と私の大切な入籍の日。

 

前日までに

婚姻届を記入した。

 

私の本籍は亡夫の実家にあったので

亡夫の義父母が戸籍謄本をとって

送ってくれた。

 

当日は二人で有休をとり

役所へ向かった。

 

婚姻届の提出、そして

彼と息子の養子縁組を行った。

 

その後、

医療費や児童手当関係の

いくつかの手続きをした。

 

私は遺族年金や母子手当などは

もらっていなかったので手続きは

煩雑ではなかったと記憶している。

 

特に何も問題なく

淡々と手続きが進んだ。

 

夫と息子の養子縁組についても

何のためらいもなく

役所の担当の方の言うがままに

サインをしてハンコを押していた。

 

夫と息子の養子縁組については

「しない」という選択は

当時の私にはなかった。

 

死別再婚の後、

子どもだけ以前の戸籍に

残すということは想定できなかったし

できるとも思わなかった。

 

私だけ彼の氏に変わって

子どもと別々の氏を名乗ることも

考えられなかった。

 

後日聞いた話では、

死別でも離別でも

親の再婚時の養子縁組や

子どもの氏については

色々な問題があるそうだ。

 

例えば、子どもが

元々の氏を変えたくない

継父の氏に変わることで傷ついた

という悩みも聞いたことがある。

 

また、

そもそも別居父が親権者のままで

継父と養子縁組しないご家庭もある。

 

でも、少なくとも私の場合は、

入籍と養子縁組はセットだった。

 

息子の氏は

有無を言わさず

新しい父親の氏に変わった。

 

 

そして、同時に

夫と息子の養子縁組により

 

夫に

『威厳のある父親になる』

というスイッチが入ってしまった。

 

息子にとっては

ただのよく遊んでくれる「おじちゃん」

だったのに・・・

 

(思い返せば、この養子縁組が

ボタンの掛け違いのスタートだった。)

 

 

無事入籍した日。

 

私と夫は

近くのフレンチを予約し、

二人の新しい人生に祝杯をあげた。

 

私はこんな日がくるとは

夢みたいだと思っていた。