彼に心惹かれた
2つ目の理由は
私が育ってきた環境と
彼のそれとがよく似ていて
同じような感性をもっていたことだ。
私は小学校の時に
両親が離婚し
父子家庭で育っている。
彼も子ども時代
複雑な家庭環境で育っていた。
どちらも
「家族」のピースのどこかが
欠けているなかで
他の子どもが
あまり経験しないような
子ども時代を過ごしていた。
だから、お互いに
「家族」というものに特別な
憧れ(私)、 諦め(彼)をもっていた。
そのせいかどうかは
分からないが、
二人ともバツイチ
(私は死別の前に離婚もしている)
だったしね。
そんな彼だったから、
私は、
生まれたばかりの息子を残して
逝ってしまった夫のことも、
親孝行する間もなく
急逝した父親のことも、
私たち兄弟を捨てて
出て行った実母のことも、
なんでも話すことができた。
子どもの頃に感じていた孤独や
誰にも言えなかった悲しい気持ちを
取り繕うことなく話せた。
1回目の結婚も
2回目の結婚も
どちらも
夫は年上だったけど
私は
あまり自分の弱いところを
見せることはなかった。
しっかりした奥さん
夫に頼りにしてもらえる奥さん
そんな奥さん像に
こだわっていたのだと思う。
一方、
3回目の結婚となる彼は
年下だったけど
素直に甘えることができた。
似たような家庭環境で育ったこと
子ども時代に似たような苦労をしたことが
私たちの距離を急速に縮めた。
私たちの出会いは
偶然ではなく必然なんだ。
運命論者ではないけれど
彼のことを知れば知るほど
私はどんどん彼に惹かれていった。